世界初「アヤワスカの錠剤」が誕生 2023年前半に臨床試験の可能性

世界初「アヤワスカの錠剤」が誕生 2023年前半に臨床試験の可能性

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2023年1月31日から3年間に渡り、特定の薬物を非犯罪化しているカナダのブリティッシュコロンビア州。この州の最大都市バンクーバーに拠点を置く企業「フィラメント・ヘルス(Filament Health)」によって、世界初となるアヤワスカの錠剤が開発されました。

アヤワスカとは、南米のアマゾン川流域に自生するツル状の植物のこと。この植物に含まれるDMTという成分には、強い幻覚作用があります。

現地の先住民は、アヤワスカと他の薬用植物を煮出してお茶を作り、これを用いることで精神的な儀式を行います。「青汁王子」として知られる三崎優太氏や俳優でラッパーのウィル・スミス氏を始め、数多くの著名人がペルーにてアヤワスカの儀式を体験したことを明かしています。

アヤワスカの幻覚作用は多くの研究において治療効果を示しており、その中にはうつ病、自殺企図、不安、トラウマ、悲しみ、依存症、物質使用障害などの精神症状や神経変性疾患などが含まれます。

しかし、伝統的な方法でアヤワスカを摂取する際の大きな問題として、摂取量の極端なばらつきがあります。そのため、同じアヤワスカの儀式を体験しても人によって得られた体験が大きく異なることがあり、一貫性のある治療効果を得ることは難しくなっています。

こういった問題を解決するために開発されたのが、今回の「アヤワスカ錠」。

これにより有効成分や摂取量にばらつきが生じなくなるため、研究において正確な有効性を調べることが可能となり、治療のための投与プロトコルを標準化することもできるようになります。

また、錠剤なので持ち運びや服用も容易であり、利便性にも優れています。少なくともこれが実用化すれば、アヤワスカの治療を受けるために、わざわざ南米まで足を運ぶ必要はなくなります。

フィラメント・ヘルス社は、この錠剤による第1相試験(健康な人を対象に、安全性や薬物動態を確認する臨床試験)を実施するため、FDA(食品医薬品局)から承認を受ける直前まできており、承認されれば、2023年前半のうちに実施される予定です。

また、フィラメント・ヘルス社はカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)とパートナーシップを結び、すでにマジックマッシュルームの成分であるシロシビンとシロシンの臨床試験を共同で行っています。

Psychedelic Spotlight「VANCOUVER COMPANY CREATES WORLD’S FIRST EVER AYAHUASCA PILL」https://psychedelicspotlight.com/vancouver-company-creates-worlds-first-ever-ayahuasca-pill/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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