マルタ共和国では、現地時間12月14日(火)にマルタ議会で大麻合法化法案「法案No. 241」の最終投票が行われます。
賛成多数で可決し、ジョージ・ヴェラ(George Vella)大統領の署名を経て、今週末までに法案が施行される予定であると平等・研究・イノベーション担当大臣のオーウェン・ボンニチ(Owen Bonnici)氏がGuardian紙に語っています。
法改正を行い合法化に踏み切るのは、マルタ共和国がヨーロッパ初となります。ヨーロッパでは、オランダを筆頭に合法化を感じさせる国がありますが、それらは法律上は違法のままでありながらも個人使用目的では取り締まらないという寛容政策を取っています。
ボンニチ大臣は、「大麻使用者に対する容赦のない今までの手段は不均衡で不正なものであり、模範的な生活を送っている人々に多くの苦しみを与えていたことが理解されつつあります。マルタがヨーロッパで規制機関を設置して大麻合法化法案を制定する最初の国になることを大変嬉しく思います」と述べています。
(ボンニチ大臣ツイート翻訳)大麻改革は正しい方向への一歩です。理由は以下の通り。
Cannabis Reform is a step in the right direction. Here is why: pic.twitter.com/dldnWsfvFW
— •Owen Bonnici (@OwenBonnici) December 10, 2021
マルタの嗜好用大麻法案の重要箇所は以下の通り。
■ 18歳以上の7グラムまでの大麻の所持を認める
■ 居住人数に関わらず1世帯4株までの自宅での栽培を認める(他人から見えないようにすることが条件)
■ 乾燥大麻を50グラムまで自宅で保管することを認める
■ 自宅で栽培できないまたはしたくない場合に、非営利団体として特別に設立された個人のみを会員とするカンナビスクラブでの購入を認める(18歳未満は、会員になることも施設内に入ることもできない)
■ 大麻に関するライセンスを発行する規制機関を新たに新設し、同機関がカンナビスクラブの大麻の栽培、乾燥、輸送など品質に関する要件を定義する
■ カンナビスクラブは、新たに新設された大麻規制機関に登録し許可を得なければいけない
■ 学校や若者が多く集まる場所から250メートル以上離れた場所にカンナビスクラブを設置しなければならず、大麻の宣伝や大麻文化に関連する看板や文字、絵などを表示することはできない
■ 会員制でカンナビスクラブは運営され、会員1人につき乾燥大麻を1日に7グラム、1ヶ月に50グラムまで、大麻の種子を月に20粒までを上限に販売が可能。また、複数のカンナビスクラブの会員にはなれない
■ 各協会の会員数は500人を上限とし、最大保管量は乾燥大麻500gまで
■ 会員の名簿は匿名で運営される
■ 7グラム以上の所持は50〜100ユーロの罰金
■ 18歳未満の目の前で大麻を使用した場合、300~500ユーロの罰金
■ 公共の場での喫煙は禁止
■この法案で認められている内容での大麻に関する犯罪履歴がある場合は、犯罪記録を簡単な書面申請のみで抹消することができる
■ 現在の法律でインド麻(Indian Hemp)と呼んでいる名称をカンナビスとし、THC含有量0.2%以下の製品はカンナビスに含まない
また、マルタ共和国の合法化法案では非営利のカンナビスクラブ以外の販売許可はされませんがドイツは販売も含めた嗜好用大麻合法化を行うと現在の連立与党が発表しています。
ルクセンブルクは、マルタ共和国と同様に個人の栽培と使用を合法化する法案を提出しており2022年初頭に国会で採決予定で、可決される見込みです。
2022年は、ドイツ、ルクセンブルクを始めヨーロッパ各地で大麻の法改正が行われる可能性が高いと予想されています。
嗜好用大麻は、国単位では2013年にウルグアイが世界で初めて合法化を行い、その後2018年にカナダが合法化しています。米国では州単位での合法化が進んでいます。