メリーランド州、大麻のにおいや所持のみを理由とした警察の捜索を禁止

メリーランド州、大麻のにおいや所持のみを理由とした警察の捜索を禁止

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米国メリーランド州の警察は、州内で嗜好用大麻が合法化される2023年7月1日より、大麻のにおいや所持のみを根拠として、州民を捜索することができなくなります。

4月半ば、民主党のシャーロット・クラッチフィールド(Charlotte Crutchfield)議員によって提出された法案「HB1071」が上院・下院の両院で可決。法案はウェス・ムーア(Wes Moore)州知事の元へ送られ、署名なしで承認される形となりました。州知事が署名しなかった理由は現時点で不明です。

この法案では、大麻の配布を示す追加の根拠がない限り、警察は大麻のにおい、個人使用量の大麻の所持、大麻の近くに金銭があることだけを理由として、人、自動車、船舶の停止や捜索はできないと定められています。

また、飲酒や薬物の影響下での運転が疑われた場合、警察は運転手がアクセスできない車の箇所や運転手の状態に関連した証拠がある可能性が合理的に低いと考えられる箇所を捜索できないと規定。

さらに、メリーランド州の現行法では、公共の場で大麻を使用した場合、初犯で最高250ドル(約3万5千円)の罰金が課されますが、この法案ではその罰金が50ドル(約7千円)にまで引き下げられるとしています。

同法案によれば、これらに違反して得られた証拠は、法廷で認められないとされています。

メリーランド州では2023年7月1日から、21歳以上の成人による1.5オンス(約42g)までの乾燥大麻、12gまでの濃縮大麻、THC750mg未満までの大麻製品(所持製品全ての総量)の個人所持・使用が可能となります。また、既存の医療用大麻販売店は手数料を支払うことで、嗜好用大麻の販売が許可されます。これに合わせ、今回承認された法案「HB1071」も発効されることになります。

さらに、メリーランド州知事は5月16日、保護者が合法的に大麻を使用することを子供へのネグレクト(育児放棄)と解釈されないようにする法案「HB232」に署名。この法案も2023年7月1日より発効となります。

米国メリーランド州でこのような大麻改革が進められる中、日本では警察の職務質問における「差別」が指摘されています。

警察官職務執行法」の第2条によれば、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる」とされています。

しかし、現実は外国人、服装、髪型、タトゥー、車などの「見た目」によって職務質問されるケースが目立っています。

このような状況の中、2021年12月に在日米国大使館は、日本の警察が外国人であることを理由に職務質問を行うという「人種差別的な事案」が発生しているという異例の警告を発しています

また、外国人2094名を対象にした東京弁護士会の調査では、過去5年間に職質を受けたことがあると回答した人は62.9%で、特にこれらは中南米(83.5%)、アフリカ(82.9%)、中東(75.6%)の人で多く、日本人と外見的特徴が似ている東アジアの国の人では少なかったことが明らかにされています。

Marijuana Moment「Maryland Police Won’t Be Able To Use Marijuana Odor As Basis For Searches Under Bill That Governor Has Allowed To Become Law」https://www.marijuanamoment.net/maryland-police-wont-be-able-to-use-marijuana-odor-as-basis-for-searches-under-bill-that-governor-has-allowed-to-become-law/

Marijuana Moment「Maryland Lawmakers Pass Bill Blocking Police Searches Based On Marijuana Odor, Sending It To Governor」https://www.marijuanamoment.net/maryland-lawmakers-pass-bill-blocking-police-searches-based-on-marijuana-odor-sending-it-to-governor/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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