スペイン新保健相、医療用大麻規制を近いうちに承認すると約束

スペインで新たに保健大臣に就任したモニカ・ガルシア・ゴメス（mónica garcía gómez）氏は、これまで大幅な遅れをとっていた医療用大麻の規制枠組みを近いうちに承認すると約束しました。

スペインでは2023年7月に総選挙が行われ、中道右派の国民党が第1党となりました。しかし、国民党の党首が信任投票で首相に選出されなかっため、最終的に社会党（中道左派）のペドロ・サンチェス（Pedro Sánchez）首相が続投することに決定。これによりスペインでは11月に新政権が誕生し、新たにガルシア氏が保健大臣に任命されました。

スペイン下院の小委員会は2022年6月、医療用大麻の使用を規制することを目的とした法案を承認。これにより、スペイン医薬品・健康食品庁（AEMPS）は同年末までに具体的な規制枠組みについての提言書を提出するよう求められましたが、2023年に入ってもそれが提出されることはありませんでした。

現在スペインでは、大麻由来医薬品であるエピディオレックスとサティベックスは、限られた患者においてのみ利用が可能となっています。

これに加え、2022年に小委員会で承認された法案が実現すれば、多発性効果症や子宮内膜症による痛み、てんかん、がんの痛み、化学療法の副作用といった特定の病状を有する患者も、専門医の処方を通して医療用大麻を使用することができるようになります。

ガルシア大臣は1月初旬、これを実現するための規制枠組みを近いうちに承認するという公約を発表しました。具体的な時期は不明ですが、現地メディアによれば、”今後数ヶ月以内”に承認される見込みとされています。

非営利団体「スペイン医療用大麻観測所（OECM）」の代表であるカローラ・ペレス（Carola Pérez）氏は、ガルシア大臣の医療用大麻に関する公約について、重要な”転換点”であると語りました。

「10年間この仕事に取り組んでいますが、文書に署名がなされた日が私にとってお祝いの日となるでしょう。しかし、今日もお祝いの日となります。なぜなら、痛みの専門家でもあり、患者のことを本当に気にかけてくれる人（ガルシア大臣）が来てくれたからです」

「（政府は）可能な限り良いものにするために私たちと協議すると言ってくれたので、私たちは本当に喜んでいます。スペイン政府からこのような言葉を聞いたのは初めてです」

ペレス氏によれば、麻酔科医でもあるガルシア大臣は以前から医療用大麻を推進しており、2015年の時点ですでにスペイン医療用大麻観測所とも関わりを持っていました。

ガルシア氏は保健大臣に就任した際、ペレス氏に早速「スペイン医薬品・健康食品庁からの（医療用大麻規制に関する）文書を1年間待っているので、これを進めたい」と話したとのこと。加えて、「政府はこれを迅速に実行し、患者や専門家と協議するつもりだと彼女（ガルシア大臣）は主張した」とペレス氏は語りました。

スペイン医薬品・健康食品庁はすでに、医療用大麻の規制枠組みに関する草案を保健省に送付。保健省は近日中に、スペイン医療用大麻観測所を中心としたグループとともに円卓会議を行う予定です。

なお、スペインでは、スペイン医薬品・健康食品庁から認可を受けた企業は医療及び研究目的で大麻を栽培することが許可されています。

このうちの1社「Linneo Health」のCEOであるドン・ベラミー（Don Bellamy）氏は、「スペインの新任保健大臣であるモニカ・ガルシア・ゴメス氏が、スペインにおける医療用大麻規制の法制化に関する小委員会がこれまで中断していた作業を再開する意向を伝えたことは、非常に心強いです」