2022年5月2日、嗜好用大麻を合法化したウルグアイにおいて、若年層の大麻使用者が減少していたことを報告した論文が公開されました。
ウルグアイでは2013年に世界で初めて嗜好用大麻の合法化法案が可決。2014年に施行、2017 年よりディスペンサリー(薬局)での販売が開始されています。18歳以上のウルグアイ国民および永住権保持者において、大麻の使用が認められています。
今回の研究では、ウルグアイとチリの中・高校生約20万人を対象とし(2007~2018年のデータを使用)、ウルグアイの嗜好用大麻合法化前後における若年層の大麻使用状況の変化が分析されました。過去1年および1ヶ月以内の大麻使用や、頻繁摂取(月に10日以上使用)が増えていないかなどを調査。さらに中・高校生(12〜17歳)だけでなく、18〜21歳の学生(合法的に大麻の使用が可能となる年齢)における変化も分析されました。
その結果、嗜好用大麻合法化法案可決および施行後において、過去1年および1ヶ月以内に大麻の使用を報告した若年者が減少していたことが明らかになりました。全サンプルにおいて、大麻の頻繁摂取者の減少も観察されました。2014年(嗜好用大麻の合法化法案が可決された翌年)においてのみ、18〜21歳の学生で大麻使用者の増加が観察されましたが、一過性にしか認められませんでした。
この結果は、ウルグアイにおいて嗜好用大麻の合法化が、若年層(12〜21歳)における大麻使用者の増加や乱用に結びつかなかったことを示しています。
なお、2012年に嗜好用大麻を合法化したアメリカワシントン州とコロラド州における研究では、ワシントン州では中・高校生の大麻使用者の増加が認められたのに対し、コロラド州では変化が認められなかったと報告されています。