マスターカードがデビットカードでの大麻購入を米国で禁止

7月26日、クレジットカードの国際ブランドの1つである「マスターカード（Mastercard）」は米国の金融機関に対し、同社のデビットカードで大麻を購入することを禁止するよう指示したことを明らかにしました。

アメリカでは州レベルで大麻の合法化が進んでいるものの、連邦法では依然として違法となっているため、米国内のほとんどの銀行は大麻企業に対しサービスを提供していません。そのため、州内で嗜好用大麻が合法であっても、大麻の購入時には現金での支払いが余儀なくされています。

このような中、Mastercardのデビットカードがいくつかの大麻小売店で使用されていることが判明。

これに対し、Mastercardの広報担当者は「この件に関し、当社はすぐに調査を行いました。当社の方針に従い、大麻販売者に決済サービスを提供し、そのサービスをマスターカードに結びつけている金融機関に対し、この活動を停止するよう指示しました」「連邦政府は大麻の販売を違法とみなしているため、これらの購入は当社のシステムでは認められていません」と述べ、大麻購入時に同社のデビットカードを使用することを米国内で禁止する意向を明確にしました。

サンバーン・カンナビス（Sunburn Cannabis）のCEOであるブレディ・コブ（Brady Cobb）氏は「この動きは、州法で認可された大麻産業と、この芽生えつつあるカテゴリーへのアクセスを望む患者・消費者にとって、新たな打撃となります」と述べ、Mastercardの決定を批判。

なお、2018年に嗜好用大麻が合法化されたカナダでは、クレジットカードやデビットカードでの支払いが認められていることが多いです。

アメリカの大麻小売店は現金のみで製品の取引を行わなければならないことから、強盗のターゲットとなりやすくなっています。それだけでなく、大麻企業は銀行口座を開設できず、融資を受けることができないなど、事業を展開する上で様々なハードルに直面しています。

このような状況の中、連邦議員らは今年、大麻企業に銀行サービスの利用を認める法案「Secure and Fair Enforcement (SAFE) Banking Act（安全で公正な施行銀行法）」を再提出。SAFE Banking Actはこれまで下院で複数回可決されていますが、上院での停滞を繰り返しています。

今議会での可決が期待されますが、7月末までに同法案の審議は進められず、そのまま休会に入る予定。連邦議会の活動は秋から再開されます。

民主党議員のチャック・シューマー（Chuck Schumer）氏は7月27日の記者会見で、同法案について「順調に進んでいる」「上院は非常に生産的な秋になる」と語っています。