大麻成分CBG、抗がん剤による末梢神経障害の症状を緩和

大麻成分CBG、抗がん剤による末梢神経障害の症状を緩和

- アメリカの基礎研究

シスプラチンやオキサリプラチンなどのプラチナ製剤や、パクリタキセルやビンクリスチンなどの微小管阻害薬といった抗がん剤は、しばしば副作用として末梢神経障害が問題となることで知られています。

これまでの基礎研究において、大麻草に含まれるカンナビノイドTHC(テトラヒドロカンナビノール)」や「CBD(カンナビジオール)」がこれらの抗がん剤による末梢神経障害の症状を緩和したことがすでに報告されてます(詳しくは「痛みとCBD・医療用大麻」の記事参照)。

そして今回それに続くように、シスプラチン誘発性末梢神経障害のモデルマウスに対しCBG(カンナビゲロール)が症状の緩和をもたらしたことが2022年7月28日、アメリカの研究者らにより報告されました

さらにこのマウスに対しては、CBG単体よりもCBDとCBGの併用のほうが有効性が高いことも示されました。

なお、今回示されたCBGの作用はα2アドレナリン受容体拮抗薬やCB1受容体拮抗薬により減弱し、CB2受容体拮抗薬により阻害されましたが、TRPV1受容体拮抗薬では影響が認められませんでした。

2019年のイギリスの研究では、シスプラチンにより悪液質を発症させたマウスに対しCBGを使用することにより、食事摂取量や体重の改善がもたらされたことが報告されています。

※悪液質とは?

食事を摂取しているのにも関わらず、体重減少、栄養失調、筋肉や脂肪量の減少が認められる状態。がんなどの消耗性疾患でみられる。

抗がん剤の副作用に対し有効性を示しながらも、がん自体の治療薬としての可能性も秘めているCBG。今後の研究報告に胸が高まります。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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