自民党議員が経産省管轄の委員会で「グリーンラッシュに乗り遅れることを危惧している」と語る

自民党議員が経産省管轄の委員会で「グリーンラッシュに乗り遅れることを危惧している」と語る

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日本では、古来より大麻が栽培、使用されてきました。しかし、戦後GHQによる指示により麻を麻薬として定義した上で栽培、製造、販売、輸出入のほぼ全面的な禁止を行い規制を続けています。

そこで、2月21日に開かれた「衆議院 予算委員会 第七分科会(経済産業省所管)」 にて、自民党の杉田水脈すぎたみお議員が大麻についての質疑を行いました。

杉田議員は、温室効果ガスを発生させない再生可能なクリーンエネルギーに転換し、経済社会システムを変革させ成長につなげるGX(グリーントランスフォーメーション)に「グリーンが抜け落ちている印象が否めない」と、国連貿易開発会議(UNVTAD)が発行した報告書で引用されたある植物についての複数の科学論文を紹介したいという切り口から大麻の話を開始。

  • この植物は、光合成によって茎と根の両方に炭素を貯蔵することにより、無視できない量の二酸化炭素を捕捉するため、気候変動の影響を緩和することができる。
  • この植物は、急速に成長し地面に深く根を張るため、他の作物や森林よりも1ヘクタールあたり多くのCO2を取り込み、理想的な炭素貯蔵となることが分かっている。
  • この植物は、土壌の汚染を防ぐことができる。科学文献で議論されているこの植物、特にその廃棄物の別の潜在的利用法は、土壌の炭素貯蔵を改善し、温室効果ガス排出を削減できる可能性がある。土壌用途のバイオ炭の生産である。

「まさにこの脱炭素の救世主のようなこの植物は一体何だと思われますか? 実は、大麻草です。」

このような切り口から大麻の話を始め、その後、大麻取締法の改正や政府の取り組みについて厚生労働省に対し質疑を行った後、経済産業省に対しても質疑を行いました。

 

「国連貿易開発会議(UNVTAD)が発行したヘンプに関する特別報告書ではヘンプが最もCO2を吸収する作物であると書かれていることを紹介しましたが、欧州連合の公式サイトには1ヘクタールあたりのCO2吸収量についてどのように書かれていますでしょうか?」

 

 

「欧州委員会のホームページによれば、1ヘクタールのヘンプによる二酸化炭素吸収量は9 から15トンとされており、これは幼齢林、若い森林の吸収量に匹敵すると示されております」

 

 

「日本の荒廃農地は令和2年で約28万ヘクタールと認識しておりますので、これに当てはめると250万トンから420万トンの CO2吸収量が見込める計算になろうかと思います。たった数ヶ月の栽培期間でこれほどのカーボンネガティブの力を発揮する植物を日本のGXの取り組みに活用しない手はないのではないでしょうか。」

 

また、産業用大麻(ヘンプ)の市場規模についても質問し、経済産業省は「2022年11月に発行されました国連貿易開発会議、この産業用ヘンプに関するレポートではヘンプの世界市場規模は2020年の47億ドル(約6,338億円)から2027年には186億ドル(約2兆5,084億円)にまで成長すると記載されているものと認識しております。」と回答しました。

質疑の終盤には、以下の言葉を気持ちを込めながら杉田議員は述べました。

「現在世界を席巻するITや半導体分野において、かつて日本はトップを走る国でした。

しかし、現在は国外の企業に勝てないばかりか依存している状況と言っても過言ではありません。

古来より、我が国の神事には麻は欠かせないものであったのに、外国産の、中国産の麻を神事に用いるようなことがあってはなりません。

また、経済が低迷して久しい日本が、世界に起きているグリーンラッシュに乗り遅れることを非常に危惧しております。

本日の質疑で大麻と表現したことに驚かれたかもしれません。しかし、現在の日本では大麻と口にしただけで驚かれてしまう。よからぬイメージを持たれてしまう。それでは何の議論もできないと思います。

大麻は我が国の経済にとっても大きな可能性を持つ植物であるにも関わらず、70年以上もその研究すら許されて来なかった。薬物として乱用されない酩酊作用の持たない、そういった品種を日本が独自に開発することだってできるわけです。日本が法改正を待っている間に世界ではどんどん市場が拡大していく。当然、何の準備も情報収集もできない国は取り残されてしまいます。大規模な投資や大幅な規制緩和はすぐに実現できなくても世界に起こっている動きについて是非とも積極的な情報収集を行なっていただきたいというふうに思っております。」

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。ワクワクするスタートアップにシードからレイターまで投資ラウンド問わず投資したいため、起業家との出会い募集中。

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