大麻の免許制度と政治家の汚職

大麻免許制度と政治家の汚職

現在、今までドラッグと認識されていた大麻が医療として嗜好品としてなど、世界的に合法化の波が押し寄せています。

しかし、合法化と言ってもそれは自由化ではなく、政府による規制の枠組みの中で一部許されているという「禁止から適切な規制へ」というのが正しい捉え方だと感じます。

そのため、日本でタバコやお酒などを事業にする場合に制限があるように、誰でも好きなだけ自由に大麻の栽培や販売ができるものではありません。

大麻事業には免許が必要

どのようにして大麻の栽培や販売などを行うのか?

それは、ライセンス(免許)の保持です。

免許発行基準をクリアし、申請をし、認められ、発行されれば、申請料、更新料、税金などを支払うことで、栽培や加工、販売が認められます。

免許制は誰のため

免許制にすることで、誰にとって都合が良いのでしょうか?

安全のためのガイドラインなどを制定し、基準を設けることで製品の品質保証をし、消費者を守るということもありますが、一番恩恵を受けるのは政治家と大企業です。

タバコと免許

例えばタバコであれば、日本では1898年に日本政府が国産葉タバコの販売を独占的に管理する専売局を設置。

そしてこの専売局は1949年に日本専売公社として法人化。

1985年に日本たばこ産業株式会社法(通称:JT法)という法律が制定され、日本専売公社のタバコ事業を引き継いだ日本たばこ産業株式会社(英文社名:JAPAN TOBACCO INC.)が誕生しました。「JT」と呼ばれる会社です。JT法には全株式のうち3分の1以上の株式は日本国政府(財務省)が保有しなければならないと規定されています。

JTは法律で定められた日本における唯一のたばこ製造業者です。

アルコールと免許

アルコールは古来より日本人は自らの手でお酒を醸(かも)していましたが個人の酒造りは1899年に事実上禁止となりました。

明治政府の富国強兵の方針に基づいて税収強化のために目をつけられたのが酒造りでした。酒税の徴収が始まり、明治後期には税収の酒税の割合は3割を超えていた時期もあります。

資本主義社会において、酒税の徴収ができない個人の酒造りは許されないのです。日本では120年以上個人の酒造りは禁じられていますが、今もなお、解禁にする話は出ることがありません。

大麻合法化と免許

地域にもよりますが、大麻合法化後に国内で1社にしか免許が発行されない。数社にしか発行されない。投資家や経営陣に有色人種がいないなど、明らかな優遇や差別が存在しています。

そして、その数限られた会社に選ばれることができたら、競争相手がいない状況で事業を行えます。

そのため、行政のトップが裏金をもらう約束をし、そのような企業と協力関係となることがあります。

筆者の私自身、世界の大麻業界と様々な関わりを持ってきましたが、事業計画を立てる際に、政治家への支払いを予算に入れる、政治家の繋がりのある方に株を持ってもらう、という話を当たり前のようにしていました。

そして、先月には米国マサチューセッツ州で政治家が大麻起業家から賄賂を受け取っていたことが判明しました。

マサチューセッツ州で大麻事業を行うためには自治体のトップによる書面が必ず必要になります。

そのため、マサチューセッツ州のフォールリバー(Fall River)市では、前市長のジャシール・コレイア (Jasiel Correia)氏が4人の大麻起業家から47万5,000ドル(約5,000万円)以上の賄賂を受け取った罪で有罪となり連邦刑務所に収監されることとなりました。

このような行為は裏で分からないように行うため、この事件は氷山の一角と考えられます。

免許を取得するために地域の政治家の承認が必要である限りは、今後も同様のことは起こり続けるでしょう。

ちなみに、マサチューセッツ州で認可されている223の大麻事業のうち、有色人種が経営しているのは8つのみです。(出典:Forbes

合法化に伴う免許制度は、一部の政治家にとってはウハウハな制度なのです。

日本が大麻を合法化する際にはどのような道へ進むのでしょうか。

私は、自分の物は自分で作る。という自給自足の考えを持っているので、できることなら自分の物は自分で栽培したいと願っています。

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。ワクワクするスタートアップにシードからレイターまで投資ラウンド問わず投資したいため、起業家との出会い募集中。

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