ケンタッキー大学、40万ドル使用して大麻研究へ

ケンタッキー大学、40万ドル使用して大麻研究へ

/

5月17日、米国のケンタッキー大学大麻センター(University of Kentucky Cannabis Center)は4つの大麻研究プロジェクトに対し、初の助成金を授与することを発表しました

2022年9月に設立された同センターは、大麻及びカンナビノイドに関連するリスクとベネフィットについて、医療従事者、立法者、一般市民に対して貴重な洞察を提供することを主な目的としており、2024年6月にかけてケンタッキー州から200万ドル(約2億7,600万円)の資金提供が行われます。

センター設立以来初となる今回の助成金は、看護学部、公衆衛生学部、薬学部、マーティン公共政策・行政学部の4名の研究者らによってそれぞれ実施される14ヶ月の研究プロジェクトに対し授与されます。助成金額は1つの研究につき、7万5,000ドル(約1,040万円)〜10万ドル(約1,380万円)となる予定(合計で最大40万ドル)。

具体的な研究内容は、以下の通り。

①周産期における大麻の使用

クリスティン・アシュフォード(Kristin Ashford)教授は、妊婦の大麻使用に対する認識、現在及び過去5年間における大麻の使用パターンや傾向について調査を行います。

アシュフォード教授は「ケンタッキー州の女性と子どもの健康を向上させる方法について、立法者、医療従事者、妊婦に理解を深めてもらうために、妊婦が大麻の使用について何を考え、何を感じ、何をするのかを知りたいのです」と述べています。

②がん患者における大麻の使用

ジェイ・クリスチャン(Jay Christian)教授は、ケンタッキー州のがん患者・がんサバイバーにおける調査を実施。大麻の使用率、使用方法、入手手段などについて理解するとともに、大麻がどのような症状に対し、どの程度有効なのかを調べることを目的としています。

クリスチャン教授は「ケンタッキー州を含む全米の大麻法は急速に変化しています。合法の医療用大麻の効果を見極めるには、法改正の前後で人々がどのように大麻を使用してきたかを知ることが重要です」「この研究は、ケンタッキー州の新しい医療用大麻法が、がん患者やサバイバーに与える影響を評価するのに役立つ最初のステップとなります」と述べています。

※2023年3月31日、ケンタッキー州はアメリカで医療用大麻を合法とする38番目の州となっています。

③大麻の法律が高齢者のオピオイド及びベンゾジアゼピンの処方と関連する健康アウトカムに与える影響

オピオイドとベンゾジアゼピンは、高齢者に多く見られる慢性疼痛、不安、睡眠障害に対し、一般的に処方されている治療薬です。

ジャヤニ・ジャヤワルダナ(Jayani Jayawardhana)教授は、アメリカの各州で医療用及び嗜好用大麻の合法化が進むにつれ、高齢者で大麻の使用が増加する一方、慢性疼痛不安の治療において大麻が代替効果を示すエビデンスがあると指摘します。

この研究は最終的に、各州における大麻法が、オピオイドやベンゾジアゼピンによる健康上の有害な結果に影響を与えるのかについて情報を提供するものになります。

④交通事故から大麻の消費量を分析

キャロライン・ウェーバー(Caroline Weber)教授は、アメリカで大麻の合法化が進むにつれ、嗜好用大麻の消費量が増える一方、闇市場や医療用途での大麻の消費が減少している傾向にあることから、全体として大麻消費量がどの程度変化したのかあいまいになっていると指摘します。

そのため、この研究では、交通死亡事故において記録された血中THC濃度を大麻消費量の指標とし、大麻合法化による大麻消費量の変化を分析するという初の試みが行われます。

米国では他にも、大麻の研究に力を入れている州や大学が存在します。

2023年4月、カリフォルニア州はUCLAなど16の学術機関に対し、大麻の研究のために約2,000万ドル(約27億4,800万円)の助成金を拠出しています

世界最高峰の大学の1つとして知られる名門イェール大学は1月、大麻を研究するための研究センターを新設することを発表

ユタ州知事は3月、最先端の研究を行う総合大学であるユタ大学に医療用大麻の研究センターを設置する法案に署名。研究センターの詳細はまだ決定していませんが、保健省からは65万ドル(約8,600万円)の資金が提供されます。

NORML(The National Organization for the Reform of Marijuana Laws)の調査では、2022年に世界で公開された大麻の研究論文は4300件を超え、過去最多であったことが明らかにされています 。カナダの研究によれば、大麻の研究論文を最も多く公開していたのはアメリカ(41.7%)であり、さらに別の研究では、2000年から2018年の間に、アメリカでは大麻の研究のために14億ドル(約1,930億円)以上の資金提供が行われたことが報告されています。

University of Kentucky「UK Cannabis Center awards 1st faculty pilot grants」http://uknow.uky.edu/research/uk-cannabis-center-awards-1st-faculty-pilot-grants

Mugglehead Magazine「University of Kentucky to invest up to US$400K in cannabis research」https://mugglehead.com/university-of-kentucky-to-invest-up-to-us400k-in-cannabis-research/

The Lexington Times「University of Kentucky Cannabis Center awards inaugural research grants」https://lexingtonky.news/2023/05/17/university-of-kentucky-cannabis-center-awards-inaugural-research-grants/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

Recent Articles

スペイン、医療用大麻の規制草案を発表

2月14日、スペイン政府は医療用大麻の規制枠組みを定めた王室令(Royal Degree)の草案を発表。政府は3月4日までの間、この提案に対するパブリックコメントを募集しています。 スペイン下院の...

ジャージー島、大麻の少量所持を非犯罪化

2月7日、イギリス海峡に浮かぶジャージー島の議会は、大麻の少量所持を事実上非犯罪化する法案を可決しました。 チャンネル諸島最大の島であるジャージー島は英国王室の直轄地ですが、強い自治...

世界の大麻合法化状況

現在、大麻はどの地域で、医療用や嗜好用、どのカテゴリーで合法や非犯罪化なのでしょうか?現在の世界の状況をまとめております。