バージニア州、医療用大麻患者の雇用保護を公務員にも適用

米国バージニア州の公務員は2024年7月1日より、民間の労働者と同様、医療用大麻の使用を理由に雇用主から罰則を受けることがなくなります。

医療用大麻が合法となっているバージニア州ではすでに、民間の雇用主が医療用大麻の使用のみを理由に従業員を解雇、懲戒処分、差別することが禁止されています。しかし、この対象に州や地方自治体の職員は含まれていませんでした。

今回新たにグレン・ヤンキン（Glenn Youngkin）知事が署名した法案「SB391・HB194」は、この雇用保護を消防士、救急サービス提供者、教師、医療従事者、整備士など、州内の公務員にも適用するものです。

ただし、これには法執行機関は含まれません。また、雇用主は引き続き、職場での大麻の使用を禁止したり、大麻の使用により仕事に支障をきたした従業員を罰することができます。

同法案の審議にあたり、参考人として招かれた公務員たちは議会に対し、医療用大麻の使用はオピオイドやアルコールの代替となると主張。例えば、ヴァージニア州消防士会（Virginia’s Professional Firefighters）の代表であるジョー・ミラビレ（Joe Mirabile）氏は、以下のように証言していました。

「私のメンバーはアルコールに頼ることがはるかに少なくなり、家でもよく眠れるようになり、オピオイドの処方箋を使わなくても関節痛や筋肉痛が軽減されるなど、他の良い効果が見られると報告している」

ヤンキン知事が法案に署名したことを受け、NORML開発ディレクター兼NORMLバージニア州支部事務局長であるJM・ペディニ（JM Pedini）氏は「本法案は、バージニア州民の安全を守るために命をかけている英雄たちの雇用を守るものである」

「バージニア州の消防士、救急サービス提供者、州の公務員は医療用大麻の合法的かつ責任ある使用に関して、民間の従業員に現在与えられている雇用保護を受ける権利がある。これは長い間待ち望まれていた勝利である」と述べました。

一方、ヤンキン知事は、大麻の使用のみを児童虐待やネグレクトの証拠としてみなさないようにする法案に拒否権を発動。昨年同じ内容の法案に署名したメリーランド州のウェス・ムーア（Wes Moore）知事と対照的となりました。

これに対し、ペディニ氏は「合法的な医療用大麻患者であるという理由だけで、バージニア州の子供たちは両親から不必要に引き離され続けることになる」と批判しています。

また、ヤンキン知事は3月、州内で嗜好用大麻の販売を合法化する法案にも拒否権を発動しました。バージニア州では2021年7月以降、嗜好用大麻の所持・自家栽培が合法化されていますが、その販売は依然として認められていません。

さらに、2022年より州知事に就任した共和党のヤンキン知事は、過去に大麻犯罪で有罪判決を受けた人々を救済するための法案も否決しました。

なお、民主党のラルフ・ノーサム（Ralph Northam）前知事の任期中には、大麻関連犯罪記録の多くが抹消・封印されています。