30万人動員するミシガン州の巨大フェスでの大麻の販売・使用を地元自治体が承認

30万人動員するミシガン州の巨大フェスでの大麻の販売・使用を地元自治体が承認

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米ミシガン州オークランド郡にある都市ロイヤルオークでは、毎年夏に「Soaring Eagle Arts, Beats & Eats」という野外フェスティバルが開催されています。芸術、音楽、食、コミュニティの祭典であるこの4日間のイベントには、毎年30万名もの人々が集まり、昨年には25周年を迎えています。

このイベントの地域経済への影響は3,900万ドル(約52億6,000万円)にも上ると言われています。入場料は地域のコミュニティに分配され、これまで慈善団体に対し寄付した金額は累計680万ドル(9億1,700万円)以上にもなるそうです。

2月14日、ロイヤルオーク市委員会は、この州内最大級のイベントにおいて大麻の販売と消費を許可することを全会一致で決定。この許可は「ひとまず今年のみ」という形で、試験的なものになります。

嗜好用大麻が合法化されていたとしても、基本的に公共の場での大麻使用は認められていないため、このような試みはかなり画期的と言えます。

大麻の消費・販売エリアはいくつかのテントに分けられ、合計で362名の収容スペースが確保されています。販売エリアでは、プリロールベイプエディブルなどの大麻製品を購入することができます。

テントには民間の警備員が配置され、IDチェックを行ったり(テント内に入れるのは21歳以上のみ)、テント内での行動が監視されます。

エリア周囲は、通りから見えないようグリーンのスクリーンで囲まれます。また、匂い対策として、換気装置などが設置される予定です。

イベント主催者は昨年も同様の提案をしていますが、市の委員会に却下されていました。ロイヤルオーク警察署長マイケル・ムーア氏も昨年はこの提案に反対していましたが、今年は中立的な立場に立っていると話しています。

州内ではこれまで別の3つの都市でもイベント内における一時的な大麻消費が許可されていたことから、ムーア氏はこれらの地域の警察署とコンタクトをとり、大きな事件などが報告されていないことを確認。また、カリフォルニア州サンフランシスコで毎年開催されている音楽祭「Outside Lands Festival」でも、4年前から大麻の販売・消費が認められていますが、ここでも大きな問題が起きていないことを確認しています。

ムーア氏によれば、イベントが開催される地域周辺の住民や企業に連絡をとったところ、反対意見はみられなかったとのこと。周辺地域内に教会運営の学校も2件ありますが、どちらもイベント中は休校であるためか、反対の声は挙げられていないそうです。

これらのことからムーア氏は「警察は中立を保っています」「大麻を用いたイベントにおいて事件や事故が少ないという実績、このイベントに向け入念に準備した法執行計画、プライベートな警備、多くの問題や人々に対処するためのパートナーシップ。私はいかなる問題も起きないと思っており、様子をみるために、ひとまず1年間のトライアルを実施することを委員会に求めただけです」と語りました。

ロイヤルオーク市長であるマイケル・フルニエ氏も、昨年はイベント内での大麻の販売・消費に対し反対を表明。市長はフェスの魅力が音楽、食べ物、芸術ではなく、大麻にフォーカスされてしまう可能性があることを危惧していました。

しかし、今年は慎重な姿勢でこの提案を受け入れています。フルニエ市長は「どうなるのか興味深いですね。この実験的な試みを応援します」「もしこれが適切に実行され、フェスの価値を損なうことがないようであれば、今後も続けるでしょう。もしフェスの価値を損なうもの、つまり大麻がメインとなってしまうようなことがあれば、来年はおそらく心変わりすることになります」と述べています。

なお、今回の提案は市内では許可されましたが、今後さらに州からの承諾と酒類販売の許可が必要になるようです。

この提案が実施され、イベント内において特に問題がみられなければ、今後このような寛容な対応は大麻合法州において広がっていく可能性があります。そうなれば、「大麻=危険なもの、反社会的」というような「スティグマ」は、さらに減少していくことになるでしょう。

今年「Soaring Eagle Arts, Beats & Eats」は、祝日である労働者の日(9月の第1月曜日)を含む、9月1〜4日に開催される予定です。

また、ミシガン州では州内のスキーリゾート「Mount Bohemia」で3月2日までの間、大麻販売店「Lume Cannabis Company」で買い物したレシートを提示することで、ナイトスキーが無料になるキャンペーンが実施されています。Lume Cannabis Companyのエリアマネージャーであるジェフ・バーリンデン氏は「ちょっと変わったキャンペーンかもしれないけど、私たちは大麻のスティグマを払拭するために奮闘しているんです」と語っています。

C&G Newspapers「Royal Oak approves cannabis sales, consumption for Arts, Beats & Eats」https://www.candgnews.com/news/royal-oak-approves-cannabis-sales-consumption-for-arts-beats–eats-1724

Merry Jane「You Can Legally Buy and Smoke Weed at an Outdoor Festival in Michigan This Summer」https://merryjane.com/news/you-can-legally-buy-and-smoke-weed-at-an-outdoor-festival-in-michigan-this-summer?infinite=true

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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