Web3.0と大麻業界

Web3.0と大麻業界

DeFi・NFT・GameFi・メタバース・DAO

(ツイート日本語訳)

Web3が一時的な流行やバブルだと考えている人は、非常に多くの正当な消費者向けスタートアップがこの分野に直接参入しているのを見ていないでしょう…。

これらの人々は、ゲーム、コミュニティ/ソーシャルアプリ、クリエイターエコノミーなどを構築する専門家です。2022年は、すごい年になるでしょう。

著名VC(ベンチャーキャピタル)のアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitzまたはa16z)でパートナーを務めるアンドリュー・チェン(Andrew Chen)氏の2021年12月のツイートです。

ベンチャーキャピタルとは?

ベンチャー企業に出資し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンド

チェン氏は、Web3.0が一時的な流行やバブルではなく、世の中の大きな潮流であることを伝えています。

ここ最近、私の周りでもWeb3.0が話題に上がることが多くなって来ました。

Web3.0が生み出す世界は、IT界隈だけでなく、大麻界隈にも影響を及ぼす可能性が大きくあります。

しかし、まだまだ身近ではなく、将来この世界が実現するかも分かっていません。また、現在はインターネットやスマホ、SNSを当たり前に使用する社会となりましたが、インターネットやスマホ、SNSが登場する前の時期に概念や仕組みを説明されたり、手紙を書き切手を貼り文通していた時期にメールの送受信、セキュリティーの概念や仕組みを説明されたとしたら理解できたでしょうか?

今、SNSやメールを利用している人であっても、多くの人は理解できていないでしょう。

非常に難しいと感じるかもしれませんが、スマホ普及以前・以後のように大きな変化が起きるかもしれないテクノロジーの進化についてできるだけ分かりやすく解説していきます。

インターネットの誕生

1960年代のヒッピー・ムーブメント、幻覚剤の使用などと共にPCやインターネットが誕生。

詳しく知りたい場合は、『スペクテイター』Vol.48「パソコンとヒッピー」がオススメです。

Web1.0とは

元々Web1.0という概念はなく、Web2.0の誕生によって生まれた概念。

ウェブサイトを持ち、情報発信することが可能になりました。

Web1.0以前は、情報発信はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌など一部の大手メディアだけが行えるものであり、一個人や一企業が情報発信を行えるようになったことは革命とも呼べる変革です。本記事もWebなしでは届けられていません。

しかし、ユーザーが投稿したり、相互にアクションをし合うことはほとんどなく、「Read-only(閲覧のみ)」の世界であり、Web1.0時代はPCが必須でした。

Web2.0とは

代表的なサービスは、SNS(Facebook、Instagram、Twitter、YouTube、LINEなど)。

フォローやいいね、コメントなどユーザーが相互にアクションをし合う「Read & Write(閲覧&返信)」の世界。Web2.0では、PCからスマホへデバイスは変化。

SNSには「ネットワーク効果」(顧客が増えれば増えるほど、価値が高まること)があります。多くの人が使用することが価値であり、一旦トップになると爆発的にユーザーが増加する傾向があります。それによって、GAFAガーファ(Google、Amazon、Facebook、Apple)などのビッグ・テックを生み出しました。

検索、メールやチャット、会話、データの共有など各種サービスは多くが無料で提供され、便利になった一方で、ビッグ・テックによる寡占状況は、利便性を生みつつも弊害をもたらしていると指摘されています。

Web2.0の利便性と弊害

1  独占されているデータ

The world’s most valuable resource is no longer oil, but data.
(世界で最も価値がある資源は、もはや石油ではなくデータである)

引用(The Economist

SNSの使用、検索履歴、購入履歴などから、ユーザーが誰と繋がっているか、何に興味があるか、Aを買った人はBも買うなど、顧客自身でも把握していない潜在ニーズまでGAFAは知っています。

事業者の立場で考えると、多額の費用をかけ実店舗を持たずとも少額でオンラインショップの運営ができ、広告は細分化されたターゲットに対して少額から行えるようになりました。

