イギリス、食品としてのCBD規制に向け前進

イギリス、食品としてのCBD規制に向け前進

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10月24日、イギリス政府は大麻成分CBDを含む飲食物や栄養補助食品を「食品」として規制するため、薬物乱用諮問委員会(ACMD)の勧告を受け入れる意向を明らかにしました

2019年、欧州委員会はCBDを含む食品や栄養補助食品を「新規食品」に分類。新規食品とは、1997年以前にほとんど消費されてこなかった食品のこと。これらの食品は市場に出る前に安全性の評価を受け、認可を得る必要があります。

これを受け、イギリス食品基準庁(FSA)は2020年にCBDを食品として規制する計画を発表。2021年1月、イギリス内務省はCBD製品の販売に関して薬物乱用法に必要な修正を加えるため、薬物乱用諮問委員会(ACMD)に助言を求めました。

2021年12月、薬物乱用諮問委員会は法改正に向けた提言をまとめた報告書を内務省に提出しましたが、そのまま動きがなく経過していました。

そして、今回、内務省は薬物乱用諮問委員会の勧告を原則として全て受け入れることを発表。

この勧告はCBDの安全性や有効性に関するものではなく、精神活性作用をもたらさないカンナビノイドの用量、カンナビノイドの成分分析、消費者向けCBD製品の製造に向けた実現可能性に関するものとなっています。

薬物乱用諮問委員会による勧告の具体的な内容とそれに対する政府の回答は、以下の通り。

<勧告1>

CBD製品に含まれるデルタ9THCデルタ9THCAも含む)及び他の全ての管理された植物性カンナビノイドの総用量を管理すること。植物性カンナビノイドの含有量は、それぞれ消費単位(1回分の消費)あたり50μgを超えてはならない。

政府の回答:この勧告を受け入れ、国会の承認を得た上で具体的な法案を提出する。消費単位の定義は製品によって異なるため、慎重な検討を行った上で具体的な内容を決定する。

<勧告2>

CBD製品に含まれる植物性カンナビノイド量がそれぞれ消費単位あたり50μgを超えないように、規制当局はカンナビノイドの含有量に関する制限を確実に設ける。規制の施行から2年後、国防科学技術研究所(DSTL)はCBD製品のカンナビノイド含有量について分析を行い、遵守の程度を評価する。

政府の回答:勧告を受け入れ、CBD製品に含まれる植物性カンナビノイドの合法的な含有量を規定する法律を提出する。

<勧告3>

植物性カンナビノイドを検出する検査機関の能力を支援するために、検査機関間でさらなる比較試験を行うべきである。

政府の回答:資金が確保されることを前提に、原則としてこの勧告を受け入れる。

<勧告4>

確実に規制を行うため、植物性カンナビノイドのより正確な検査を開発すること。具体的には、カンナビノイドの抽出、分離、定量のための標準化されたプロトコルの開発、カンナビノイドの測定に十分な感度と再現性、国際規格「ISO 17025:2017」の認定を受けた分析法などが求められる。

政府の回答:原則的に勧告を受け入れ、産業界のパートナーと協力し、これらに応えられるよう努める。

また、内務省は「2016年サイコアクティブ物質法(Psychoactive Substances Act 2016)」における”規制薬物(controlled drug)”という文言を”規制薬物を含む製剤またはその他の製品(preparation or other product containing the controlled drug)”に変更するなど、CBD製品が食品として流通できるようにする改正案にも原則的に合意しました。

イギリス政府がこれらの勧告を受け入れたことで、今後同国ではCBD製品が薬物乱用防止法や内務省ではなく、食品基準庁による食品法の下で食品として規制される可能性が高まりました。

今回の政府の対応に対し、業界からは喜びの声が聞かれています。

多くのCBD企業を代表する団体「Cannabis Trades Association」の共同エグゼクティブ・ディレクターであるシアン・フィリップス(Sian Phillips)氏は「これは業界に信じられないほどポジティブな影響を与えるでしょう。CBDが食品として認められ、完成したCBD製品に含まれるTHCやその他の植物性カンナビノイドの用量が設定されることで、製品の革新や新規食品プロセスに役立ち、CBDセクターは規制薬物法の曖昧さから解放されることになります」

