ニュージーランド、処方箋なしで薬剤師からCBDを入手することを可能に

ニュージーランド、処方箋なしで薬剤師からCBDを入手することを可能に

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10月17日、ニュージーランドの規制当局はCBD製品の医薬品分類を「処方薬」から「制限薬」へと再分類しました。これにより、ニュージーランド国民は今後医師の処方箋がなくても、薬剤師からTHC2%以下のCBD製品を1日150mgまで入手することが可能となります。

日本でCBD製品は自由に流通していますが、ニュージーランドでは医療用大麻製品の1つとして扱われ、医師からの処方でしか入手することができませんでした。

ニュージーランドの医薬品と医療機器の規制・監督を担当する政府機関である「Medsafe」は今回、薬剤師が処方箋なしで18歳以上の成人にTHC2%以下のCBD製品を提供することが可能になると発表。

薬剤師が提供可能なCBD製品は、1981年薬事法(Medicines Act 1981)で承認されたものに限られます。ただし、現時点でこのようなCBD製品はないため、随時承認されていく予定です。

MedSafeは今回の決定について、医療従事者、産業界、一般市民との協議を重ね、低用量のCBD製品のリスク、ベネフィット、プロファイルを慎重に評価した結果であると説明。CBD業界関係者はCBD製品の再分類により、CBDの有効性と安全性に関する臨床試験の機会が増える可能性について指摘してきました。

ニュージーランドにおけるCBD製品の再分類は、オーストラリアの医療管理局(TGA)が2020年に決定したスケジューリングと歩調を合わせたものになります。これまでオーストラリアもCBD製品にアクセスするために医師からの処方が必要でしたが、現在では薬剤師から1日150mgまでのCBD製品が入手可能となっています。

なお、オーストラリアで薬剤師が提供可能なCBD製品はオーストラリア治療品登録(Australian Register of Therapeutic Goods)に登録されたものに限られていますが、未だにこのようなCBD製品はありません。

ニュージーランドでは2020年4月1日に医療用大麻スキーム(Medicinal Cannabis Scheme)が施行され、医療用大麻のアクセスが拡大。全ての大麻製品は国が求める品質基準をクリアすることが必須となりました。

ニュージーランドの医療大麻庁(Medicinal Cannabis Agency)は今年5月、初の国産医療用ドライフラワーを承認し、そのアクセスを国内で可能としました。

なお、ニュージーランドでは2020年に嗜好用大麻の合法化を決定する住民投票が行われましたが、否決に終わっています。

時が経つにつれて認知度が高まる中、各国はCBD製品の流通にあたり様々な対応をとっています。

米国食品医薬品局(FDA)は今年1月、安全性の懸念からCBDを栄養補助食品や食品として規制することを断念し、これらの規制法案の策定を連邦議会に委ねる方針を明らかにしました。

フランスは2021年末にヘンプの花と葉の販売・所持・使用を禁止する法改正を発表しましたが、「ヘンプの主成分CBDには向精神作用がなく、安全性から考えて妥当ではない」という声があり、この実施を暫定的に中止。それからおよそ1年後、フランス国務院は「ヘンプの花と葉を禁止する合理的な理由はない」とし、ヘンプの花・葉を禁止する法改正を取り消すことを正式に決定しました

先月には、イタリアがCBDオイルを麻薬に指定。その結果、いくつかの店舗において、政令とは無関係のCBD製品(花や化粧品など)が無差別に押収されるといった事態に発展。このような状況から、ラツィオ州行政裁判所はこの政令を一時的(10月24日まで)に差し止めるよう命じました

アジアでは、香港が今年2月よりCBDを危険ドラッグに分類し、ヘロインやコカインなどと同様の扱いとしています。世界有数の大麻生産国であり、一国二制度を通じて香港を統治している中国もCBDを禁じています。

なお、アメリカの研究チームは9月、栄養補助食品としてのCBDは持病や服用中の薬がない人で70mg/日、妊活・妊娠・授乳中の人を除けば160mg/日まで安全な可能性があると報告

一方でFSA(イギリス食品基準庁)は最近、潜在的なリスクを避けるためにCBDの経口摂取量を「1日10mg以内」とするよう勧告を行いました

Cannabiz「New Zealand reclassifies low-dose CBD, paving the way for OTC sales」https://www.cannabiz.com.au/new-zealand-reclassifies-low-dose-cbd-paving-the-way-for-otc-sales/

Ministry of Health NZ「Classification change to low-dose medicinal cannabis (CBD) products」https://www.health.govt.nz/news-media/news-items/classification-change-low-dose-medicinal-cannabis-cbd-products

Medsafe「Reclassification of low-dose cannabidiol」https://www.medsafe.govt.nz/profs/class/ReclassificationOfLowDoseCannabidiol.asp

Therapeutic Goods Administration (TGA) 「Over-the-counter access to low dose cannabidiol」https://www.tga.gov.au/news/media-releases/over-counter-access-low-dose-cannabidiol

Business of Cannabis「Italian Court Temporarily Blocks Reclassification of CBD as a Narcotic, but Industry Warns It’s ‘Just the Beginning of a Long Struggle’」https://businessofcannabis.com/italian-court-temporarily-blocks-reclassification-of-cbd-as-a-narcotic-but-industry-warns-its-just-the-beginning-of-a-long-struggle/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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