CBDの局所使用、全身性強皮症の潰瘍に有効性を示す

CBDの局所使用、全身性強皮症の潰瘍に有効性を示す

- イタリアの臨床試験

指先に潰瘍かいよう(皮下組織が見えるほどの深い傷)を形成した全身性強皮症患者において、CBDの局所使用が痛みの改善やQOL向上、潰瘍の治癒など有効性を示したことがイタリアの研究チームにより報告されました

全身性強皮症とは、コラーゲンの蓄積により皮膚及び内臓が硬化する膠原病こうげんびょうです。発症のほとんどが女性であり、好発年齢は30〜50代。明らかな原因は未だ不明であり、指定難病ともなっています。

皮膚だけでなく内蔵も硬くなることで、肺・食道・腎臓などにも障害をもたらし、これらの合併症が予後に影響。

全身性強皮症には、皮膚の硬化が全身に広がる「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と、硬化が手足や顔にとどまる「限局皮膚硬化型全身性強皮症」があり、前者のほうが経過が早く合併症が多くなります。

全身性強皮症では血管障害も生じるため、末梢の血流が不良となりますが、これと皮膚が硬く腫れぼったくなることが相まって、指先に潰瘍を作りやすくなります。一度できた潰瘍は治りづらく、適切な処置をしないと感染や壊死を起こしてしまうことも。また、潰瘍は痛みを伴うため、QOLにも影響を及ぼします。

今回の研究は、指先に潰瘍を形成した全身性強皮症患者45名(女性88.9%、平均年齢53歳)を対象とした臨床試験です。25名をCBD群、20名を標準治療を行う対照群に振り分け、臨床経過を2ヶ月間フォローアップ。痛みの程度(NRS)、睡眠時間、日常生活機能(HAQ-DI)、治癒の程度を両群で比較することにより、CBDの有効性が評価されました。

※NRS(Numerical Rating Scale)

痛みの程度を0(全く痛みがない)〜10(最悪な痛み)の11段階で評価。

※HAQ-DI(Health Assessment Questionnaire – Disability Index)

日常生活の様々な場面における動作を0(簡単にできる)〜3(全くできない)の4段階で評価。

CBD群では、CBD10%を含んだ大麻抽出物(THCは含まない)を使用。患部に直接4滴垂らしガーゼで覆う処置が、24時間ごとに行われました。

治療前の痛み(NRS)、睡眠時間、HAQ-DIは両群ともほぼ同様でした。

治療開始から1ヶ月後、対照群では平常時のNRSが8.44→7.88、処置時のNRSが9.25→9.3とあまり変化がみられませんでしたが、CBD群では平常時のNRSが8.4→6、処置時のNRSが9.32→6.8へと減少し、痛みが有意に軽減していたことが明らかに。

実際に対照群では追加で鎮痛剤を使用した人の割合が100%であったのに対し、CBD群ではその割合が48%となっていました。

睡眠時間も1ヶ月後の時点で、対照群では2.65→3.25時間となりましたが、CBD群では2.56→5.67時間となり、CBD群で睡眠時間が有意に増加

対照群のHAQ-DIはベースラインの2.24からほとんど変化がありませんでしたが、CBD群では1ヶ月後で2.19→1.61、最終フォローアップ時では0.79にまで改善が認められました

さらに、フォローアップ中に潰瘍が治癒した割合はCBD群で72%、対照群で30%となっていました。

また、対照群では6名において潰瘍の感染が認められ、抗生物質による治療が必要となりましたが、CBD群では潰瘍の感染は認められませんでした。

CBDの局所使用による重篤な副作用は報告されず、28%(7名)においてのみ局所のかゆみや赤みが認められましたが、治療を中断するほどのものではありませんでした。

これらの結果から研究者らは、CBDの局所使用は安全性が高く、潰瘍の治癒、痛み、QOLの向上に役立つ可能性があるとし、今後より大規模な治験で有効性を検証する必要があると結論づけています。

なお、全身性強皮症の末梢潰瘍に対しCBDが有効性を示した報告は、これが初めてとなります。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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