現地時間5月16日、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、連邦司法省が大麻の規制緩和に向け動き出したことを正式に発表しました。
米国は1970年以降、大麻を規制物質法でスケジュールⅠの物質に分類しています。これは大麻が「乱用の危険があり、医療的価値がない」ことを意味しています。
しかし、司法省は現在、大麻をスケジュールⅢの物質に再分類することを提案しており、この規則案は近日中に連邦官報に掲載される予定となっています。
スケジュールⅢは「医療価値があり、乱用の可能性はスケジュールⅠやⅡの物質よりも低いが、乱用により低〜中等度の身体依存あるいは高度の精神依存を引き起こす可能性のある物質」と定義されており、これにはアナボリック・ステロイドやケタミンなどが分類されています。
つまり、司法省も保健福祉省と同様、大麻はヘロインやコカインなどよりも乱用や公衆衛生上のリスクが低く、医療的価値があると認めたことになります。
バイデン大統領はこれについて「This is monumental(これは歴史的な出来事である)」と称賛し、SNS上で投稿した動画において以下のように述べました。
本日、私の政権は大麻をスケジュールⅠからスケジュールⅢに再分類する大きな一歩を踏み出した。これは長年の不公平を覆すための重要な一歩である。
本日の発表は、大麻の単純所持を理由とする記録的な数の連邦犯罪を恩赦するために我々がすでに行ってきた取り組みに基づいている。これは、住宅、雇用、中小企業への融資など、何万人もの米国民の障壁を取り除くために我々がとった行動に追加されるものである。
大麻を使用したり所持したりしただけで、誰も刑務所に入るべきではない。それだけだ。大麻に対する誤ったアプローチのせいで、あまりにも多くの人生が狂ってしまった。私はその過ちを正すことを約束する。
Too many lives have been upended because of our failed approach to marijuana.
— President Biden (@POTUS) May 16, 2024
So today, the @TheJusticeDept is taking the next step to reclassify marijuana from a Schedule I to a Schedule III drug under federal law.
Here's what that means: pic.twitter.com/TMztSyyFYm
バイデン大統領に続き、カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領もコメントを出しています。
現在、大麻はヘロインと同レベルに分類され、フェンタニルよりも危険であるとされている。我々はついにそれを変えようとしている。
これを可能にする手助けをしてくれた支持者と関係者全員に感謝したい。そして、我々はまだこれを達成する途上にある。
President Biden and I vowed to address injustices in marijuana policy.
— Vice President Kamala Harris (@VP) May 16, 2024
Today, our Administration takes another major step forward. pic.twitter.com/GxFOFeU0DU
大麻の規制緩和についての報道はすでに非公式な発表で明らかにされていましたが、これが今回ついに正式に発表された形となりました。
司法省の規則案は官報に掲載された後、60日間のパブリックコメントを経て、最終承認される見込みです。
アメリカでは現在、38州で医療用大麻、24州で嗜好用大麻が合法化されています。このような中、大麻が規制物質法でスケジュールⅢに再分類されたとしても、連邦レベルで違法なことに変わりはありません。
しかし、この規制緩和は大麻事業者の税負担を軽減し、大麻の研究ハードルを緩和するなど、様々なメリットをもたらします。
今回のバイデン政権の発表を受け、大麻擁護団体NORMLのポール・アルメンターノ(Paul Armentano)副所長は、以下のように述べています。
「この提案は、大麻に正当な医療的有用性があることを長い間認識してきた何千万人ものアメリカ人、何万人もの医師の経験を実証するものである」
「しかし、連邦政府の大麻政策を21世紀に導入するために必要な変更にはまだほど遠い。特に、この変更案は連邦政府の大麻政策を米国のほとんどの州、特に成人への使用と販売を合法化している24州の大麻法と調和させることに失敗している」
「とはいえ、その第一歩として、この政策変更は大麻をめぐる政治的議論を劇的に変化させる。具体的には、大麻政策の改革に反対する人々が歴史的に利用してきた手法の多くを否定する。大麻が健康に独特の害をもたらすとか、慢性疼痛やその他の病気の治療には役立たないという主張は、かつてそれを広めた連邦政府機関によって否定されたのである」
「今後、大麻をめぐる真剣な話し合いや大麻の使用をどのように規制することが最善であるかという議論には、このようなまやかしの主張は出てこないはずである」
Marijuana Moment「Biden Makes Historic Marijuana Rescheduling Announcement, Applauding ‘Monumental’ Move To Reverse ‘Longstanding Inequities’」https://www.marijuanamoment.net/biden-makes-historic-marijuana-rescheduling-announcement-applauding-monumental-move-to-reverse-longstanding-inequities/
Marijuana Moment「Lawmakers, Advocates And Stakeholders React To Biden’s Marijuana Rescheduling Announcement」https://www.marijuanamoment.net/lawmakers-advocates-and-stakeholders-react-to-bidens-marijuana-rescheduling-announcement/
High Times「President Biden Announces Federal Government Will Reschedule Cannabis in ‘Monumental’ Announcement」https://hightimes.com/news/president-biden-announces-federal-government-will-reschedule-cannabis-in-monumental-announcement/
MJBizDaily「Biden administration formally proposes moving marijuana to Schedule 3」https://mjbizdaily.com/biden-announces-latest-step-in-marijuana-rescheduling-process/
Cannabis Law Report「PRESS RELEASE : Justice Department Submits Proposed Regulation to Reschedule Marijuana」https://cannabislaw.report/press-release-justice-department-submits-proposed-regulation-to-reschedule-marijuana/
NORML「White House Endorses Marijuana Rescheduling Plan; Says Cannabis’ Placement as a Schedule I Substance “Just Doesn’t Add Up”」https://norml.org/blog/2024/05/16/white-house-endorses-marijuana-rescheduling-plan-says-cannabis-placement-as-a-schedule-i-substance-just-doesnt-add-up/