2022年6月12日、医療用大麻の合法化が自動車事故に与える影響について調査した論文がアメリカの研究者らにより公開されました。この評価は、2014年から2019年までの間における自動車保険料のデータを分析することにより行われました。
その結果、医療用大麻の合法化に伴い自動車保険料が平均して年間22ドル減少していたことが明らかとなりました。これを自動車事故に関連する医療費に換算すると年間で約8億2000万ドル減少していることが試算され、さらに全米で医療用大麻が合法化されれば自動車事故に関連する医療費の減少は約11億7000万ドルになる可能性があると研究者らは述べています。
この結果は医療用大麻の合法化により自動車事故が減少していることを示していると考えられます。なお、この保険料の減少は特にディスペンサリーのある地域周辺や医療用大麻合法化前に飲酒運転が多かった地域において顕著に認められたといいます。
同年4月のアメリカの論文では、大麻の合法化と「ハイ」な状態で運転する人の割合についての調査結果が報告されました。大麻使用者1249名のうち過去30日以内に大麻使用後3時間以内に自動車を運転したと回答した人は、大麻が違法である州の住民よりも医療用および嗜好用大麻が合法である州の住民のほうが著しく少ないことが明らかとなりました。
「大麻を合法化すると交通事故が増えるのではないか?」と懸念する声がよく聞かれます。確かに大麻を使用すると酩酊に近い状態となることがあるため、大麻使用後の運転は一般的に危険であると言えます。ですが大麻を違法にしておくことが必ずしも安全であるとは言えません。なぜなら、大麻が違法であると大麻使用による影響についての知識が浸透せず、大麻の所持や栽培さえバレなければ運転しても平気だという認識になってしまう危険性があるからです。
逆に大麻が合法化されていれば、大麻使用後に自動車の運転をしないように呼びかけることやそれに対する法整備をすることが可能になります。一人ひとりが大麻使用後の運転が危険だと認識した上で法整備されれば、結果として事故を減らすことにつながると考えられます。
今回紹介した研究結果はまさにそれを証明しているのかもしれません。