膠芽腫(こうがしゅ)と呼ばれる脳腫瘍を治療するための研究に大麻医薬品であるサティベックス(Sativex)が使用されることになりました。
脳腫瘍の治療法を見つける研究を目的とした団体であるThe Brain Tumour Charityは、リーズ大学(Leeds University)のスーザン・ショート(Susan Short)教授が主導するサティベックスの試験のために45万ポンドの資金調達を求めています。
スーザン・ショート教授は、「サティベックスは膠芽腫の腫瘍細胞を死滅させる可能性があると考えており、検証したい」と述べています。
この試験では、2022年初頭に、イギリス国内の約15の病院やがんセンターから232名の患者を募集する予定です。
効果を調べるために、患者の3分の2にサティベックスを投与し、残りの3分の1にはプラセボを投与します。
プラセボとは?
偽薬のこと。効果があると言われると効果が皆無のはずの薬を服用しても患者自身が効き目があると思い込むことで病気の症状が改善することがあります。これをプラセボ効果と呼びます。
薬の効果を検証する臨床試験ではプラセボ効果を差し引いて、本当の意味での薬の有効性を科学的に明らかにする必要があります。プラセボは見た目、重さ、味覚など本当の薬と区別がつかないように作られ、誰がプラゼボを服用しているかを患者、担当医師、薬剤師、看護師などに分からないように実施されます。
脳腫瘍の治療法を見つける研究を目的としたイギリスの団体「The Brain Tumour Charity」は、大麻由来薬品による世界初の治験を始めます。https://t.co/gO5FG1qmwt pic.twitter.com/YLjFc9tZ53
— 𝘼𝙎𝘼 𝙈𝙖𝙜𝙖𝙯𝙞𝙣𝙚 (@asa_magazine) August 15, 2021
サティベックスは、2009年にイギリスの国民保健サービス(NHS:the United Kingdom National Health Service)で承認されたTHCとCBDを両方含む大麻医薬品で、痛みや炎症、不安を抑える効果があることで知られています。
膠芽腫は治療が難しく、手術、放射線治療、化学療法などの治療を行っても、ほぼ再発し平均生存期間は最初の診断から12ヶ月〜18ヶ月です。
東京オリンピックで水泳男子シンクロナイズドダイビング10メートル高飛び込みにおいて金メダルを獲得したトム・デイリー選手は父親を脳腫瘍で亡くしています。
今回の研究の資金を募るためのムービーにもトム・デイリー選手は登場し「脳腫瘍を治療する道を切り開くために協力してください」と語っています。
イギリスではこのようにカンナビノイドの研究のためにオリンピックの金メダリストも含めて資金を集める呼びかけをしていますが、日本においては大麻取締法によって研究も許されていません。
助かる命があるのならば、現代医学で見放された方々にサティベックスのような医薬品に限らず大麻の花など研究としてだけでも使えるように法改正をして欲しいと願っています。