ノースカロライナ州の先住民が嗜好用大麻を合法化へ

米国ノースカロライナ州の東部チェロキー族（Eastern Band of Cherokee Indians）は、9月7日に行われた住民投票で嗜好用大麻の合法化を承認。大麻の販売が開始されるのはまだ先になりますが、嗜好用途でも医療用途でも大麻が違法であるノースカロライナ州にとって、これは大きな意味を持ちそうです。

アメリカの先住民である東部チェロキー族は連邦政府公認の主権国家であり、州や連邦政府の禁止事項に関係なく、大麻の施策を決定することができます。

そこで、東部チェロキー族は大麻改革を実施するため21歳以上の成人における大麻合法化の賛否を問う住民投票を部族内で実施。その結果、東部チェロキー族は賛成約2,400票、反対約1,000票の賛成多数で承認しました。

この投票結果はすぐに大麻の使用を合法化するものではなく、今後東部チェロキー部族評議会（Eastern Band Tribal Council）が嗜好用大麻合法化法を制定することを認めるものとなります。

東部チェロキー族農業・天然資源局（Division of Agriculture & Natural Resources）のジョーイ・オウル（Joey Owle）長官によれば、嗜好用大麻の販売は9ヶ月〜1年半後に実現すると予想。

なお、東部チェロキー族は2021年、州内で初めて医療用大麻の合法化も承認しています。今年7月には21歳以上の適格な病状を有する部族を対象として、医療用大麻の治療を受けるのに必要な登録カードの申請受付を開始。今年の秋には初の医療用大麻販売店がオープンする予定です。

東部チェロキー族の大麻企業「クアラ・エンタープライズ（Qualla Enterprises）」は7月、医療用大麻の総収入は2億600万ドル（約304億円）から始まり、5年目には5億7,800万ドル（約854億円）に達する見込みであると述べています。

また、嗜好用大麻が合法化された場合、初年度の収益は控えめに見ても3億8,500万ドル（約569億円）に達し、5年目には8億ドル（約1,182億円）を超える可能性があるとしています。

一方、東部チェロキー族が嗜好用大麻合法化に向けた住民投票を実施することを受け、ノースカロライナ州の連邦下院議員チャック・エドワーズ（Chuck Edwards）氏は同部族に中止を要求。その後、9月1日にエドワーズ議員は米国内で嗜好用大麻を合法化した州や部族に対し、連邦政府からの一定の資金提供を差し止める法案「Stop Pot Act」を提出しています。

東部チェロキー族の部族長であるリチャード・G・スニード（Richard G. Sneed）氏は「先住民に選ばれていない役人ができる最悪のことは、主権を持つ連邦政府公認の先住民族に自分たちの仕事をどのように扱うべきかを指図することです」と批判しつつ、「今のワシントンD.C.では、そのような法案はどこでも通らないと断言できます」と楽観的な姿勢も見せています。

ノースカロライナ州議会では今年3月、医療用大麻合法化法案が上院で可決。法案は下院に送られましたが、共和党員から十分な支持が得られずに停滞しています。