ニュージャージー州、「大麻ラウンジ」の運営を可能に

by 廣橋大

2024年1月23日

New Jersey/News

1月17日、米国のニュージャージー州規制当局は大麻小売店で購入した大麻を敷地内で消費できる「大麻ラウンジ」の運営を許可する規則案を承認。この新規則は来月から施行される予定です。

ニュージャージー州大麻規制委員会は2022年12月、大麻ラウンジに関する仮の規則案を承認。その後、同委員会は2023年3月までの間、パブリックコメントを募集しました。

それからおよそ10ヵ月が経過した会合で、同委員会は大麻ラウンジの運営を認める最終規則案を全会一致で承認しました。

最終規則案の具体的な内容は、主に以下の通り。

大麻ラウンジを運営するためには、大麻小売業者は大麻規制委員会にライセンス申請を行う必要がある。ライセンス料はマイクロビジネス事業者で1,000ドル、通常の事業者で5,000ドル。承認されたライセンスは1年間有効で、毎年更新が必要。
大麻小売業者は認可された店舗数に関わらず、大麻ラウンジを1箇所でしか運営できない。
大麻ラウンジの利用者は21歳以上でなければならず、写真付きの身分証明書を提示する必要がある。
大麻小売店が食品を販売することはできないが、消費者は大麻ラウンジに食品を持ちこむか、食品を配達してもらうことができる。
医療用大麻患者は他の小売店から購入した大麻製品を大麻ラウンジに持ち込み、消費することができる。
大麻ラウンジでは、タバコやアルコールの販売は禁止される。

ニュージャージー州大麻規制委員会の最高責任者であるジェフ・ブラウン（Jeff Brown）氏は「大麻を消費する場所を確保することは、単なる娯楽ではありません。これは公平なアクセスを提供し、合法大麻製品を消費するための安全な場所を人々に提供することでもあります」

「この動きは大麻を楽しむ場所が制限されているコミュニティ（とりわけ、大麻を消費することができない賃貸住宅居住者）にとって、特に重要です」とコメント。

また、大麻規制委員会メンバーは大麻ラウンジの運営が許可されることで税収が増え、州にとってプラスの経済効果が期待されると述べています。これに関連しブラウン氏は昨年末、2024年において州内の大麻売上高が10億ドル（約1,482億円）を超えると予測しています。

ブラウン氏によれば、近日中に大麻ラウンジライセンスの申請方法が公開されます。承認された規則案は2月までに官報に掲載され、発効される見込みです。

ニュージャージー州は2021年に嗜好用大麻を合法化。州内の嗜好用大麻市場は徐々に拡大しており、大麻から得られた税収は暴力防止プログラムなどに活用されています。また、ニュージャージー州は昨年より、大麻の安全教育にも取り組んでいます。

同州は”社会的公平性”にも力を入れており、昨年10月には麻薬戦争によって被害を受けた地域の大麻事業者を支援するために、合計で1,200万ドル（約18億円）の助成金を交付することを発表しました。

他にも、同州は昨年9月27日より3ヶ月間、大麻関連の前科がある人や経済的に不利な地域に住んでいる事業者を対象とし、嗜好用大麻の卸売、販売、配達のライセンスを優先的に承認。現在は女性、マイノリティ集団、障がいを持つ退役軍人に対するライセンス承認を優先しています。3月27日以降は全事業者を対象とし、ライセンス申請を受け付ける予定です。

なお、大麻規制委員会は1月17日の会合で小売業者、製造業者、栽培業者、配達業者を含む70の大麻ビジネスライセンスを新たに承認しています。