米バイデン大統領がスポーツ選手の大麻禁止規定の変更を示唆

米バイデン大統領がスポーツ選手の大麻禁止規定の変更を示唆

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2021年6月19日、オレゴン州で開催された女子100メートル決勝に出場したシャカリ・リチャードソン選手。(写真:Patrick Smith/Getty Images)

現在、全米最速であり100m走の金メダルが期待されているシャカリ・リチャードソン(Sha’Carri Richardson)(21歳)

155センチという小柄ながらとても速く、オレンジ色の長髪をなびかせて走るアスリートとして人気の選手です。

彼女は、オレゴン州で6月19日に行われた米国代表選考会で優勝し東京オリンピック出場が決定。

しかし、薬物検査で大麻の陽性反応が出たため資格停止処分を受けました。これによって100メートル走での優勝は無効となり、オリンピック出場も取り消しに。

リチャードソン選手は、米NBCテレビの情報番組TODAYにリモート出演し、代表選考会の2日前、1週間前に母が亡くなったと記者から聞かされて、母の死のショックから辛い気持ちを和らげるために大麻を使用しましたと告白。「自分の行動に責任を持ちたい。自分が何をしたかを知っているし、何をすべきか、何をしてはいけないかを知っているが、それでもこの決断をした。言い訳はしない。共感も求めていません」と語りました。(インタビュー映像はこちら – 音声英語・日本語字幕なし)

 

7月2日にリチャードソン選手がTwitterに投稿した「私は人間です」というツイートは、7月5日現在いいねが55万件を超えています。

 

彼女の告白を受け、「大麻に運動能力を高める効果はない」「大麻を合法である場所で使用して五輪出場資格を奪うのはおかしい」と批判が米国中から殺到し、SNSなどで多くの議論がされています。

3度の五輪で4個の金メダルを獲得している元短距離選手のマイケル・ジョンソンら数多くのアスリートがリチャードソン選手の支持を表明。また、ハリウッド俳優、政治家ら著名人も現在のドーピングルールによるオリンピック資格停止に疑問を呈し、全米で騒動に発展。

ホワイトハウスのジェン・プサキ報道官は、記者会見でリチャードソン選手について質問された際に、この問題を非難しませんでした。

また、下院の重要な議員たちが、米国アンチ・ドーピング機関と世界アンチドーピング機関(WADA)に痛烈な書面を送り、「市民的自由と市民的権利のために、あなた方が行っていることを覆すように」と求めました。

そして、騒動は加熱し、ジョー・バイデン大統領も質問をされることとなり、バイデン大統領は、オリンピック選手がマリファナを使用した場合に競技への出場を禁止する規則を変更する可能性を示唆しました。

CBSニュースのボー・エリクソン(Bo Erickson)の直撃質問に対しては、バイデン大統領は「ルールはルールであり、誰もがそのルールを知っています」と答え、大麻使用を巡る今回の論争に対して「彼女とその対応を本当に誇りに思う」と述べました。

バイデン氏は元々、大麻合法化に反対しており、上院議員時代には薬物に対する厳しい罰則を含む法案を支持していました。

しかし、昨今の合法化の流れを受け、昨年の大統領選挙戦では、大麻所持の合法化、過去の大麻犯罪記録抹消、州が独自の大麻の法律を制定する権利の尊重など、大麻の改革を行うことを公約に掲げていました。しかし、大統領就任後、これらの公約に動きがないどころか、ホワイトハウスのスタッフを大麻問題で解雇したり、ワシントンD.C.での大麻販売合法化を阻んでいる予算条項の延長を求めたりしています。

今回の大統領の発言は、大麻によって選手を罰するルールが変わる可能性を示唆しており、米国が代表を務める世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の理事会の席を利用して、改革を推進するかどうかが注目されています。

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。ワクワクするスタートアップにシードからレイターまで投資ラウンド問わず投資したいため、起業家との出会い募集中。

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