しかし、一企業がデータを抱えている以上、流出や悪用の危険性をはらんでいます。

Web2.0では、ユーザーは顧客ではありますが、その本質はユーザーのデータこそが「商品」です。

2  不透明なデータ管理とアルゴリズム

収集されたデータやアルゴリズム(ニュースフィードや検索結果に何を表示させるかを決める仕組み)をどのように管理しているのか、十分な説明はありません。

アルゴリズムによって、Googleの検索結果の1ページ目の上位に何を表示させるか、SNSに何が優先的に表示されるかが決まっています。

現在は、人々がどの情報に触れるか、その情報によってどのような思想を持つかまで、ビッグ・テックがコントロール可能な状況になっており、ビッグ・テックが特定の地域の人々の思想を変えたいと考えた場合、何を表示させるかを巧みに変えていくことで実現してしまいます。

また、大麻に関するコンテンツは露骨に冷遇されており、特にFacebook、Instagramなどでは表示がされにくいように設定されています。

3  所有権はユーザーではなく企業にある

ビッグ・テックがデータを管理し、ユーザー(クリエイター)に所有権がないことも問題視されています。

利用者がサービス上で、またはサービスに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツ(写真や動画など)をシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に沿って)利用者のコンテンツをホスト、使用、配信、変更、実行、複製、公演、公開または翻訳し、またその派生作品を作成できる、非独占的、使用料なしの、譲渡可能、サブライセンス可能な、全世界を対象としたライセンスを弊社に付与するものとします。

 

本サービスにコンテンツを提供することにより、お客様は YouTube に対して、本サービスならびに YouTube(とその承継人および関係会社)の事業に関連して当該コンテンツを使用(複製、配信、派生物の作成、展示および上演を含みます)するための世界的、非独占的、サブライセンスおよび譲渡可能な無償ライセンスを付与するものとします。これには、本サービスの一部または全部を宣伝または再配布することを目的とした使用も含まれます。

 

引用(YouTube 利用規約

所有権がユーザーではなくビッグ・テックにあり、ビッグ・テックが何を正しい情報(リアルニュース)、何を偽の情報(フェイクニュース)であるかを決め、ビッグ・テックの裁量によってコンテンツの削除、アカウントの削除が決められています。

2021年は、数多くの大麻に関する投稿をしたアカウントがアカウントごと突如削除されました。

今まで熱心に努力を重ねて多くのフォロワーを獲得していても、突然アカウントが削除(Ban)されるリスクが現在のWeb2.0にはあります。

突然削除の対象となるのは、アメリカ合衆国という超大国の前大統領であっても容赦ありません。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の各種SNSアカウントは強制的に凍結や削除され、トランプ支持者が立ち上げたSNSは即座にアプリダウンロードサービスであるApp Store、Google Playから締め出されました。

フェイクニュースが拡散されることは危険であるとアカウント削除には擁護の声、ビッグ・テックが言論統制を行うことこそが危険であるという声が存在し、最近では新型コロナウイルスやワクチンについての意見などに対して言論統制が敷かれ、人々の分断を招いていると言われるなど民主主義の在り方が議論されています。

筆者の分断に関しての意見としては、平和な社会かつ一家に一台のテレビから一人一台のスマホで動画を見る時代に移り変わった社会では、人々の考えに分断(多様性)があるのは当然のことで、皆が同じ考えを持つ社会は歴史的には国民を兵士として戦場に向かわせていた戦時中のような状態であり、分断が良くないという考えを広めていることこそが現在利権を保有している企業、政治家、マスメディアが何らかの意図を持って発信しているように感じてしまいます。

Web3.0とは

昨今、仮想通貨(暗号資産)が話題となっており、その技術基盤であるブロックチェーンという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

旧来の仕組みでは、データのやりとりをする際にそのデータの信頼性を保証するために仲介する管理者がいました。

例えば、お金を送金する際には銀行が仲介人として保証し、銀行の帳簿で管理するという方法です。

ブロックチェーンの仕組みでは、仲介人に頼らず、分散して全員が帳簿を保有することで改ざんを防ぎ管理を行います。

旧来の仕組み

ブロックチェーン

Web3.0は、ブロックチェーンなどの分散型ネットワークを技術基盤としたWebです。

権力が中央に集結している中央集権型から、非中央集権型の分散型ネットワークにすることが特徴です。

では、分散型ネットワークで得られることは?

