「ルクセンブルク」現在の大麻の合法化状況

「ルクセンブルク」現在の大麻の合法化状況

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嗜好用大麻

合法

医療用大麻

合法

嗜好用大麻における規定

2001年、個人使用目的での大麻の所持、使用、入手、運搬を非犯罪化。

2018年、ヨーロッパで初めて嗜好用大麻を合法化する計画を発表。

2021年にはヨーロッパ初となる嗜好用大麻合法化法案が提出されましたが、新型コロナウイルスの流行や国際的な制約などが原因となり、立法過程が遅延(この間、マルタがヨーロッパ初の大麻合法国に)。

2023年4月、嗜好用大麻合法化計画の詳細を発表。計画は2段階に分かれ、第1段階では個人使用目的の大麻の所持・栽培を合法化し、第2段階では嗜好用大麻の試験販売プログラムを実施することを明かしました。

2023年6月28日、個人使用目的での大麻の所持・栽培を合法化する法案を可決。2023年7月21日より施行。

第2段階の計画については、2023年11月に誕生した新政権により凍結されています

◯所持・使用

18歳以上の成人は、3g以下の大麻の所持が可能。

公共の場での所持・消費は禁止。これらが判明した場合、3g以下の所持では25〜500ユーロの罰金刑(民事罰)、3gを超える所持では最大6ヶ月の懲役または最高2,500ユーロの罰金が課せられます(刑事罰)。

◯栽培

1世帯につき、4株までの栽培が可能。

栽培は自宅か常居所で行い、公共の場から見えないようにする必要があります。

大麻の種は現時点でルクセンブルク国内の店舗で入手できないため、オンラインか海外で購入しなければなりません。

◯販売

国内の成人を対象とした嗜好用大麻試験販売プログラムが実施される予定でしたが、この計画は現在凍結されています。

医療用大麻における規定

2015年、多発性硬化症の痙縮に対する大麻由来医薬品「サティベックス」の処方を許可。

2018年、医療用大麻合法化。

ルクセンブルクにおける医療用大麻とは、「THCCBDの濃度が明確に規定された大麻の花(ドライフラワー)、または大麻草に由来する全ての成分や化合物(標準化され認証されたオイル、チンキ剤、抽出物など)のうち、保健省が医療目的での使用を承認したものを指します。

医療用大麻を調剤できるのは、国内4箇所の病院薬局のみ。これらの薬局で認可された大麻製品を購入する際、患者は一切費用を負担する必要がありません(保健省が負担)。

特定のトレーニングを受けた医師であれば、条件を満たす患者に対し医療用大麻の処方が可能。

医療用大麻の処方を受けられる病状は、以下の通り。

・抗がん剤による悪心・嘔吐
・多発性硬化症に関連する痙縮、筋肉のけいれん
・重篤な病気、QOLを著しく損なう病状、薬などの標準治療で効果がない慢性疼痛など

産業用大麻における規定

2008年、THC0.3%以下の産業用大麻(ヘンプ)を合法化。

EMCDDA「European Legal Database on Drugs」https://www.emcdda.europa.eu/attachements.cfm/att_5741_EN_Decriminalisation_Legal_Approaches.pdf

Portail Santé「Cannabis médicinal」https://sante.public.lu/dam-assets/fr/publications/c/cannabis-medicinal-autorise-au-luxembourg-fr/cannabis-medicinal-autorise-au-luxembourg.pdf

Médiateur Santé 「CANNABIS MÉDICINAL」https://mediateursante.public.lu/fr/vos-droits/situations-interventions-specifiques/cannabismedical.html

Journal officiel du Grand-Duché de Luxembourg「Loi du 20 juillet 2018 modifiant la loi modifiée du 19 février 1973 concernant la vente de substances médicamenteuses et la lutte contre la toxicomanie」https://legilux.public.lu/eli/etat/leg/loi/2018/07/20/a638/jo

日本人に向けた外務省からの注意喚起

日本では、大麻取締法において、大麻の所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ、処罰の対象となっています。この規定は日本国内のみならず、海外において行われた場合であっても適用されることがあり、在留邦人や日本人旅行客におかれましては、これら日本の法律を遵守の上、日本国外であっても大麻に手を出さないように十分注意願います。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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