大麻使用者の多くが性事情において恩恵を受けていることを報告

大麻使用者の多くがオーガズムが増すなどセックスへの効果を感じている

- アメリカの横断的研究

人間の3大欲求「食欲、睡眠欲、性欲」。多くの人にとってこれらの生理的欲求は、生きる喜びや幸福度に直結します。逆を言えばこれらが満たされないと、QOL(生活の質)の低下にも結びつくということになります。

これらの3大欲求に対し、大麻はポジティブな効果をもたらしてくれる可能性があります。

食欲においては、大麻を使用すると「マンチー」と呼ばれる状態になり、食欲の増進が認められます。

また、大麻は、不眠症などの睡眠障害に有効となり得るほどの催眠作用を有することでも知られています。

では、性欲においてはどうでしょうか。

これについては、善悪両方の報告が存在します。

悪いものとしては、例えば男性において、慢性的な大麻の使用は勃起不全(ED)の発症と関連するといった報告があります。

EDの原因には動脈硬化、神経疾患、薬の副作用などがありますが、他にも不安やストレスといった心因性によるものもあります。大麻は不安やストレスの軽減に役立つ可能性があることから、心因性のEDには有効となる可能性があるかもしれません。

良い報告としては、セントルイス大学の研究者らが女性を対象に行なった調査で、大麻使用者のほとんどが性欲の増加、オーガズムの増加、性交時の痛みの減少などを報告したものがあります。

ほとんどの場合、男性はセックスにおいてオーガズムに達しますが、女性ではその割合が男性よりも低く、特に日本では、セックスによりオーガズムを経験する女性の割合が他国よりも少ないと言われています。これを考慮に入れると、セントルイス大学の研究者による報告は重要であると言えそうです。

それ以外には、スタンフォード大学の研究者らが行った大規模調査において、大麻の使用が性交頻度の増加と関連したという報告もあります。

これについては賛否両論あるかもしれませんが、出生率に寄与したり、夫婦やカップル間における愛情が深まるなど、ポジティブな側面があると考えられそうです。

このように、大麻と性との間でプラスとマイナスの両側面の影響が報告されている中、今回また新たなエビデンスが追加となりました。

1月20日、大麻の使用が性機能や性事情における満足感を向上させる可能性を示した報告が、「Journal of Cannabis Research」に掲載されました。この研究は、ノースカロライナ州にあるイーストカロライナ大学の研究者らにより行われたものです。

研究者らは、大麻が性機能や性的満足感に及ぼす影響を知るために、18歳以上の大麻使用経験者を対象にオンライン調査を実施。調査内容には大麻の使用状況を始め、五感(味覚、触覚、嗅覚、視覚、聴覚)、自慰行為(マスターベーション)、性機能(勃起への影響、膣の湿潤)、性欲、オーガズムの強度や頻度などに対する影響が含まれていました。

有効回答者数は811名で、18〜85歳(平均32.1歳)という幅広い年齢層から回答が得られました。女性が最も多く(64.9%)、男性は34.2%、その他は1%。また、約25%がLGBTQIA+であることを報告しました。

※LGBTQIA+とは?

セクシャリティ(性のあり方)の多様性を表す言葉。以下のそれぞれの頭文字をとっている。

Lesbian(レズビアン):性自認(自己の性別の認識)は女性で、性的指向(恋愛対象)も女性

Gay(ゲイ):性自認は男性で、性的指向も男性

Bisexual(バイセクシュアル):性的指向が男性と女性の両方

Transgender(トランスジェンダー):心と身体の性が一致していない状態

Queer/Questioning(クィア/クエッショニング):性自認や性的指向を決められず、迷っている状態

Intersex(インターセックス):先天的に男性と女性両方の身体的特徴を持った人。今ではDSDs(Differences of Sex Development)と呼ばれる

Asexual(アセクシュアル):性的指向を持たない人。無性愛者

「+」はこれらに当てはまらない多様なセクシュアリティを指す。

ほとんどの人(88%)が数年間に渡り大麻を使用しており、半数以上の人(62.8%)が毎日の大麻使用を報告。ほぼ全ての人(95.9%)がドライフラワーを使用しており、それ以外の摂取方法はエディブル59.2%、オイル48%、ワックス36.5%、経皮使用18%となっていました(カンナビノイドなどの成分については情報なし)。

調査の結果、大麻使用と性事情において、以下のことが明らかに。

・59.8%が、性交前に意図的に大麻を使用したことがあると回答。

・78.8%が、大麻は性における判断に影響を与えないと回答(つまり、大麻を使用したからといって、無闇矢鱈にセックスをしない)。

ほとんどの人(87.7%)が性交時において、大麻を使用しているとよりリラックスできると回答。

・性交時の快楽に重要とされる五感について。視覚(57.2%)、聴覚(56.7%)、嗅覚(53.3%)においては、半数以上が大麻の使用により変化がないことを報告したが、味覚(71.9%)と触覚(71%)では感覚が高まると回答した人が多かった。

・回答者のほとんど(88.3%)が自慰行為をすると回答。このうち76.4%が自慰行為前に大麻を使用し、62.5%が大麻使用により快感が高まると回答。

74.1%が大麻使用により性欲が高まると回答。この回答は男性よりも女性で有意に多かった。

・男性のほとんどが、大麻の使用により勃起する能力(93.4%)、勃起の持続力(92.4%)に変化はない、あるいは向上したと回答。

・大麻の使用により、71.8%がオーガズムの強度が高まったと回答。女性のうち66.4%が、1度の性交で1回以上のオーガズムを経験する頻度の増加を報告した。

男性の性機能におけるネガティブな報告がほとんどなかったことを除いては、これらの結果は大部分が既存の報告と一致していました。

研究者らは「全体として、性別や年齢に関わらず、大麻の使用は個人の性機能や性的満足感にポジティブな影響をもたらす傾向がある。また、男女間における快楽差をなくす(つまり、女性がオーガズムに達する確率を高める)のに役立つ可能性がある」と結論づけています。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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