1  個人情報を渡さない

分散型ネットワークでは、ビッグ・テックが個人情報を管理することが無くなります。

個人情報を保護する行為は、個人情報データを商品としているビッグ・テックにとっては利益相反となり実現していません。

2  透明性

Web2.0であればビッグ・テックや政府などを信頼することで個人情報を提供してきました。しかし、不透明さを感じ疑念が生まれても圧倒的なネットワーク効果から、現実的に抜け出すことは困難でした。

Web3.0では、誰もがデータを検証でき、透明性が保証されています。

3  所有権

Web2.0では、クリエイターはコンテンツを生み出し各プラットフォーマーに多大な恩恵を与えても、所有権は保有しておらず、収益もわずかに分配されるだけでした。

ブロックチェーンを技術基盤として発行されたトークン(仮想通貨)を発行し、このトークンを通じてユーザーはサービスやコンテンツの所有権を持つことが可能になります。また、所有権を持つことによって収益を得ることも可能になります。

Web3.0では突然の削除(Ban)を恐れずに大麻コンテンツを発信できるかもしれません。

分散型ネットワークによる変化

DeFi

「DeFi:Decentralized Finance」日本語では「分散型金融」

対して、旧来の仕組みは「CeFi:Centralized Finance」日本語では「中央集権型金融」

CeFiの場合は、金融機関が仲介する必要があり金融機関に支払う手数料が発生してしまいますが、DeFiはブロックチェーンが取引を保証することで金融機関の仲介が必要ありません。また、地域に関係なく即時にサービスを利用できます。

NFT

今までは、デジタルのデータを誰の所有物であるかを証明することは非常に困難であり、100個限定と言われてもそれが本当に100個限定かは分からず企業を信頼するしかありませんでした。

しかし、NFTの仕組みではデジタルデータが誰の所有物かが確実に証明でき、限定販売の個数も保証されます。

詳しくは、「中田敦彦のYouTube大学」の説明が非常に分かりやすいので興味がある方はご覧ください。

NFTの売買を行えるNFTマーケットプレイスである「Opensea」は、2021年3月に評価額1.5億ドル(約170億円)だったのが2021年7月には15億ドル(約1700億円)、そして最近では130億ドル(約1兆5000億円)の評価額を付け3億ドル(約350億円)の資金調達を行なったと2022年1月4日に発表するなど急成長しています。

GameFi

GameFiとは、ブロックチェーンを基盤にして作られたゲーム。

Axie Infinity TOPページ 画面キャプチャ

今までのゲームであればゲーム内でアイテムを獲得しても、ゲーム内通貨を獲得しても現実世界には影響がありませんでしたが、現在すでに人気を博しているゲーム「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」では、ゲームをプレイすることで仮想通貨「SLP」や「AXS」を獲得することができます。

そして、これらは仮想通貨の取引所に上場しており、他の通貨に交換することも可能です。

一昔前は、「Pay to Play:プレイするためにソフトを買う」でしたが、スマホゲームの普及と共に「Free to Play:無料でゲームをプレイ(ゲーム内課金)」へ変化しました。これからは「Play to Earn:稼ぐためにプレイする」の時代がやって来ます。

メタバース

「Metaverse(メタバース)」とは、「変化・超越」という意味の「Meta」と「宇宙・世界」という意味の「Universe」が合わさり造語として生み出された言葉で、現実世界とは別の仮想世界という意味合いがあります。

ビッグ・テックのFacebook社が2021年10月付で社名を「Facebook」から「Meta(メタ)」へ変更するなど最近注目が集まっています。

Meta社はVR(Virtual Reality)ゴーグルを開発しているOculus(オキュラス)を買収するなどVR世界に投資を行い、Facebookのような実名SNSのオンラインコミュニケーションを起点として「現実世界に限りなく近い仮想世界」を開発しています。

VR空間ではないものの人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」の世界は、メタバースの世界とも言えます。

