アラスカ州、バスや大学内での大麻広告や店頭での無料大麻サンプル配布を可能に

アラスカ州、バスや大学内での大麻広告や店頭での無料大麻サンプル配布を可能に 

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9月8日、米国アラスカ州のナンシー・ダールストローム(Nancy Dahlstrom)副知事は新たな規制法案に署名。この法律は10月8日より施行され、大麻事業者はバスや大学内で大麻製品の広告を掲載したり、小売店で大麻の無料サンプルを消費者に配布することができるようになります。

アラスカ州は2015年に嗜好用大麻を合法化し、2016年より販売を開始。以降も大麻食品のTHC含有可能量を倍増するなど、規制の緩和に取り組んできました。今年5月には、1オンス(約28g)以下の大麻所持により有罪判決を受けたアラスカ州民約750名の犯罪記録も抹消しています

アラスカ州アルコール・大麻管理局のジョーン・ウィルソン(Joan Wilson)局長によれば、今回の新法は大麻規制の更新に取り組んできたタスクフォースから発案されたものだといいます。

これまでの大麻の広告規制は、アラスカ州の最大都市アンカレッジの基準に従って作成されたものでした。しかし、州内のその他多くの自治体では広告の規制が緩かったり存在しなかったりするため、大麻事業者はこの規制に疑問を抱いていました。

新規制では、大麻事業者は単純に州及び各自治体の看板規則を遵守することだけを求められます。これが10月8日より施行されれば、バスの車内、バス停、大学構内における大麻製品の広告掲載がアラスカ州内の多くの自治体において合法となります。

ウィルソン氏は新規制により州内で大麻の広告や看板が増える可能性があるものの、これらの規制は今後各々の自治体に委ねられるとしています。

また、大麻を合法化した当初、大麻小売店は店頭で大麻製品のサンプルやクーポンを配布することが禁止されていましたが、新規制ではこれらの制限も撤廃されます。

今回の規制緩和はアラスカ州の大麻事業者にとって朗報となります。しかし、アラスカ州は嗜好用大麻に対する課税が全米で最も高く、州内の大麻事業者は今や存続を掛けた「サバイバル状態」にあります

現在アラスカ州は地方税に加え、1オンス(28g)あたり50ドル(約7,400円)の税金を大麻事業者に課しており、これらは他の嗜好用大麻合法州と比べ重税となっています。その結果、当初は州の財政が潤い、2021年の会計年度では大麻の税収から3,000万ドル(約45億円)以上を得ることができていました。

しかし、2022年の会計年度では大麻による税収が2,900万ドル(約43億円)を下回り、大麻合法化以降初の減少を記録。アラスカ州大麻産業協会によれば、税金を滞納している大麻事業者は少なくなく、今年は数十件もの大麻事業が閉鎖される見込みであるとされています。

このような状況に対処するため、アラスカ州議会は現在、嗜好用大麻の減税法案「HB119」の審議を行っています。この法案では、これまで1オンス毎に課していた大麻の税金を小売業者が徴収する売上税に移行させる予定です。

この売上税は当初3%に設定されましたが、現在は10%に修正されており、これに対し業界関係者は反発を示しています。

大麻規制のタスクフォースメンバーであり、大麻業界に従事するブランドン・エメット(Brandon Emmett)氏は「高い確信を持って言えますが、闇市場において(大麻は)まだはるかに安いです。アラスカ州の税金と大麻管理委員会による事業負担が(合法大麻の)価格を高止まりさせ、事業者の競争力を低下させています」と述べています。

Alaska Beacon「Alaska relaxes rules for marijuana ads, allows free samples」https://alaskabeacon.com/briefs/alaska-relaxes-rules-for-marijuana-ads-allows-free-samples/

MJBizDaily「Alaska eases rules on marijuana ads and sampling, eyes tax reform」https://mjbizdaily.com/alaska-eases-rules-on-marijuana-ads-and-sampling-eyes-tax-reform/

MJBizDaily「Alaska ranks highest, New Jersey lowest in adult-use marijuana taxes, report says」https://mjbizdaily.com/alaska-ranks-highest-new-jersey-lowest-in-adult-use-marijuana-taxes/

Alaska Beacon「Alaska marijuana businesses, citing black market, plead for tax relief」https://alaskabeacon.com/2023/09/15/alaska-marijuana-businesses-citing-black-market-plead-for-tax-relief/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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