医療用大麻使用者の89%が「オピオイドよりも痛みをコントロールできる」と回答

医療用大麻使用者の89%が「オピオイドよりも痛みをコントロールできる」と回答

- 米プエルトリコにおける横断的研究

2022年7月6日、米プエルトリコにある主要な医療用大麻センターに訪れた人々に対しアンケート調査を実施した結果が報告されました。この研究の主な目的は、筋骨格系の痛みに対する医療用大麻の鎮痛効果を評価することでした。

有効回答者数は184名。大麻の適応疾患は広範囲かつ複数となっており、主な適応疾患は不安障害(63%・115名)、不眠症(54%・100名)、筋骨格系の障害(42%・77名)でした。

筋骨格系の障害として報告された具体的症状は筋肉のけいれん(52%・40名)、腰痛(19%・15名)、首の痛み(13%・10名)、股関節痛(9%・7名)、膝の痛み(6%・5名)でした。

回答者が使用していたオピオイド鎮痛薬はトラマドールが47%で最も多く、次いでパーコセット(43%)、コデイン(23%)となっていました。

最も多かった医療用大麻の投与経路は喫煙・吸入(36%・67名)で、次いでエディブル(25%・45名)でした。筋骨格系の障害を持つ人では他の疾患の人と比べ、大麻草由来のローションの使用率が有意に高くなっていました。

医療用大麻を使用する前、筋骨格系の障害を持つ人のNRSスケール(痛みの強さを0〜10で評価。数値が高いほど痛みが強い)は平均8.09でしたが、医療用大麻使用後には3.62にまで減少していました。また筋骨格系の障害以外の痛みを有する人においても、平均6.96から医療用大麻使用により3.26にまで減少していたことが報告されました。

89%(164名)がオピオイドより大麻のほうが効果的に痛みをコントロールできると感じており、90%(165名)が処方薬よりも大麻の使用を薦めると回答。さらに90%が入院中の大麻製品の使用を許可・検討するべきとし、91%(167名)が医療用大麻を保険適応にするべきと回答しました。

今回の研究ではほとんどの人がオピオイドより大麻の使用を支持していましたが、実際にいくつかの論文では大麻の使用がオピオイドの減薬や中止に寄与したことが報告されています。

先日7月1日に公開されたカナダの論文では、腹痛モデルマウスにおいてCB1受容体作動薬がオピオイドと相乗作用し鎮痛作用をもたらしたことが報告されています。大麻草に含まれる精神活性成分THC(テトラヒドロカンナビノール)CB1受容体の部分作動薬であることを考慮すると、大麻使用がオピオイドの減量に結びつくというのは十分に考えられるでしょう。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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