現在、日本においても話題になっているCBD製品。日本では精神活性作用のある成分THCを取り締まりの対象と定めており、厚生労働省によるCBD製品輸入ガイドラインには「THCはゼロもしくは検出下限値未満」である必要があるとしています。
しかし、天然のヘンプ由来である限り完全なゼロ(0.000000…%)にすることは難しく、検出下限値が具体的にどういった検査を行った時のどの数値なのかは不明であり、いつどのCBD事業者が厚生労働省のHPに「大麻成分THCを含有する製品について」とブランド名や製品を公表されてもおかしくない状況が続いています。
そのため、日本の酒税法でアルコール分1%未満のものをノンアルコールと規定しているように、THCの明確な基準を設けて欲しいと日本のCBD事業者は声を上げています。
日本と同様にCBD製品が話題になりCBD製品の売上が上昇しているイギリスにおいてもTHCの基準をどうすべきか議論されており、現在は容器の大きさに関わらず1容器あたりTHC1ミリグラムとされていますが、12月17日(金)にイギリスの政府機関であるACMD(Advisory Council on the Misuse of Drugs:英国薬物乱用諮問委員会)がCBD製品に含まれるTHCなどの精神活性成分の適切な量に関する新たな提言をまとめた報告書を発表しました。
この報告書は、2021年1月にイギリス内務省がCBD製品の法整備を行う意向を表明したことを受け、作成されました。
この報告書の中では、製品に含まれるTHCなどの精神活性成分を「1回の使用につき50μg(マイクログラム)」とすることが推奨されています。
50マイクログラム=0.05ミリグラム
Why 50μg?
ACMDによると、この数値を決めるにあたって、研究文献を精査し「デルタ9THCの摂取量が1ミリグラムであれば、重大な精神作用を引き起こす可能性は低い」と結論付けました。
その上で、「年齢・体格・反応の個人差」を考慮した不確実性係数と、「使用状況の変化・複数製品の同時使用」を考慮した不確実性係数を適用し、その結果、推奨レベルは50マイクログラムとなりました。
精神作用のない量 | 1mg |
(1/10に削減) 年齢・体格・反応の個人差 | 100μg |
(1/2に削減) 使用状況の変化・複数製品の同時使用 | 50μg |
製品によって有利不利が生まれる
ACMDは、THC含有量に重量制限を設けることで不利な製品タイプが存在することを認めており、「オイルやカプセルなど1回の摂取量が少ない製品の製造者は、飲料など1回の摂取量が多い製品の製造者よりもTHCの含有量が少ないCBDアイソレートを使用しなければならないでしょう」と述べ、これによる影響はあるものの、「カンナビノイドの量の設定は、法律上最も簡単にできるという利点がある」と結論を出しています。
足りない検査機関
ACMDは、評価する検査施設はISO規格17025:2017の認定を受けるべきであり、その認定を受けた検査施設を利用して品質評価試験を行うべきであるとしています。
しかし、微量のTHCを判定するのに十分な施設は足りておらず、イギリスの検査体制の改善の支援をACMDは求めています。
アメリカの0.3%という基準値の場合、1滴のオイル、100gのエディブル、500mlのドリンクなど製品によって摂取量は異なるため、摂取量を基準にするというイギリスのアプローチ。
報告書の中には、CBDが高熱でTHCに変換される可能性があるかどうかを確認するために更なるVapeの研究を行う必要があるとも記されています。
ACMDの報告書は内務省に提出され、今後、消費者向けCBD製品の法律の制定が検討されます。
また、今月イギリスではFSA(英国食品基準庁)がCBD業者に対して警告を行っています。