日常的な大麻使用、高血圧の発症と関連せず

日常的な大麻使用、高血圧の発症と関連せず

- アメリカの観察研究

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12月22日、アメリカの全国健康・栄養調査(NHANES:National Health and Nutrition Examination Survey)のデータを分析した結果、日常的な大麻使用と高血圧の有病率との間に関連性がなかったことが同国の研究者らにより報告されました

NHANESとは、アメリカの保健福祉省所轄の疾病管理予防センター(CDC)の下部組織である国立衛生統計センター(NCHS)によって実施されている調査のこと。アメリカ国民の健康と栄養状態を評価することを目的とし、2年ごとにデータの収集が行われています。

今回の研究では、2017〜2018年のデータから高血圧と薬物使用について両方から回答を得たものを使用。

高血圧は「過去に医師から高血圧と診断」あるいは「降圧薬を処方されたことがある人」と定義。大麻の使用については、「大麻あるいはハシシ(大麻樹脂)を吸ったことがありますか?」という質問に対し「YES」と回答した人を対象とし、過去の使用経験、現在の使用、使用頻度、使用開始年齢などのデータが調べられました。

これにより4,565名のデータが収集され、このうち高血圧と診断されたのは30.9%(1409名)で、過去に日常的に大麻を使用していた人は19%(867名)。高血圧と診断された人のうち、日常的に大麻を使用していた人は15.4%(217名)でした。

全体として、大麻の日常的使用により高血圧の発症率が高まることはなく、むしろ大麻を使用していない人のほうが高血圧の人の割合が多かったことが明らかに

高血圧と診断された過去の日常的大麻使用者217名と、高血圧のない過去の大麻使用者650名を比較し分析した結果、高血圧のない人は過去1年以内の日常的な大麻使用(高血圧のない大麻使用者63.7%、高血圧の大麻使用者52.5%)や現在の大麻使用(高血圧のない大麻使用者49.7%、高血圧の大麻使用者43.3%)を報告した割合が有意に多くなっていました

高血圧のある大麻使用者のうち36.9%が低頻度(1〜8回/月)、22.6%が中程度の頻度(9〜24回/月)、40.6%が高頻度(25〜30回/月)、高血圧のない大麻使用者のうち40.2%が低頻度、21.1%が中程度の頻度、38.8%が高頻度で大麻を使用。両者を比較・分析した結果、大麻の使用頻度と高血圧の発症率に差は認められませんでした。

大麻の使用開始年齢は、高血圧の大麻使用者のうち70%が19歳以下、27.6%が成人前期(20〜39歳)、2.4%が成人後期(40〜59歳)、高血圧のない大麻使用者のうち71.8%が19歳以下、26.2%が成人前期、2%が成人後期であり、こちらも両者で高血圧の発症率に有意差が認められませんでした

また、ロジスティック回帰による統計分析でも、過去の日常的大麻使用、現在の日常的大麻使用、大麻の使用頻度、大麻の使用開始年齢はいずれも高血圧の発症率上昇と関連していませんでした。

一方、NHANESの2005〜2014年または2005〜2012年のデータを分析した結果では、逆に大麻使用と血圧上昇との間に関連性があることが指摘されています。これらの分析は高血圧の有病率ではなく、血圧の数値に焦点が当てられていました。

これに対し研究者らは、当時は大麻に対する否定的なバイアス(偏った考え)が存在した可能性があるとし、今回の研究には州レベルで医療及び嗜好用大麻の合法化が進んだ後に実施されたという強みがあると述べています。

また、このように大麻使用が血圧や心疾患の有病率に与える影響には相反する結果が報告されていることから、現時点で結論を出すことはできず、今後は大麻の使用量、使用期間、摂取方法なども考慮した研究が必要であるとしています。

26,844名分のデータを分析した2021年のアメリカの研究では、今回の研究結果と似たように、生涯の大麻の使用経験、12ヶ月間の大麻使用、大麻の使用頻度は高血圧の発症率と関連がなかったことが報告されています。

2021年のイスラエルの研究では、高血圧を有する高齢者26名が3ヶ月間大麻を使用することにより、24時間の平均血圧が有意に低下したことが報告されています。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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