大麻使用者は非使用者と比べ、血圧が低いことが明らかに

2月5日、UKバイオバンクのデータを分析した結果、大麻使用者は非使用者よりも血圧が有意に低かったことがフランスの研究者らにより報告されました。この報告は学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されています。

UKバイオバンクとは、遺伝的要因や環境的要因（栄養、生活様式、薬物療法など）が慢性疾患に与える影響について調査したイギリスの情報資源のこと。50万人以上ものデータがあり、これらのデータは疾患の予防や治療に役立てられます。

今回の研究では、これらのデータのうち、大麻使用に関する質問に回答し、血圧測定を実施した91,161名のデータを分析し、大麻使用が血圧に与える影響やその性差について調べられました。なお、これらのデータは、心血管系の既往歴、降圧薬や抗うつ薬の服用者が除外されたものになります。

大麻使用者は、これまで大麻を使用した回数に応じて、初期ユーザー（1〜10回）、並ユーザー（11〜100回）、ヘビーユーザー（101回以上）の3群に分類。そこからさらに、現役使用者（大麻の使用開始日と最終使用日の間が1年未満）と過去の使用者の2群、使用頻度に応じて、毎日、週1回以上、月1回以上、月1回未満の4群に分類されました。

その他交絡因子として、糖尿病や脂質異常症の既往歴、たばこの喫煙やアルコールの使用歴などの情報も解析に含まれました。

全体として、男性（40,366名）は女性（50,795名）と比べて血圧が高く、大麻のヘビーユーザー・現役使用者が多く、飲酒の摂取頻度や現役のタバコ使用者の割合が高くなっていました。

大麻のヘビーユーザー（2,837名：男性1,762名、女性1,075名）は非使用者（68,310名：男性28,799名、女性39,511）と比べ、若年で、現役のたばこ使用者や飲酒頻度の高い人が多く、所得と教育レベルが高く、BMI（肥満度）が低くなっていました。

検証の結果、大麻のヘビーユーザーは非使用者と比べ、最高血圧、最低血圧、脈圧（最高血圧と最低血圧の差、数値が高いほど動脈硬化の可能性を示す）が有意に低いことが明らかに。特にこの差は女性において認められました。

なお、大麻のヘビーユーザーのうち、毎日大麻を使用していたのは男性46.9%、女性47.8%。週に1回以上大麻を使用していたのは男性45.8%、女性46.6%。現役の大麻使用者は男性42.5%、女性36.8%でした。

年齢による影響を除外して解析しても、大麻のヘビーユーザーと非使用者との間における血圧の差は男女とも有意なままでした。また、大麻の現役使用者でも男女ともに、非使用者と比べて最高血圧、最低血圧、脈圧が有意に低いことも分かりました。

そのほか男女別において、以下のようなことが明らかとなりました。