カンナビノイドとアセテート化合物

カンナビノイドとアセテート化合物

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ポートランド州立大学のロバート・ストロンギン博士と共にプロジェクトに取り組んでいる博士課程学生カエラス・マンガーらが2022年5月に発表した新しい研究によると、カンナビノイドアセテートをベイプすることには潜在的なリスクがあることを示しました。

彼らはカンナビノイドアセテートが一定以上の温度で加熱されると、ケテンという人体に有毒な物質が放出されることを発見しており、2019年にビタミンEアセテートを研究していた研究者も同様に一部の市販の電子タバコのベイプにケテンが含まれていたことを発見しています。

THCOやHHCOなどが日本で販売されているカンナビノイドアセテート製品です。

アメリカで2020年2月までにビタミンEアセテートが原因で入院と死亡につながった人数は約3,000人にのぼり、肺損傷の原因の一つであると考えられています。

ケテンは人体に有毒であることが知られていますが、人体への影響をもっと理解するために実験を行うことはリスクが高すぎるため、研究は進んでいないのが現状です。

また、ストロンギン博士の最新のリサーチ「Vaping Cannabinoid Acetates Leads to Ketene Formation」の中では、カンナビノイドアセテート製品はビタミンEアセテートと化学構造が似ていることが指摘されており、これらの製品に使用される醋酸基は血液脳幹門を通過しやすく、効力を増強させる可能性があると述べられています。

これらの製品は合法の大麻販売店では販売されていませんが、現在 FDA(米国食品医薬品局)によって規制されていないため、誰でもオンラインで簡単に入手することができます。

また、この研究ではケテンが考えられていた温度より低い温度で発生することが分かっており、そこに含まれるケテンはたとえ少量の吸引だとしても人体に有害な影響をもたらす可能性があると述べられています。

博士号を取得しながらストロンギン博士と共にこのプロジェクトに取り組んだマンガーは、これらの製品を使用する人は通常は少量の使用ではないため、危険性はさらに高いと述べています。

「私たちが最も懸念しているのは長期使用からの影響ですが、その点についてはもっとリサーチの時間が必要です。私たちの研究は非常に重要で、これらの研究が進まなければ、人々はこの有毒な物質にさらされることになります」

「ケテンは生体分子と非常に反応しやすいので、人体内での追跡は事実上とても難しい物質です」

「だからこそ、長期使用の人体への影響を調査し続けることが必要なのです」とストロンギン博士は述べています。

北米での反応

この様にTHCOなどアセテート化合物が流通しているのは、北米の中でも嗜好目的でのカンナビスの使用が禁止されている地域に限ります。

これらのカンナビノイドアセテートに関してはまだまだ研究は初期段階であり、数年前にアメリカで起きた関連事故がまだ人々の記憶に新しい事からか、ベイプの様に吸引をして使用する製品より、グミやチョコレートといった食べて使用するエディブルの方が好まれる傾向にある様です。

米国の合法州やカナダなどで嗜好大麻製品を販売している人気ブランド「Cookies」も、嗜好大麻が違法である一部の地域では嗜好目的のカンナビノイド製品を販売していますがCBDやHHC、Delta-8やマッシュルームなどを原料として使用しており、カンナビノイドアセテートの使用を避けている様な動きが見られました。

しかし、最近になりTHCOとヘンプフラワーを使用したプリロールを発売しており、同社が初めて自然界に存在しないカンナビノイドを使用した商品として、多くの人を驚かせています。

世界の多くの地域で嗜好大麻の合法化、全草使用が進んでいる状況で、カンナビスが違法の地域でこのような研究を行おうとする研究者は決して多くはなく、またこれらの物質への将来性などを含め、他のカンナビノイドに比べてリサーチはなかなか進んでいないというのが現状です。

もし世界中で誰でもカンナビスを使うことが許されるのなら、果たしてこれらのカンナビノイドは生まれていたのでしょうか?

それともこれらのカンナビノイドは、カンナビスの使用を禁止する法律が生んだ弊害なのでしょうか?

アメリカやカナダなどの合法地域でカンナビスの人気が高まれば高まるほど、日本の様にカンナビスを違法としている国でも注目が集まり、このような商品が生まれています。 これらに対する安全性については引き続き調査が必要で、またユーザーはそれらに関する情報に注意しておくべきであると考えられます。

Shinji

カナダ在住。大麻メディア兼大麻関連事業コンサルティング「カンナビス・ジャパン・セントラル」の創設者。同社は日本を拠点とするCBD企業と国際的なパートナーや投資家のネットワークとしても機能する。

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