エピディオレックス、乱用の危険性は極めて低いという研究結果

大麻由来医薬品エピディオレックス、乱用の危険性は極めて低い研究結果

2022年4月30日、エピディオレックスの乱用リスクを評価した論文が、アメリカの研究者らにより公開されました。

エピディオレックスは高濃度CBD(カンナビジオール)製剤で、認可された欧米諸国において難治性てんかんの治療薬として使用されています。

エピディオレックスはDEA(アメリカ麻薬取締局)においてスケジュールⅤの薬物に指定されています。なお、CBDの大元となる大麻は、スケジュールⅠの薬物に指定されています。

※DEAによる薬物のスケジュールはⅠ〜Ⅴに分類されており、数字が大きくなる(Ⅴに近づく)につれ、乱用リスクは低いとされる。

エピディオレックスは副作用として傾眠(眠くなり、ボーっとした状態)を認めることが多く、睡眠薬としてよく用いられるベンゾジアゼピン系薬(ほとんどがスケジュールⅣの薬物に指定)と似たような作用であることから、今回の研究で乱用の危険性が検討されました。

この研究はマウスとアカゲザルにおける基礎研究で、エピディオレックスの原薬(CBD98%)、ヘロイン(スケジュールⅠの薬物)、ミダゾラム(ベンゾジアゼピン系薬)を使用することで、エピディオレックスの乱用リスクについて包括的に評価されました。

その結果、エピディオレックスは乱用に至る危険性が極めて低いことが示されました。また、マウスに100mg/kgのCBDを慢性的に投与した後、20日間使用を中止しても、離脱症状が認められませんでした。これはエピディオレックスに身体的依存性がないことを示しています。

以上の結果から、エピディオレックスが乱用される危険性は無視できるレベルであると、研究者らは結論づけています。

CBDについては、人において1500mg/日の使用量でも忍容性が良好であったことが報告されています。

嗜好用薬物を多剤併用している健康な成人35名に対しCBD750mg、1500mg、4500mgを経口摂取してもらい、CBDの乱用の危険性を評価した2018年の研究では、CBD4500mgという治療外の高用量においても、他の薬物と比べて乱用のリスクが低いことが示されています。また、この研究においてみられた副作用は軽度〜中程度(下痢、傾眠、頭痛など)であり、重篤な副作用は認めれませんでした。

日本においても今後難治性てんかん患者に対し、エピディオレックスの治験が行われる予定です。アメリカにおいてスケジュールⅤの薬物に分類されてはいますが、大麻由来の薬ということで不安になる患者・家族が多いかもしれません。

今回の研究結果は、このような方々の不安を軽減するものになるのではないでしょうか。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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