ジョー・バイデン大統領が指名した連邦政府の国家麻薬統制政策局(ONDCP:The Office of National Drug Control Policy)の局長候補が驚くべき人選であったことが話題となっています。
バイデン大統領が連邦政府の薬物政策責任者に指名したのは、医師でもあるラフル・グプタ(Rahul Gupta)氏である。
グプタ氏は米国内で急速に成長している大手大麻企業のコンサルタントを昨年していたことが最近公開された政府の報告書により明らかになりました。
彼は2017年にウェストバージニア州で合法化された医療用大麻プログラムの実施を州保健長官および主要諮問委員会の議長として監督者を務めた実績があり、大麻の医療・経済の可能性を公に認めている、大麻改革派の中でも注目を集めている人物です。
2020年3月から12月までは複数の州で大麻事業を行なっているHolistic Industries社のコンサルタントとして関わっており、Holistic Industries社の関連会社Holistic WV Farms I, LLCはウェストバージニア州において栽培許可、加工許可、10件の医療用大麻小売店の販売許可を取得しました。ウェストバージニア州の医療用大麻プログラムで、Holistic Industries社と同じ許可の数を取得した企業は、小売店では他に1社しかありません。
国家麻薬統制政策局の局長になるには、現在規制されている物質(マリファナを含む)を規制する考えがあることが法律で明確に定められています。そのため、大麻合法化には反対の意志を貫く立場の役職であり、大麻反対派の団体や支持者は自分たちの考えに近い人物を大統領が指名するものと考えていました。
現在米国の大麻に対する国民感情は、今年行われた主要な3つの世論調査でも全て過半数が合法化を支持しています。
そうした現状から、バイデン氏は昨年の大統領選挙期間中は大麻所持の非犯罪化、過去の大麻犯罪記録の抹消、州による大麻法改正の権利の尊重など、大麻改革を公約に掲げていました。しかし、大統領就任以来この公約を果たさないだけでなく、ホワイトハウスのスタッフを大麻問題で解雇したり、ワシントンD.C.が大麻販売を合法化するのを妨げるための予算条項の延長を求めたりし、公約とは真逆の行動を取っています。
先日米議会上院のチャック・シューマー議員が連邦レベルで大麻の法律を変える法案を作成した時には、「何も変わっていないし、新たな法案の支持もない」と考えを表明しています。
今回のバイデン氏の候補者の指名が何を意味するかは不明ですが、グプタ氏が承認されれば医師として初めて国家麻薬統制政策局を率いることになります。