南アフリカ警察が大麻の個人使用で逮捕しないことを明確化

南アフリカ警察が大麻の個人使用で逮捕しないことを明確化

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8月23日、南アフリカ警察(South African Police Service)は国内の警察官に対し、個人使用目的での大麻の所持・栽培で国民を逮捕しないことを明確にする指令を出しました。この命令に従わない場合、警察官は懲戒処分の対象となる可能性があります。

南アフリカ共和国では2018年、憲法裁判所が「成人が個人消費するために大麻を使用したり所持したりすることは、刑事罰の対象とはならない」と歴史的な判決を下したことで、大麻の個人使用・栽培が非犯罪化。

しかし、このことを明確に定めた規則や法律は未だに存在せず、国内の大麻使用者たちは警察から逮捕されることを恐れていました。

このようなギャップを埋めるため、南アフリカ警察は国内の警察官に新たな指令を出しました。指令では、依然として大麻の所持・栽培の許容量を規定した法律が存在せず、ある閾値を超えた量の大麻の所持を発見したとしても、それが営利目的かどうかを判断する規定もないと述べられています。

そのため、このような状況で大麻の所持・使用・栽培を理由として国民を逮捕した場合、警察官は違法な逮捕・勾留をしたとして民事訴訟を受けるリスクがあるといいます。

これらのことから、指令には「個人的、私的な大麻の栽培及び(または)所持は犯罪行為ではなく、逮捕されるべきではありません。さらに、大麻犯罪の逮捕は単に決められた目標を達成するためだけの理由で行われるべきではなく、国家検察当局に登録・起訴された犯罪が本当に存在するという確証なしに行われるべきではありません」と記載されています。

これらの指示に従わない場合、その警察官は「懲戒処分を受ける可能性がある」と明記されています。

また、指令では大麻を私的に使用する「プライベート空間」について、「権利がない限り一般人が立ち入れない場所」と定義。これには自動車の中も含まれます。伝統的、文化的、宗教的なヒーラーが少量で調剤した大麻に関しても、私的な所持とみなされます。

なお、南アフリカでは大麻の売買は認められていません。そのため、法改正が実現しない限り、大麻の積み替え、輸入、栽培(成人がプライベート空間において、個人使用目的で栽培する場合を除く)、収集、製造、供給、処方、管理、販売、発送や輸出に関連する行為は禁止されたままとなります。

高裁弁護士のリチャード・ケマリー(Richard Chemaly)氏はCitizenに対し、「具体的に何がこの指令に影響を与えたのかは分かりませんが、歓迎すべきことであり、遅れていることは確かです。(憲法裁判所の)判決に対する様々な解釈方法で混乱していた大麻業界に、確実性を与えるものです。私的な使用という概念の範囲について、これまで明確な法的見解はありませんでした」とコメント。

また、ケマリー氏は今回の指令は「法律」ではなく、あくまでも「内部文書」に過ぎないため、南アフリカ国民はジョイントに火をつける際、念のために用心するよう促しています。

南アフリカ共和国は2018年の憲法裁判所の判決を受け、2020年に「私用目的の大麻法(Cannabis for Private Purposes Bill)」を提出。この法案は現在も修正と審議が繰り返されています。

今年4月の修正案では、600gまでの乾燥大麻の所持や4株までの大麻の栽培が可能とされ、嗜好用大麻市場の確立や大麻関連の前科抹消についても規定がなされています。

南アフリカ政府は投資戦略において、人々の権利を尊重し、投資、雇用創出、持続可能な農村生活の支援を確保する重要な可能性を有する14の優先セクターの1つに、「大麻・ヘンプ部門」を挙げています。

これを早急に実践へと結びつけるために、南アフリカ政府は6月19日から23日にかけて、大統領府と農業土地改革・農村開発省(DALRRD)の後援のもと、「ファキサ・アクション・ラボ(Phakisa Action Lab)」を開催。

ここには国・州政府、企業、労働者、コミュニティ、伝統的指導者、ラスタファリ指導者、科学者、法律専門家、その他主要な利害関係者を代表する100名以上の人が集まりました。

「ファキサ」の目的は切望されていた政策の一貫性を確保すること。そして、全ての利害関係者と緊密に協力しながら、明確に定義され、期限が設けられ、複数の政府部門に割り当てられた活動を行うためのより強力なプログラムについて合意を得ることでした。

「ファキサ」の終了後、大統領府は大麻・ヘンプ部門を発展させるために「必要な規制改革について合意した」とし、「これらの改革は、アフリカの伝統医療、医薬品・補完医療、ヒトや動物の摂取、そして複数の産業用途における大麻の可能性を解き放つだろう」と述べています

医療用途以外の大麻生産をより可能にするため、医薬品法における大麻のスケジュールを見直し、医療用大麻の規制は南アフリカ医療製品規制庁(SAHPRA)が引き続き担当。それ以外の大麻の規制に関しては、その他の政治部門に割り当てられます。

嗜好用大麻市場に関しては、科学的根拠や人権に基づき、既存の違法大麻市場で発生している社会的・産業的な害を低減する必要性を十分に考慮した上で、最適な規制が決定されるとのこと。最終的には、現在違法大麻市場にいる人々を合法大麻市場に移行させることを目指します。

他にも、個人目的で大麻を使用・栽培する国民のプライバシーを尊重するために、南アフリカ警察に対する指示を強化することを決定。おそらく、これが南アフリカ警察の今回の指令に影響したと考えられます。

なお、Cannabiz Africaによれば、医療用大麻以外は全て「ヘンプ」として扱われることになり、ヘンプにTHCの制限値は設けられないとされています。これが実現すれば、違法大麻を栽培する先住民が今後、合法大麻市場に参入するのが容易となります。

The Citizen「Police officers ordered not to arrest people for possession and use of marijuana」https://www.citizen.co.za/news/police-officers-ordered-not-to-arrest-people-for-possession-and-use-of-marijuana/

High Times Magazine「South African Police Won’t Arrest You for Growing Weed in Your House (Or Your Car)」https://hightimes.com/news/south-african-police-wont-arrest-you-for-growing-weed-in-your-house-or-your-car/

IOL「New police directive allows for personal cannabis use and cultivation」https://www.iol.co.za/news/south-africa/new-police-directive-allows-for-personal-cannabis-use-and-cultivation-8cf72c47-8be1-4b55-9b4c-bd9ece5dc53c

GlobalCannabisTimes.com「South African Police: No More Arrests for Personal Cannabis Use」https://globalcannabistimes.com/south-african-police-no-more-arrests-for-personal-cannabis-use/

The Presidency Republic of South Africa「Cannabis and Hemp Phakisa Action Lab」https://www.thepresidency.gov.za/press-statements/cannabis-and-hemp-phakisa-action-lab

Cannabiz Africa「The Phakisa Pioneers Radical ‘World First’ Concept of Dropping THC Limits for Industrial Cannabis and is Preparing the Pathway for Regulated Adult Use in SA」https://www.cannabiz-africa.com/news-4/the-phakisa-pioneers-radical-‘world-first’-concept-of-dropping-thc-limits-for-industrial-cannabis-and-is-preparing-the-pathway-for-regulated-adult-use-in-sa

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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