ニュージーランド、国産の医療用乾燥大麻の花が入手可能に

ニュージーランド、国産の医療用乾燥大麻の花が入手可能に

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5月8日、医療用大麻流通企業「NUBU Pharmaceuticals」と栽培企業「Kaylx」の2社は、両社が生産した医療用ドライフラワー(乾燥大麻の花)が医療大麻庁(Medicinal Cannabis Agency)から承認されたことをプレスリリースで発表しました。ニュージーランド初となるこの国産ドライフラワーは、今月中には処方箋で入手可能となる予定です。

ニュージーランドでは、2020年4月1日より医療用大麻スキーム(Medicinal Cannabis Scheme)が施行され、医療用大麻のアクセスが拡大。これとともに全ての大麻製品は、農薬や重金属などの汚染物質がなくラベルに記載された通りの成分が含まれているなど、品質基準をクリアすることが求められるようになりました。

医療用大麻患者は処方箋さえあれば、現在でも医療用のドライフラワー製品を入手することは可能ですが、これらの製品は全て輸入された外国産のものでした。

2021年にニュージーランドから初めて医療用大麻を輸出したKaylx社と、ニュージーランド最大の医療用大麻流通企業NUBU社は、カンタベリー地方にある500㎡の屋内施設で大麻を栽培しています。

両社は3年前の研究開発段階において、種から様々な大麻株を育て、その中で望ましい特性を有する株を選抜。その後、商業規模のバッチ生産が3度行われ、品質基準と製品登録を満たすための検査をクリアしました。

医療大麻庁により承認されたこのドライフラワー製品は、NUBU社の「KIKUYA」ブランドで販売されます。医療用大麻患者は処方箋により、今月中には同製品の入手が可能となる予定です。

Kalyx社の共同創業者であるジェシー・オスティーン(Jesse O’Steen)氏は「安全保証登録を完了し、地元の患者さんをサポートすることができ、これ以上ないほど幸せです」とコメント。

NUBU社のCEOマーク・ダイ(Mark Dye)氏は、この実現のために3年間たゆまぬ努力を続けてきたと語り、「さらに重要なことは、ニュージーランド産のドライフラワーの到着を待ち望んでいた地元の患者さんにとって、大きなニュースであるということです」「地元の産業には明るい未来が待っています」と述べました。

また、オークランド患者会のリーダーであるパール・ショーンバーグ(Pearl Schomburg)氏は、過去12ヶ月で医療用大麻製品の処方が大幅に増加し、中でもドライフラワー製品がこの増加を牽引していることから、この発表がこれ以上ないタイミングであると語っています。

「このことは必然的に、患者が自分の症状や状態に合った、より多様な性質の大麻株を利用するための選択肢を広げることになります」「これは、ニュージーランドに高品質な地元製品を提供することにフォーカスした大麻市場の開始に向けた、非常に重要な追加のステップです」

なお、ショーンバーグ氏は関節リウマチによる慢性疼痛を有しており、国内で初めて合法的に医療用のドライフラワーを使用した人物でもあります。オーストラリアから輸入されたCBD優位のドライフラワーを使用することで痛み不安を和らげることができるようになったと語っています。

「人生が一変したような気分です」「私のような患者は、ハイになったり酔ったりすることに興味があるのではなく、具合が良くなることに興味があるのです」

また、ニュージーランドでは2020年、嗜好用大麻の合法化を決定する住民投票が行われましたが、否決されています。

ニュージーランド元首相であり、世界薬物政策委員会(GCDP:Global Commission on Drug Policy)の委員長を務めるヘレン・クラーク氏は4月、薬物の非犯罪化への支持を表明。地元メディアに対し、「大麻のような薬物は、タバコと同じような規制を受けるべきだということも合理的に明らかです」と述べています。

NUBU Pharmaceuticals「NZ’s first dried medicinal cannabis flower verified」https://www.nubupharma.com/post/nz-s-first-dried-medicinal-cannabis-flower-verified

Cannabiz「New Zealand patients will get access to first home-grown dried flower」https://www.cannabiz.com.au/new-zealand-patients-to-get-access-to-first-home-grown-dried-flower/

NZ Herald「Cannabis: Auckland grandma becomes first NZer to legally use dried cannabis flower to relieve her pain」https://www.nzherald.co.nz/nz/cannabis-auckland-grandma-becomes-first-nzer-to-legally-use-dried-cannabis-flower-to-relieve-her-pain/WV4IRX3EFUHKMIYQMGDTE4UNFA/

Ministry of Health NZ「Medicinal Cannabis Agency – Information for consumers」https://www.health.govt.nz/our-work/regulation-health-and-disability-system/medicinal-cannabis-agency/medicinal-cannabis-agency-information-consumers

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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