セントクリストファー・ネイビス、ラスタファリアンの大麻を合法化

セントクリストファー・ネイビス、ラスタファリアンの大麻を合法化

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6月20日、セントクリストファー・ネイビス議会は、現行の大麻法に改革をもたらすいくつかの法案を承認。これにより、ラスタファリアンによる大麻の所持、使用、栽培などが正式に合法化されることに加え、国内の全ての成人は指定された公共の場において大麻の喫煙が可能となります。

セントクリストファー島とネイビス島の2島から成るカリブ海の島国「セントクリストファー・ネイビス連邦」には、他のカリブ海の国々と同様、多くのラスタファリアンが居住しています。

総人口約5万人のこの島国では、2019年に東カリブ海最高裁判所が「大麻の禁止は宗教の自由とプライバシーを侵害するものであるため違憲」とした歴史的判決を下したことで、大麻が非犯罪化されました。現在は乾燥大麻56g及び大麻樹脂15g以下の所持、5株未満の大麻の栽培において、18歳以上の成人が逮捕されることはありません。

今年に入り、大麻愛好家たちの休日「4月20日」には、医療用大麻産業確立に向け本格的に始動することを明らかにしました

今回承認された法案の1つである「2023年ラスタファリ権利承認法案」 は、集会所において、18歳以上のラスタファリアンによる宗教目的での大麻の栽培、収穫、乾燥、トリミング、治療、所持、喫煙を合法化するもの。このために、ラスタファリアンはラスタファリグループの登録手続きを行い、ライセンスを付与される必要があります。

またラスタファリアンは、現在開設が進められている医療用大麻事業ライセンスを無料で取得し、税制上の優遇措置を受けることも可能となる予定です。

セントクリストファー・ネイビスのテランス・ドリュー(Terrance Drew)首相は「まさに歴史的瞬間であり、私だけでなく、ラスタファリアンコミュニティ全体にとって感動的な瞬間です」「これは、私たちが正しくなかったところを正しくするために行っている一連のことであり、私たちは謙虚に、悪意なく敬意を持ち、国民として共により親密になれるよう懸命に取り組んでいます」と発言。

さらに、ドリュー首相は「ラスタファリ・コミュニティに謝罪したいと思います」「ここに至るまで時間がかかりすぎました。彼らには多くの苦しみを味わわせてしまいました」と述べました。

また、同日には「2023年喫煙(指定区域)法案」も可決。この法案は、指定された公共の場所(一般の人が出入りできる場所)において、18歳以上の成人がたばこ、ベイプ、葉巻、大麻を喫煙することを可能にするものです。

ドリュー首相はこの法案に関して、「喫煙するかしないかを選択する個人に判断を下すのは私の立場ではありませんが、喫煙者と非喫煙者の双方が平和的に共存できる環境の確立に努めることは極めて重要です」

「誰もが参加したがらない公共の場所で人々が喫煙することは望ましくありませんし、それは完全に容認できます。 しかし、私たちは人々が自分自身を表現することを制限したくはありません」「従って、法律を守りながら誰もが共存できる環境を作ることができれば、それが最善のシナリオになると心から信じています」と述べました。

なお、同法案の可決に伴い、カリブ海内外で多くの人々を魅了し、今回で第25回目を迎えた音楽フェス「Saint Kitts Music Festival」においては、早くも大麻を喫煙できる専門スペースが設けられています(6月22日〜24日開催)。

マーシャ・ヘンダーソン(Marsha Henderson)観光大臣は、この音楽フェスがパイロットプロジェクトになると強調。また、OECS(東カリブ諸国機構)で初となる大麻使用可能な音楽フェスを開催できることを誇りに思うと述べました。

セントクリストファー・ネイビスやジャマイカを始め、カリブ海の国々では続々と大麻の規制緩和がみられてきています。

今年初め、「アメリカの楽園」と呼ばれるアメリカ領ヴァージン諸島の知事は嗜好用大麻合法化法案に署名。この法案では、21歳以上の成人において、2オンス(約56g)までの乾燥大麻の所持や宗教目的での大麻の栽培などが認められていますが、具体的な規制法案やインフラがまだ整っていないため、実質的な施行はまだ先になる見通しです。

アンティグア・バーブーダは3月、ラスタファリアンが宗教目的で大麻を栽培することをカリブ海で初めて正式に文書化し承認。またAP通信によれば、同国では最近さらなる法改正が行われ、ラスタファリアン全体で大麻の喫煙と栽培が可能となっただけでなく、18歳以上の全ての成人においても、15gまでの乾燥大麻の所持、4株までの大麻の栽培が合法化されました。

2019年に医療用大麻を合法化したバルバドスは、国内初となる医療用大麻専門の治療施設を来年に開設する予定を明らかにしています

Loop Caribbean News「Rastafarians in St Kitts & Nevis gain legal right to use marijuana」https://caribbean.loopnews.com/content/rastafarians-st-kitts-nevis-gain-legal-right-use-marijuana

WIC News「PM Terrance Drew leads historic legislation: Rastafari Rights Recognition Bill passed in parliament」https://wicnews.com/caribbean/pm-terrance-drew-leads-historic-legislation-rastafari-rights-recognition-bill-passed-in-parliament-065956215/

Jamaica Observer「St Kitts Parliament gives green light to legislation recognising rights of Rastafarians」https://www.jamaicaobserver.com/latest-news/st-kitts-parliament-gives-green-light-to-legislation-recognising-rights-of-rastafarians/

Travel Noire「New Saint Kitts Cannabis Law Permits Marijuana Smoking In Some Public Areas」https://travelnoire.com/new-st-kitts-cannabis-law

NevisPages.com「Nevis Premier Supports Latest National Cannabis Smoking Bill; Entreats More Comprehensive Legislation」https://www.nevispages.com/nevis-premier-supports-latest-national-cannabis-smoking-bill-entreats-more-comprehensive-legislation/

AP News「Rastafari gain sacramental rights to marijuana in Antigua and Barbuda, celebrate freedom of worship」https://apnews.com/article/marijuana-rastafari-religious-freedom-caribbean-c8f3b622e3ef8b04a79303401e5d468a

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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