米国薬剤師会、違法薬物の非犯罪化支持を表明

健康に焦点を当てた薬物政策を提唱する非営利組織「薬物政策連合（Drug Policy Alliance）」の研究・学術活動部門副部長であるシェイラ・バーカリア（Sheila Vakharia）氏はプレスリリースで、「薬物過剰摂取の危機に晒されている中、予防可能な薬物過剰摂取による死亡は100万人を超えています。命を救いたいのであれば、罰則的なアプローチから、思いやりと公衆衛生に基づいたアプローチに移行しなければならないことは、これまで以上に明確になっています」「犯罪化と罰則は私たちの中で最も疎外されている人々に害を与えるだけであり、薬剤師が命を救うハームリダクションと効果のある治療戦略へのアクセスを拡大させるために機能すべきであることを、米国薬剤師会の歴史的な声明は認識しています」とコメント。

「米国肝炎ウイルス円卓会議（National Viral Hepatitis Roundtable）」のプログラムディレクターであるエイドリアン・シモンズ（Adrienne Simmons）氏は「米国薬剤師会が薬物使用を犯罪ではなく健康問題として取り組むことを支持することは、公衆衛生の専門家としての薬剤師の役割を強化し、増加する過剰摂取とC型肝炎感染率に対処するための重要なステップとなります」と述べました。

権威ある医療団体が薬物の非犯罪化を支持したのは、米国薬剤師会だけではありません。

7000名以上もの医師や依存症専門家を有する医学会であるアメリカ依存医学会（ASAM：the American Society of Addiction Medicine）は今年2月、個人使用目的での薬物所持の非犯罪化やそれに関連した犯罪記録の抹消を支持していることを明らかにしています。

ニュージーランド元首相であり、世界薬物政策委員会（GCDP：Global Commission on Drug Policy）の委員長を務めるヘレン・クラーク氏は最近、オーストラリアのメルボルンの記者に対し、個人使用目的での薬物所持に対する非犯罪化の支持を表明しています。

なお、この時クラーク氏が訪れたオーストラリア首都特別地域では、2023年10月よりコカイン、ヘロイン、MDMA、メタンフェタミンなど9種類の薬物の少量所持が非犯罪化される予定となっています。

カナダのブリティッシュコロンビア州では、2023年1月31日から3年間、コカイン、ヘロイン、モルヒネ、フェンタニル、メタンフェタミン、MDMAの少量所持を非犯罪化するトライアルが実施されています。

米国内でも、ニューヨーク州やマサチューセッツ州などにおいて、薬物を非犯罪化するための法案が提出されています。