カンザス州知事、医療用大麻が違法であることを「バカげている」と発言し、合法化求める

現在、嗜好・医療用大麻の両方が違法となっている、米カンザス州。

カンザス州知事であるローラ・ケリー氏は1月24日、州議会の演説で、医療用大麻が違法であることを「バカげている」と非難し、医療用大麻の合法化を議員らに求めました。

カンザス州では昨年末に、ある事件が起きました。

ヘイズ・メディカルセンターという病院に、末期がんでほとんど寝たきり状態の患者グレッグ・ブリッツ氏（69歳）が入院していました。手術もできず、化学療法もうまくいかない。強い痛みに苦しんでいた彼は、主治医から「痛みを緩和するためなら、どんな手段でも試して良い」と言われました。

そこで彼は、THCリキッドをベイピングしたり、朝食時にはTHCを含む食用ペーストをパンに塗って食べたりするようになりました。

しかし12月16日、ベイプを吸っているところを職員が発見し、警察に通報。病室に乗り込んだ警察は逮捕こそしなかったものの、THC製品を全て押収し、違反切符を切り、年明けに出廷を求めました。

最終的に告訴は取り消しとなりましたが、疼痛緩和に用いていた大麻製品は押収されたまま。この出来事の3週間後、彼はこの世を去りました。

ブリッツ氏の息子であるリーは「化学療法でうまくいっていなかったので、他の選択肢を模索していました。それ（大麻製品）は少しは役に立っていたみたいです。けど、病院スタッフの通報により、全てが崩れました」と述べました。

彼は、警察が法に従って行動しただけであると理解しつつ、「カンザス州は医療用大麻を合法化し、必要としている人々を助ける必要がある」と法律そのものの変更を訴えました。

州知事は、議会の演説の中でこの話を取り上げ、「警察は法律を執行しただけ。バカげているのは、法律そのものだ」と発言。

さらに州知事は、末期がんを患っていた退役軍人デイブ・オーブル氏の話についても取り上げました。オーブル氏は、症状緩和のための治療手段が他になくなったことから、議会に手紙を出し、医療用大麻の合法化を懇願。しかし、彼は法を犯すことを避け、最期まで大麻を使用することなく、議会に手紙が届いた数日後に亡くなっています。

州知事は「毎日、何千人ものカンザス州民が、法を犯して苦痛なく生きるかどうかといった選択を迫られている。こんな耐え難い選択をする必要は絶対にない」「デイブに敬意を表して、もっと良いことをしよう。1日に何度も起きる発作に苦しむ子どもたち、PTSDに苦しむ退役軍人に敬意を表して、カンザス州民の生活をより良いものにするために、今すぐ（医療用大麻の合法化を）実行しましょう」と述べました。

州知事は、医療用大麻の合法化には複雑さが伴うとしつつも、共に協力すれば解決策は導けるとし、「（医療用大麻が合法となっている）他の39州はこれを心得ている。間違いなく、カンザス州もできるはず」と発言しました。