2022年5月19日、キプロスの看護師・助産師の医療用大麻に対する意識や考えを調査した論文が同国の研究者らにより公開されました。
EU加盟国であるキプロスは、2017年にがんに限定し医療用大麻を合法化した後、2019年の法改正によりがん以外の疾患・症状にも適応を拡大しています。
今回の研究では、キプロスの看護師・助産師526名に対しアンケートを実施することで医療用大麻への意識調査が行われました。
有効回答者数は232名で、58%(134名)が医療用大麻の研究推進を強く支持していました。さらに32%(74名)が「治療の1つとして医師は医療用大麻を薦めるべきだ」と回答し、37%(86名)が「できることなら(医師のかわりに)自分が使用を薦めたい」と回答しました。
医療用大麻のベネフィットをちゃんと認識していると回答した人は27%(62名)にとどまりましたが、一方で回答者の半数近くが「身体症状に効果的」、約3分の1が「精神症状に効果的」と認識していることが分かりました。
ほとんどの回答者が各疾患・症状ごとの医療用大麻の有効性に対し知識不足を報告しましたが、筋肉のけいれん(29%、67名)、不眠・睡眠障害(27%、62名)、精神疾患(28%、65名)といった特定の疾患・症状に対して医療用大麻の使用を容認する声があり、特に終末期医療においては強く支持する声も聞かれました(21%、48名)。
回答者のうち57%(133名)は「医療用大麻を患者に薦める前に研修を受ける必要がある」と回答し、33%(77名)は「医療用大麻の教育をカリキュラムに組み込むべきだ」と回答しました。なお、「医療用大麻の教育・研修を受けたことがない」と回答したのは85%(197名)でした。
今回の研究において、キプロスの看護師・助産師は医療用大麻に肯定的な考えを持っている傾向が示されました。ですがほとんどの回答者が医療用大麻の教育を受ける機会がなく、知識不足を報告していました。そのため多数の回答者が、医療用大麻の教育がカリキュラムに組み込みこまれることを望んでいます。
医療用大麻の教育を受け、正しい知識を身につけることは、患者さんの安全を守る上で非常に大切です。ですが、医療用大麻の教育は安全性だけにとどまらず、スティグマの解消にも有効だと筆者は考えています。スティグマは多くの場合、知識不足に起因することが多いからです。
医療用大麻は「合法化」されて終わりではありません。最も大切なのは、その後の「標準化」です。