イリノイ州、大麻の税収がアルコールの税収を”例年通り”上回る

イリノイ州歳入局の報告によれば、イリノイ州の2023年会計年度において、大麻の税収がアルコールの税収を”例年通り”上回っています。

イリノイ州は2020年に嗜好用大麻を合法化。嗜好用大麻製品には購入価格の20%が課税され、THC濃度に応じてさらに税率が高くなります。地方税が加われば、大麻製品の税率は40%を超える場合もあります。

これらの影響もあり、イリノイ州の大麻製品の小売価格は他の嗜好用大麻合法州と比べ高くなっています。イリノイ州政策研究所（Illinois Policy Institute）によれば、イリノイ州の大麻使用者は他の大麻合法州よりも平均89%高い金額を大麻製品に支払っています。

このような負担があるにも関わらず、イリノイ州の大麻市場はミシガン州、カリフォルニア州に次いで3番目に大きいとされています。その結果、早くも2021年には大麻の税収がアルコールの税収を1億ドル（約149億円）以上上回りました。

2023年会計年度（2022年7月1日〜2023年6月30日）でも、大麻の税収は約4億5,190万ドル（約674億円）であったのに対し、アルコールの税収は約3億1,630万ドル（約472億円）であり、大差をつけています。

一方、イリノイ州金融職業規制局（IDFPR）が発表した新たな年次報告書では、2023年会計年度の大麻の税収は4億2,090万ドル（約628億円）で、過去最高を記録した前会計年度の4億3,510万ドル（約649億円）から減少しています。

しかし、金融職業規制局は報告書で「2015年に医療（大麻）プログラムが開始され、2020年に嗜好用大麻が合法化されて以来、2023年会計年度の大麻市場は前例のない成長を遂げました」「2024年会計年度と未来に向けて、金融職業規制局は規制市場の継続的な成長を見込んでいます」と述べています。

2023年会計年度において、イリノイ州は200件の条件付きライセンスを発行。新たに28軒の大麻小売店がオープンしました。

9月には約370万個の嗜好用大麻製品が販売され、過去最高の販売数を記録。消費者がこれらの製品に費やした金額は1億3,950万ドル（約208億円）であり、月間売上額としては過去3番目に高い金額となりました。

イリノイ州は昨年11月、大麻の禁止によって不釣り合いな影響を受けた人々を対象とし、社会的公平性に基づいた大麻小売ライセンスを初めて発行。今年1月には、これらの人々を対象に新たに大麻小売ライセンスを55件発行することを決定し、すでに2,600人以上から応募が寄せられています。

昨年の報告書ではイリノイ州の大麻産業において、白人が過半数を所有する大麻企業が88%を占め、経営幹部の80%が白人であることが明らかにされ、多様性の欠如が指摘されました。

今年の報告書ではこのような内訳データは公開されませんでしたが、2023年会計年度に新たに大麻小売店をオープンした28軒のうち、過半数が退役軍人が所有している企業であると報告されています。さらに、5軒は女性の過半数が所有、15軒は有色人種の過半数が所有する企業であるとしています。

イリノイ州金融職業規制局によれば、2024年会計年度では大麻の種子から販売までを追跡するトレーサビリティーシステムも導入される予定。

金融職業規制局は「今後もディスペンサリー免許の発行を継続する用意があり、社会的公平性、安全性、規制された大麻市場の成長を促進することに尽力します」と述べています。