大麻とCOVID-19のイラスト

大麻の成分が、変異株を含む新型コロナウイルスの感染を予防する可能性

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1月10日、オレゴン州立大学の基礎研究により、大麻に含まれる成分CBDA(カンナビジオール酸)、CBGA(カンナビゲロール酸)が新型コロナウイルスの感染を予防する可能性が示されました。

大麻はカンナビノイドという医療効果のある成分を含有しており、その大部分がTHC(テトラヒドロカンナビノール)CBD(カンナビジオール)となっています。

この2つ以外にも、大麻には120種類を超えるマイナーカンナビノイドが存在します。マイナーという名前がつくように、マイナーカンナビノイドは大麻にごくわずかしか含まれていません。

CBGAとCBDAはマイナーカンナビノイドに該当します。

CBGAはTHCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、CBDA、CBCA(カンナビクロメン酸)の前駆体であり、CBDやTHCの大元とも言えるカンナビノイドです。CBDAが脱炭酸化すると、CBDになります。

CBGAは成熟前の大麻草に多く含まれますが、時間の経過とともに脱炭酸化し、ほとんどなくなってしまいます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による累計感染者数は、1月15日時点で約3億人となっており、死者数は約500万人となっています。

SARS-CoV-2は、スパイクタンパクをヒト呼吸器上皮細胞にあるACE2(アンギオテンシン2)受容体に結合させることで細胞内に侵入し、感染・増殖していくことが知られています。

今回の研究では、SARS-CoV-2スパイクタンパクを持つ疑似ウイルスが用いられ、カンナビノイドの感染予防効果が検証されました。その結果、CBDAとCBGAはSARS-CoV-2スパイクタンパクが細胞に結合する過程を阻害することが明らかになりました。

また、変異株(アルファ株、ベータ株)においても有効性が確認されました。

なお、THCやCBDといった主要なカンナビノイドはSARS-CoV-2スパイクタンパクに対し親和性が低いことも明らかになりました。

2021年3月の研究では、CBDおよびその代謝物である7-OH-CBDがSARS-CoV-2感染後のウイルスの増殖を防ぐ可能性を示しています。またCBDの使用者は、未使用者に比べ感染率が低いことも指摘されています。

これらの研究は臨床試験ではないため、”大麻は新型コロナウイルスに有効”とは言えませんが、その可能性に期待が持てると言えるでしょう。

CBDAやCBGAはほとんど臨床試験は行われていませんが、CBDAには鎮痛、抗炎症、抗不安・抑うつ、てんかん発作の抑制、乳がんに対する抗がん作用が、CBGAには糖・脂質代謝の改善、てんかん発作の抑制、白血病や結腸がんに対する抗がん作用がある可能性が、様々な研究により示されています(参考論文)。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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