先月タイの新首相に就任したセーター・タウィーシン氏は、医療目的での大麻使用を認める政策は支持するものの、嗜好目的で大麻を使用することに対しては反対であるとの考えを明らかにしました。
タイは2018年に医療用大麻を合法化。2022年6月には大麻を麻薬リストから除外し、アジアで初めて大麻を非犯罪化した国となりました。ただし、公共の場所で大麻を喫煙することは違法であり、THC0.2%以上を含む大麻抽出物や合成THCは現在でも規制対象とされています。
嗜好用大麻が合法となっているカナダやアメリカの州で見られる大麻市場の明確な規制は、現時点でタイには存在しません。このような中でタイの大麻市場は急速に成長。公式発表によれば、今年2月までに大麻関連のビジネスライセンスは首都バンコクだけで1,600件以上、全国で6,000件近く承認されています。
タイの大麻市場は今後数年間で最大12億ドル(約1,800億円)規模になると予測されていますが、この市場の未来には現在、暗雲が立ち込めています。
5月の総選挙から政治空白が続いていたタイですが、8月には第2党のタイ貢献党(タクシン派)が第1党であったタイ前進党を排除し、保守政党を含む11党の連立政権を発足。実業家出身のセーター氏が第30代首相に就任しました。
9月15日、セーター氏はタイのニュースサイト「The Standard」のインタビューで「大麻政策は医療用となるでしょう。嗜好目的での使用に関しては賛同しません」「薬物乱用はこの国にとって大きな問題であり、十分に対処されていません。大麻は医療目的で使用されなければなりません」と述べました。
前政権で大麻の非犯罪化を推進したタイ誇り党は、タイ貢献党の連立政権における最大パートナーとなっていますが、両党は共に「医療目的での使用のみを支持している」としています。
もし新政権が大麻を麻薬リストに再分類した場合、現在存在する大麻小売店の約70%が一掃されるとも言われています。特に法律の抜け穴によって誕生した首都バンコクにあるカオサン通りの露店やオンラインショップなどは、すぐに姿を消すと予想されています。
Reuters「Thai PM: ‘I don’t agree with recreational use’ of cannabis」https://www.reuters.com/world/asia-pacific/thai-pm-i-dont-agree-with-recreational-use-cannabis-2023-09-15/
GlobalCannabisTimes.com「Thailand’s New Prime Minister Rejects Recreational Cannabis Use」https://globalcannabistimes.com/thailands-new-prime-minister-rejects-recreational-cannabis-use/
CBS News「Why Thailand’s legal weed is luring droves of curious but cautious Asian tourists」https://www.cbsnews.com/news/thailand-legal-marijuania-weed-tourism-asia-drug-laws/
Thai PBS World「Move Forward-led govt’s policy on legalized cannabis – it’s complicated」https://www.thaipbsworld.com/move-forward-led-govts-policy-on-legalized-cannabis-its-complicated/