大麻と猫と犬のイラスト

スロベニア、回答者の約4割がペットにCBDを使用

2022年1月5日、スロベニアにおいてペット(犬・猫)に対するCBDの使用状況をアンケートした論文が、Frontiersに掲載されました。

アンケートは2020年11月27日から2021年2月11日までの間、オンラインで行われました。
 
アンケート内容には、飼い主のCBDの使用経験、ペットへのCBDの使用経験とその理由、ペットの健康状態、使用による効果、今後の継続性、飼い主の健康に対する価値観(自然療法を好むなど)などの項目が含まれました。
 
408名の有効回答が得られ、回答者の8割は女性で、約8割が犬を、約2割が猫を飼っていました。
 
回答者のうち42.2%が自身にCBDを使用した経験があり、その大半が有効性を感じていました。
ペットにCBDを使用した飼い主は38.5%に認められ、主な情報源はインターネット(45.2%)、知人(40.8%)、獣医師(34.4%)でした。インターネットでの情報がメインではありますが、獣医師からもある程度情報が提供されていることは注目に値します。
 
飼い主の多くがCBDによりペットの健康状態が改善したと報告し、幸福度が上がった、生き生きとするようになった、リラックスするようになった、腫瘍の数が減ったなどの回答がみられました。
 
副作用として眠気、ドライアイ、嘔吐、疲労感、のどの乾きなどが一部報告されたもの、半数以上では報告されませんでした。
 
ペットにCBDの使用経験がある回答者の51%が、従来の治療に加え、支持療法としてCBDをペットに使用していました。なかには単独で第一選択薬としてCBDを使用している(22.9%)、今までの治療がうまくいかなかったのでCBDを使用している(19.7%)といった回答もみられています。
 
これらの回答者は、CBDが動物の健康問題に対し有効であると感じ、今後も使用を継続していく意向を示しています。
 
ペットにCBDを使用したことのない人(61.5%)の主な理由は、CBDが自分のペットの健康問題に有効とは思えない(72.5%)でした。他の理由としては、選択肢になかった(31.1%)、購入方法がわからない(19.9%)、国として安全に品質管理された製品がない(15.1%)などがあり、法的な問題を気にしているという回答はごく少数(3.2%)でした。
 
なお、現在スロベニアで大麻は非犯罪化されており、大麻由来の医薬品のみが合法となっています。
 
この論文は飼い主による主観的な評価に基づいているため、エビデンスとして解釈するべきではないとしていますが、ペット治療の選択肢としてCBDを正しく評価し、実際に取り入れられるよう目指していくべきであると結論づけています。また、安全性が高く品質を保証されたCBDを処方できるよう、法規制も改善していく必要があるとも述べられています。
 

動物へのカンナビノイド(大麻由来)製品の使用状況に関する論文は他にも存在します。

2016年のコロラド州の論文では、回答者のうち7〜8割はペットにカンナビノイド製品を使用していると回答し、犬では痛みの緩和(66%)、睡眠の改善(50.5%)、不安の解消(50.5%)、猫では痛みの緩和(66%)、炎症の軽減(56.3%)、睡眠の改善(44%)で役に立つと回答しています。

2019年のカナダの論文では、回答者の8割がペットにカンナビノイド製品を使用したことがあると回答し、使用理由として痛みの軽減(72.3%)が最も多く、他にも不安の解消(39.8%)、炎症の軽減(47%)に使用しているという回答が多く認められました。すべての病状に対し、従来の処方薬と同等あるいはそれ以上であったと報告されています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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