日本企業「ソニーグループ」は、Fortniteを運営するEpic Games社に巨額の投資を行い、映像とメタバースの可能性の研究に取り組んでいます。

また、米津玄師がFortnite内でライブを開催するなど、音楽業界とメタバースの融合による未来も話題になっています。

メタバースの世界観を表す映画

2018年4月20日に公開された「レディ・プレイヤー1」では、メタバースに入り込む世界観が映画となりました。

日本では、2021年7月16日に「竜とそばかすの姫」が公開。

現実の世界では心を閉ざしている少女が50億人以上が集まる仮想世界【U】の中では大人気の歌姫として全く別の人生を生きるというストーリーです。

テレビが、白黒→カラー→地デジとなり映像がリアルに追いついたように、ゲームでもドット絵(ピクセルアート)からリアルに追いついてきました。

VRの世界でも、日を追うごとにリアルに近付いており、将来はVR世界の仮想現実も現実の世界と感じるようになるかもしれません。

映像のクオリティーがどんどんリアルになった経過を、世代によってはFF(ファイナルファンタジー)で体感し、感動した記憶もあるのでは?

FFシリーズ、ドラクエ(ドラゴンクエスト)シリーズなどを展開しているスクウェア・エニックス・ホールディングスの代表取締役社長 松田 洋祐氏は、2022年1月1日に年頭所感を公開

技術進化がメタバースというコンセプトを生み出し、2022年はいよいよ本格的なビジネスフェーズに移行し、様々なサービスが登場する年になるでしょう。と語り、社会動向を注視しながら自社トークンを発行し、分散型ゲーム事業の展開を本格化させてゆくことを表明しています。

DAO

「DAO:Decentralized Autonomous Organization」日本語では「分散型組織」

今までのほとんどの組織では、CEOや経営幹部が存在し「上から下」に意思決定が下っていましたが、DAOでは意思決定はCEOや幹部によってではなく集団的に共同で行われます。

イーサリアムを作り出したヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)は、今後の組織構造は以下のようになり株式会社の構造は減少すると述べています。

 

労働者がいる

労働者がいない

経営者がいる

伝統的な株式会社

ロボットを使用する企業

経営者がいない

DAO

AIによる完全自動企業

より詳しく知りたい場合は、以下の動画をご覧ください。

最近では、PolygonがCEOやCOOなどの中央集権的な役職を廃止しDAOによる組織に移行したことを発表するなど、先陣を切って改革を進める組織も出始めています。

まとめ

Facebookが日本語版を一般公開したのが2008年5月。日本で初のiPhoneが販売されたのが2008年7月。最初は、日本人の国民性では実名制なんて流行らないと言われmixiを使用するなどしていました。

しかし、10数年で人々の生活は一変。オンラインショッピングも当たり前になり、ネットで物を買うなんて怪しい。心配。大丈夫?と言う声はほとんど聞かなくなりました。

人類の歴史上、こんなにも短期間でテクノロジーによって生活が一変することがあったでしょうか。

ブロックチェーンの仕組み、仮想通貨(暗号資産)、Web3.0、DeFi、NFT、GameFi、メタバース、DAOなどは今後各国が規制をかけるかもしれず、課題もまだまだ多いためどのような道に進むかは分かりません。

しかし、インターネット以前・以後というほどに、ブロックチェーン以前・以後で大きな変化が訪れようとしています。

大麻業界に目を向けると、米国が世界各国に圧力をかけ法改正を行わせ、この数十年間大麻禁止政策が世界的に行われてきましたが、その米国こそが州法改正によって医療用途、嗜好用途での大麻合法化を次々に実現しています。ただし、米国連邦法では大麻は違法行為のままで各金融機関は大麻関連企業に対して銀行口座を開設したり、融資を行うことなどができず、大麻産業では基本的に現金取引で販売が行われています。

このような現状だからこそ、トークン(仮想通貨)による取引が一気に大麻業界で生まれる可能性があります。

また、各SNSが大麻コンテンツを排除しているからこそ、新たなウェブを必要とする非常に大きなモチベーションやニーズが存在しています。

他の産業では当たり前のことが禁じられているからこそ、イノベーションが生まれるかもしれません。

私たちASA Magazine(麻マガジン)は、大麻メディアとして存在するだけでなく、大麻業界を起点に事業者が活動を安心して円滑に行い、進化成長しながらユーザーの利益にも繋がるインフラのイノベーションを起こし、世界へ届け、次の未来を創りたいと考えています。

今ここにない未来は自分で創る
 

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。ワクワクするスタートアップにシードからレイターまで投資ラウンド問わず投資したいため、起業家との出会い募集中。

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