「消費単位あたりの各植物性カンナビノイドが50μgまで許可されることで、現在考えられているよりも幅広い範囲の消費者向けCBD製品を検討することができるようになります」とコメント

同じくCannabis Trades Associationの共同エグゼクティブ・ディレクターであるマリカ・グラハム=ウッズ(Marika Graham-Woods)氏は「明確な説明があれば、食品として指定されたパラメータ内で生産されている限り、もはや英国ではCBDを食品として大量生産することは違法ではなくなるかもしれません」

「小売業者はこれらの勧告やその他の勧告について最新の情報を得る必要があります。今後数ヶ月の間で多くのことが明確にされる必要がありますが、全般的にこれは最終的にCBDセクターにとって非常に前向きな一歩です」と述べました。

なお、イギリス食品基準庁は先月、CBDの経口摂取量を「1日10mg以内」とするよう国内の消費者に勧告

欧州食品安全機関(EFSA)は昨年6月、CBDは医療用としては許容できるものの、食品としてはその作用メカニズムの複雑さや薬との相互作用、潜在的なリスクから、現時点で安全性を確立することはできないと結論づけています

CBD製品に対する対応や認識は、各国によって大きく異なっています。

米国食品医薬品局(FDA)は今年1月、安全性の懸念からCBD製品を食品として規制することを断念し、これらの規制法案の策定を連邦議会に委ねる方針を明らかにしました。

このような中、アメリカの研究チームは9月、食品としてのCBDは持病や服用中の薬がない人で70mg/日、妊活・妊娠・授乳中の人を除けば160mg/日まで安全な可能性があると報告しました

ニュージーランドは先月、CBD製品の医薬品分類を「処方薬」から「制限薬」へと再分類。これによりニュージーランド国民はオーストラリアと同様、医師の処方箋がなくても薬剤師からTHC2%以下(オーストラリアではTHC1%以下)のCBD製品を1日150mgまで入手することが可能となりました。

一方、イタリアは9月にCBDオイルを麻薬に指定。その結果、いくつかの店舗において政令とは無関係のCBD製品(花や化粧品など)が無差別に押収されるといった事態が生じました。そのため、この政令は現在、ラツィオ州行政裁判所の命令により一時的(来年1月中旬頃まで)に差し止められています

アジアでは、香港が今年2月よりCBDを危険ドラッグに分類し、ヘロインやコカインなどと同様の扱いとしています。世界有数の大麻生産国であり、一国二制度を通じて香港を統治している中国もCBDを禁じています。

CBDを違法としているフィリピンの議会は最近、CBD製品の薬用利用、生産、輸出を可能にする「下院法案4208」について審議を開始しました

日本では最近、大麻関連法の改正法案が閣議決定されました。法案によれば、大麻草の形状を持たないCBD製品はTHCの制限値(現時点で未定)を遵守している限り、取締りの対象とはならない見込みです。

GOV.UK「Government response to the ACMD’s advice on consumer CBD products (accessible version)」https://www.gov.uk/government/publications/acmd-advice-on-consumer-cannabidiol-cbd-products/government-response-to-the-acmds-advice-on-consumer-cbd-products-accessible-version

GOV.UK「Consumer CBD products report (accessible version)」https://www.gov.uk/government/publications/acmd-advice-on-consumer-cannabidiol-cbd-products/consumer-cannabidiol-cbd-products-report-accessible-version

Cannabis Health News「UK government accepts ACMD recommendations for CBD products」https://cannabishealthnews.co.uk/2023/10/27/uk-government-accepts-acmd-recommendations-for-cbd-products/

Benzinga「UK Cannabis: Medical Marijuana Imports Triple, Government Considers Regulating CBD Products As Food」https://www.benzinga.com/markets/cannabis/23/10/35511274/uk-cannabis-medical-marijuana-imports-triple-government-considers-regulating-cbd-products-as-foo

Business of Cannabis「Italy’s CBD Ban Suspended Until January, Switzerland Approves 6th Adult-Use Trial, & Malta’s First Cannabis Clubs to Launch in Q1 2024」https://businessofcannabis.com/italys-cbd-ban-suspended-until-january-switzerland-launches-6th-adult-use-trial-maltas-first-cannabis-clubs-to-launch-in-q1-2024/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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