大麻の歴史【日本】

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麻と日本の歴史は、深い。世界でも有数の古くからの大麻使用の歴史がある。縄文時代の遺跡から大麻草の繊維や種子が発見されていることから、少なくとも1万2000年前から日本人と大麻は関わっている。日本書紀、古事記、万葉集などの書物にも大麻栽培が盛んであったことが記述されている。

しめ縄として、聖域を囲む結界のための麻紐として、参拝する者のけがれを祓うためなど宗教的にも深く繋がっている。

天皇家が代替わりする際には、徳島県の三木家が特別に栽培した麻を使用して儀式を行う。

 

また、医療用途としては1886年から医薬品について記した「日本薬局方」に印度大麻草が鎮痛効果があると記載されていた。

食品、燃料、溶剤、化粧品、医薬品、宗教儀式、肥料、飼料、紙、建材、ロープ、糸、衣服など麻の使用用途は無数にある。昨今問題になっているプラスチックも石油由来ではなく大麻由来で作ることが可能である。

麻の種、根、茎、葉、花に至るまで無駄な部位は存在しない。また、暖かい地域から寒い地域まで痩せた土地でもたくましく育つ。それほどまでに麻は身近な存在だったため、全国の地名や人名に今でも「麻」は多用されている。

 

- その麻が、突如消えた。

 

「石油産業の権力者が、大麻由来で様々なことをされては邪魔だからと禁じた」

「ありふれた天然植物で治癒されたら製薬会社が儲からない」

「敗戦国の日本にとって神聖な文化を取り上げることで日本人の精神性を弱体化させたかった」

憶測で様々な理由が語られているものの、実際のところは分かりません。しかし、違法となった際に明確な科学的根拠は存在していませんでした。

1948年大麻取締法が制定され、非営利目的の栽培で7年、営利目的で10年以下の懲役など所持や栽培などに関する重い規制が設けられました。

その前の1946年(1945年第二次世界大戦終結)には、日本は漢字が多すぎて識字率が上がらずに民主化が遅れているとアメリカのGHQからの指示を受け、当用漢字表が書き換えられ「薬」の「」は使われなくなり「麻薬」に変更された。それによって、大麻のイメージを悪くすることにも成功したと感じています。そして、「ダメ、ゼッタイ」というキャッチコピーと共に日本の歴史から麻は突然切り離されました。

栽培は一部の神事で扱うための免許制となり、1948年に大麻取締法が制定された後の1953年の記録でも3万7000軒いた大麻農家は現在では約30軒ほどとなりました。

そして世界中で禁じられていた大麻は近年急速に解放に向かい、合法化や非犯罪化に踏み切る国や地域が数多く現れました。合法国では研究が進み、人体への良い影響が次々に出てきています。その中でもCBDという成分は注目の一つとなっています。

日本での大麻の取り締まり対象は「大麻草及びその製品であり、樹脂はこれに含まれ、成熟した茎と種子及びその製品が除外されること」と規定されていることから、茎や種子の使用は認められており今までも七味唐辛子の中に麻の実が入っているなど知らないうちに食品として触れていましたが、最近の日本では合法大麻成分としてCBD製品が日を追うごとに広まってきています。

昨今のコロナ禍で「コロナは怖い」「コロナはただの風邪」、「ワクチンは怖い」「ワクチンは救世主」と二極化し人々の精神的な分断を感じています。

「大麻=悪」「大麻=健康」と二極化で捉えるのではなく多面的に思考を働かせる必要があると考えます。

現在33歳の私にとって13年前20歳の時に日本でiPhoneが初めて発売されました。その後スマートフォンは急速に普及しましたが、大麻産業はスマホ普及前のような状態に感じています。

スマホも正しく使い生活を向上させることもあれば、スマホがあることによって悩み、亡くなる事件もありますし、インターネットを通して情報を悪用されることもあります。

時代に合った法律と、使い方の教育が大切です。

今後のより良い社会のためにASA Magazineが皆様の役に立てることができたらとても嬉しいです。

2021年5月厚生労働省から大麻草を原料にした医薬品を日本国内で解禁するという発表がありました。今後CBDは医薬品となり規制されるのか?されないのか?種や茎のみの使用ではなく、THCの数値によって規制されるのか?今後の情報を随時更新して参ります。

“Boys, be ambitious!

Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement, not for that evanescent thing which men call fame. Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.”

William Smith Clark

少年よ、大志を抱け!

それは金銭や私利私欲のためではなく,人が名声と呼ぶはかないもののためでもない。あるべき姿のすべてを達成するために大志を抱け。

– クラーク博士

 

Boys, be ambitious!(少年よ、大志を抱け)は有名な言葉ですが、続きも含めて紹介しました。クラーク博士が初代教頭を勤めた札幌農学校(現在の北海道大学)では、大麻栽培が正規の教科であり、明治維新後の新政府にとって広大な北海道は魅力的であり移住政策と農業開発を力を入れて行い大麻栽培は国策として広がっていました。

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。ワクワクするスタートアップにシードからレイターまで投資ラウンド問わず投資したいため、起業家との出会い募集中。

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