プロアスリート、CBDの局所使用により痛みや日常生活機能の改善を報告

プロアスリート、CBDの局所使用により痛みや日常生活機能の改善を報告

-アメリカの臨床試験

3月30日、下肢の慢性疼痛を有するプロアスリートにおいて、CBDの局所使用により痛みや身体機能の改善が認められたことがアメリカの研究チームにより報告されました。論文は「Journal of Cannabis Research」に掲載されています。

今回研究を行ったのは、カンナビノイドの安全性と有効性を研究する民間組織「タイガー・リサーチ・グループ(Tiger Research Group)と、ルイジアナ州立大学(Louisiana State University)の研究チーム。

研究に参加したのは、大学からプロリーグに進み、プロアスリートとして4〜10年間のキャリアを積んだ20名(平均年齢28.7歳)。従事していたスポーツはアメリカンフットボール(男性のみ)、陸上競技(男女とも)、バスケットボール(女性のみ)。これらのプロアスリートは、過去に下肢の外傷を負い、少なくとも3ヶ月以上慢性疼痛を抱えていました。

研究者らはこの一流アスリート達を対象に、6週間に渡りCBDを主成分としたクリームを使用し、痛みや日常生活機能への有効性や安全性を評価しました。

1プッシュごとに定量を取り出すことができる容器に入れられたクリームは、1プッシュにつき5mgのCBDを含有。参加者はこのクリームを1回2プッシュで、1日に2回患部に塗布するよう指示されました(CBD20mg/日)。なお、このクリームにはCBD以外にも、レモングラス、イランイラン、ウィンターグリーンなどの精油や、カンファー(テルペンの1種)も含まれていました。

参加者の中にはオピオイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬を使用している人や、マッサージなどのケアを受けている人もいましたが、これらの治療やケアは試験中に全て中止されました。

痛みや日常生活機能に対するCBDクリームの有効性の評価には、疼痛障害尺度(PDI)、疼痛日誌といった自己評価スケールが活用されました。

・PDI(Pain Disability Index)

痛みが日常生活に与える影響の程度を自己評価する尺度。障害の程度を0(障害がない)〜10(最もひどい障害)の11段階で評価。今回の研究では、「家族や家庭における責務」「レクリエーション」「社会活動」「仕事」「性機能」「セルフケア」「生活支援活動」といったドメインが評価された。

・疼痛日誌(pain journal)

参加者は毎朝、痛みを0(痛みなし)〜5(最もひどい痛み)の6段階、治療による改善度を1(改善なし)〜5(症状の消失)の5段階で自己評価した。

6週間の試験を完了したのは20名中14名。この6名は治療開始4日目までに試験を離脱しましたが、具体的な理由は不明となっています。

6週間に渡ってCBDクリームを使用した結果、PDIでは「家族や家庭における責務」と「性機能」のドメインで参加者全員が改善を報告。93%が「レクリエーション」「社会活動」「仕事」「生活支援活動」において、86%が「セルフケア」において改善を報告し、痛みの減少やQOLの向上が統計的にも有意に認められました

疼痛日誌でも、平均疼痛レベルが有意に減少。平均疼痛レベルと症状の改善度の間に有意な相関関係が認められ、症状の改善度の上昇とともに、平均疼痛レベルが減少していたことが明らかとなりました。

CBDクリーム使用による平均疼痛レベルの変化
Source:Journal of Cannabis Research「Topical cannabidiol is well tolerated in individuals with a history of elite physical performance and chronic lower extremity pain」

6週間の治療中、7名がCBDクリームに関連すると思われる副作用を報告しましたが、いずれも治療の中断には至りませんでした。

具体的には、治療5日目に3名の女性で皮膚の発疹が出現。発疹部位を避けて下肢への塗布を継続することにより、7日目に発疹は消失し、他の部位に新たな発疹が出現することもありませんでした。また、治療開始1、2日目に6名で皮膚の乾燥が認められましたが、1日以上は続かず。それ以外には冷や汗(男性1名)、頻脈(男性1名)が報告されました。

研究者らは論文の結論部分で、「我々の知る限り、これは一流アスリートにおけるCBD治療を評価した最初の研究である。CBDの局所投与はこの集団でよく耐え、わずかな副作用をもたらしただけであった。一流アスリートはそのプロフェッショナルな生活から、安全性への懸念を評価するように訓練されているので、この集団は安全性や忍容性の懸念を見出せる可能性が高い。6週間の治療により、痛みの有意な減少と機能の改善が認められた」と述べています。

ただし、研究の参加者が少ないことや、バイオマーカーなど客観的な指標を用いた評価を行っていないことから、今回の研究結果はそのまま解釈するものではなく、今後の研究に活かすべきものであるとしています。

関節炎患者を対象としたアメリカの調査では、CBD使用者(使用方法は不明)の83%が痛み、66.1%が睡眠と身体機能の改善を報告し、さらに60.5%がオピオイド、N-SAIDs、アセトアミノフェンといった鎮痛薬の減量や中止を報告しています。

米バージニア大学の研究者らは、母指CM関節症(親指の付け根の変形性関節症)患者の患部にCBDを含有したシアバターを1日に2回塗布することにより、痛みの軽減や機能改善が認められたことを報告しています

イタリアの臨床試験では、指先に潰瘍を形成した全身性強皮症患者に対しCBDオイルを局所使用することで、治癒促進、痛みの軽減、睡眠の改善が認められています。

タイの国立大学チュラロンコン大学の研究者らは、CBD軟膏の使用によりアフタ性口内炎の治癒促進や痛みの軽減が認められたことから、CBD軟膏がステロイド軟膏の代替となる可能性があると述べています

CBDの外用による有効性は、局所の痛みや皮膚疾患以外でも報告されています。アメリカとオーストラリアの研究チームは昨年11月、脆弱X症候群の子どもに対しCBDゲルを塗布した結果、特に重症度が高い子どもにおいて、社交性の改善や攻撃性の低下などが認められたことを報告しています

運動やスポーツでは、CBDだけではなく、大麻そのものの使用も有効活用できる可能性があります。2022年のアメリカの調査では、運動と大麻を組み合わせることで多くの人がポジティブな効果を実感していたことが明らかにされています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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