ニューヨーク州が大麻の「ファーマーズマーケット」を承認

ニューヨーク州が大麻の「ファーマーズマーケット」を承認

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7月19日、ニューヨーク州当局は大麻の「ファーマーズマーケット」を許可し、大麻の小売ライセンスを倍増することで合法大麻市場へのアクセスを拡大するとともに、デルタ8THCのような合成カンナビノイドの販売を禁止するなどの様々な決議案を承認しました

ニューヨーク州は2021年に嗜好用大麻を合法化。2022年末には州が認可した初めての大麻小売店がオープンしました

ニューヨーク州における大麻の小売ライセンスは、現時点では、大麻の禁止によって不釣り合いな影響を受けた人々や大麻関連の前科を有する人々、あるいはその家族に対して発行されています。同州はこれらの人々の起業を支援するために5,000万ドルの資金を提供し、さらに民間企業から1億5,000万ドルの資金を集めました(この資金が集まったのは最近のこと)。

このような公平性を重視した政策は称賛されるべきではありますが、現時点で大麻小売店は州内で20店舗しかなく、想定していたよりもかなり遅いペースの開業となっています。その一方で大麻の生産は積極的に行われているため、州内では大麻が有り余っている状況。

こういったこともあり、州内は非認可の大麻小売店で溢れ返っており、この数はニューヨーク市だけでも1,400店舗あるとされています。

今回承認された大麻のファーマーズマーケットは、この状況を救済するものとなりそうです。「ファーマーズマーケット」とは、地域の農家が複数名集まり、収穫した作物を直売するスタイルの市場のことです。

「大麻栽培者ショーケースプログラム(Cannabis Grower’s Showcase Program)」と呼ばれるこのプログラムでは、3名以上の大麻栽培業者が1名以上の大麻小売業者とともに、ファーマーズマーケット形式で検査済みの大麻製品を21歳以上の成人に販売することが許可されています。

販売できる製品は大麻の花だけに限らず、エディブルやドリンク、VAPEカートリッジなど、様々な大麻製品の取り扱いが可能。アルコールやたばこ、ニコチン製品の販売、ファーマーズマーケットにおける大麻の消費は禁止されています。

大麻のファーマーズマーケットを開催するには自治体の許可が必要となります。許可された事業者は、その地域内で定期的にファーマーズマーケットを開催することができ、他にもコンサートやフェスなどのイベントにおいて単発で開催することも可能です。

このように、大麻栽培者ショーケースプログラムはニューヨーク州において、ディスペンサリー以外の場所で大麻を合法的に入手する方法を提供し、栽培業者に余剰となっている大麻を販売する機会を与えるものとなっています。

ファーマーズマーケット開催の申請受付はすでに開始しており、申請締切は2023年12月1日まで。なお、同プログラムはまだ暫定的なものであり、現時点でファーマーズマーケットの開催が可能なのは2024年1月までとなっています。

ニューヨーク州大麻管理局(OCM)の最高公正責任者であるダミアン・ファゴン(Damian Fagon)氏は「ニューヨークの元・大麻農家として、苦労して収穫した作物が市場に出回らないことがどれほど悲惨なことか、身を持って知っています。大麻栽培者ショーケースはそのような経験や、自分たちの製品をニューヨーク州民と共有する手段を正当に増やしたいと考える栽培業者や加工業者との多くの難しい会話から生まれました」

「このイニシアチブは州全体における(大麻の)販売と小売店へのアクセスを増加させるだけでなく、ニューヨークの消費者を地元の大麻農家や自家製ブランドと直接結びつけることにもなります。しかし、これは農家を支援するだけでなく、ディスペンサリーがまだ開店していない地域で認可された大麻販売を可能にすることで、州内の消費者が検査済みの大麻をより入手しやすくなることにもつながります」と述べています。

また、同日にニューヨーク州は、仮の条件付き大麻小売ライセンスを新たに212件発行。これにより、州内で承認された大麻小売ライセンスは倍増され、合計で463件となりました。

さらにニューヨーク州は、産業の成長を促進するための大麻研究規則を承認するだけでなく、医療用大麻の製品ラベルにテルペンの含有量を記載することを義務付ける決定も行いました。

他にもニューヨーク州は、デルタ8THCのような合成カンナビノイドの販売を禁止することも承認。ヘンプ製品に含まれるカンナビノイドはTHC:CBD=1:15までに制限され、21歳未満の人に対しTHC0.5mgを超える製品を販売することが禁止に。加えて、エディブル製品のTHC含有量についても、1パッケージあたり10mg以下、1食分あたり1mg以下に規制されることとなりました。

ニューヨーク州は合法的な大麻アクセスを拡大する一方で、違法事業者に対する取締りも強化しており、このために1,600万ドルの予算を計上しています

今年5月に成立した法律では、ニューヨーク州大麻管理局に違法な大麻小売店を取り締まる権限が与えられています。これにより大麻管理局は、非認可の店舗に対し1日あたり最高2万ドルの罰金を課すことが可能となり、他にも検査が行われていない大麻製品を押収したり、店舗の閉鎖や事業者の立ち退きを裁判所に求めることが可能となっています。

なお、今年2月に公開されたニューヨーク州保健省慢性疾患予防局(DCDP)の調査では、ニューヨーク州民の多くがアルコールやたばこよりも、大麻のほうが公衆衛生上安全であると認識していたことが明らかにされています。

Office of Cannabis Management 「NEW YORK STATE OFFICE OF CANNABIS MANAGEMENT ANNOUNCES CANNABIS GROWERS SHOWCASE PROGRAM AND ISSUES 212 NEW PROVISIONAL RETAIL LICENSES TO SUPERCHARGE CANNABIS RETAIL MARKET」https://cannabis.ny.gov/system/files/documents/2023/07/7-19-2023-press-release.pdf

Office of Cannabis Management「Cannabis Growers Showcase (CGS) Application Now Live」https://cannabis.ny.gov/cannabis-growers-showcase

Marijuana Moment「New York Regulators Vote To Allow Marijuana Farmers Markets, While Nearly Doubling The Number Of Provisional Retailer Licenses」https://www.marijuanamoment.net/new-york-regulators-vote-to-allow-marijuana-farmers-markets-while-nearly-doubling-the-number-of-provisional-retailer-licenses/

Marijuana Moment「New York Is Now Accepting Applications For Marijuana Farmers Markets」https://www.marijuanamoment.net/new-york-is-now-accepting-applications-for-marijuana-farmers-markets/

MJBizDaily「New York sets THC limits on hemp-derived cannabinoid products」https://mjbizdaily.com/new-york-sets-thc-limits-on-hemp-derived-cannabinoid-products/

Governor Kathy Hochul「Governor Hochul Announces $150 Million Investment in the Cannabis Social Equity Investment Fund」https://www.governor.ny.gov/news/governor-hochul-announces-150-million-investment-cannabis-social-equity-investment-fund

High Times Magazine「New York Governor Signs Legislation To Rein In Illicit Weed Market」https://hightimes.com/news/new-york-governor-signs-legislation-to-reign-in-illicit-weed-market/

Ganjapreneur「New York Budget Includes $16M to Combat Unlicensed Cannabis Dispensaries」https://www.ganjapreneur.com/new-york-budget-includes-16m-to-combat-unlicensed-cannabis-dispensaries/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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