セックス前の大麻使用は女性のオーガズムを促進する

- アメリカの観察研究

Sexual Medicine」に掲載された最新の報告によれば、大麻はセックス時に女性がオーガズムに到達することを助けてくれる可能性があります。

男性と異なり、女性は必ずしもセックスにおいてオーガズムを経験できるわけではありません。性欲は3大欲求の1つとして位置づけられていることから、セックス時にオーガズムを経験できない場合、人によってはQOLにも悪影響が及ぶと考えられます。

大麻を使用し”ハイ”な状態になると、味覚が変わったり、音が良く聴こえるようになるなど、五感に変化が起きることで知られています。

セックスにおいて五感が重要であることは言うまでもありません。そのため、五感を高める大麻がオーガズムへの到達を助けてくれる可能性は十分に考えられます。

実際に、アメリカでは今年に入り、オハイオ州、イリノイ州、ニューメキシコ州、コネチカット州において、医療用大麻の適応リストに女性のオーガズム障害を追加しようとする動きがみられています

また、セックスにおいてオーガズムに達するためには、痛み、不安、緊張を感じず、リラックスしていることも重要となります。これまでの研究により、大麻には鎮痛作用抗不安作用があることが示されており、このような意味でも大麻はセックスにおいて役立つ可能性があります。

女性の大麻使用者を対象とした調査

アメリカの研究チームは大麻が女性のオーガズム障害に役立つのか洞察を深めるため、女性の大麻使用者を対象としたオンライン調査を実施。

調査対象となったのは、過去30日以内に大麻の使用とパートナーとのセックスを報告した18歳以上の女性387名。最も多かった年代は25〜34歳(46.8%)であり、次いで35〜44歳(21.4%)、18〜24歳(19.6%)となっていました。

参加者のうち52%(202名)がオーガズム障害を報告。この研究においてオーガズム障害は、パートナーとの性行為におけるオーガズムの困難さに関する質問に「はい」と回答した人と定義されました。

セックス前の大麻使用はオーガズムを促進

オーガズム障害のある女性202名のうち、28.7%がセックス前に大麻を使用することでオーガズムを経験し、大麻の未使用時にはオーガズムを経験しなかったと回答。また、34.7%は大麻を使用すればオーガズムに達するのは難しくないものの、大麻を使用しない場合はオーガズムに達するのが難しいと報告しました。

オーガズム障害のある女性に大麻の使用時と未使用時においてオーガズムの頻度の違いを尋ねたところ、オーガズムを経験する頻度が「いつも」「ほとんど」と回答したのは大麻使用時において62%であったのに対し、未使用時では17%。

オーガズムを経験する頻度が「なし」と回答したのは、大麻使用時では11%であったのに対し、未使用時では37%となっていました。

オーガズムの頻度
Source:Sexual Medicine「Assessment of the effect of cannabis use before partnered sex on women with and without orgasm difficulty」
Source:Sexual Medicine「Assessment of the effect of cannabis use before partnered sex on women with and without orgasm difficulty」

セックス時にオーガズムを経験するのが「難しくない」と回答したのは、大麻使用時では39%、未使用時では5%。オーガズムについて「非常に満足」「満足」と回答したのは、大麻使用時では67%であったのに対し、未使用時では19%となっていました。

Source:Sexual Medicine「Assessment of the effect of cannabis use before partnered sex on women with and without orgasm difficulty」
オーガズムの満足度
Source:Sexual Medicine「Assessment of the effect of cannabis use before partnered sex on women with and without orgasm difficulty」

オーガズム障害のある女性におけるこれらの改善は、これまでの大麻の使用期間とは関連していませんでした。つまり、大麻の使用歴が短くても長くても、セックス前の大麻の使用はオーガズムにプラスの影響があったということになります。

大麻の使用理由について、オーガズム障害のある女性の63%は「リラクゼーションのため」と回答。参加者全員において最も多く挙げられた大麻の摂取方法は喫煙(47%)であり、この摂取方法はオーガズムのポジティブな反応と有意に関連していました。

精神面との関連性あり

この研究では調査結果を通して、オーガズム障害のある女性の特徴も示されています。

この調査では、オーガズム障害のある女性の大多数(52%)はセクシャルマイノリティー(LGBTQI+)であり、75%が白人でした。

また、オーガズム障害のある女性の64%は精神疾患の診断を受けており、61%は処方薬を服用していました。オーガズム障害のある女性はそれ以外の女性と比較して、メンタルヘルス上の問題を抱える割合が24%多く、より具体的にはPTSDで52.6%、うつ病で29%、不安障害で13%多くなっていました。

他にも、性的虐待を受けた経験のある女性では、オーガズム障害を訴える女性の割合が有意に多いことも示されました。

これらのことを反映するように、セックス前の大麻使用によりオーガズムにおいて肯定的な反応を報告した人は、メンタルヘルスにおいて何らかの診断を受けた女性や性的虐待を受けた経験のある女性において有意に多くなっていました。

これらの結果から、著者は「この研究結果は、FOD(女性のオーガズム障害)の治療薬として大麻を提案している50年に渡る推測と研究を支持するものである。パートナーとの性行為中にFODを報告した女性のオーガズムの頻度、容易さ、満足度が改善したという主要な成果は、大麻が認められた治療法になる可能性を示している」

「パートナーとのセックスの前に大麻を使用することは、FOD治療のために大麻を使用する女性にとって価値があるように思われる。実際、FODの女性は大麻の使用期間に関係なく、パートナーとのセックスにおいて改善を経験した」と述べています。

また、精神疾患のある女性や性的虐待を経験した女性に焦点を当てた調査を行うことの必要性も著者は強調しています。

なお、この研究は臨床試験ではないため、オーガズム障害に対する大麻の有効性を明確にするものではありません。また、使用された大麻の品種や量などが考慮されていないといった限界もあります。そのため、オーガズム障害に対する大麻の有効性を明らかにするためには、質の高い臨床試験を行う必要があります。

とはいえ、性行為における大麻のポジティブな効果は、別の研究においても報告されています。

例えば、米国のイーストカロライナ大学の研究チームが行った調査では、回答者の多くが大麻の使用により性行為時に性機能や性的満足度が向上したことを報告しています

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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