米国では州が独自に州法によって医療用や嗜好用大麻を合法化していますが、連邦政府は違法としたままとなっています。
連邦法においての違法行為となるため、各金融機関は大麻関連企業に対して銀行口座を開設したり、融資を行うことなどができない状況が続いています。
そのため、妥当な金利で銀行から融資を受けることができないなど事業を営む上での不利益、基本的に現金取引での販売であることからマネーロンダリングに使用される、強盗被害に遭うなどの問題も発生しています。
そうした現状を変え、合法州での合法な活動の大麻事業者が銀行システムを利用することができるための法案「Secure and Fair Enforcement (SAFE) Banking Act(安全で公正な施行銀行法)」をNational Defense Authorization Act (NDAA)(国防権限法)に添付した形で米国下院で承認されていました。
しかし、上院ではNDAA(国防権限法)からSAFE Banking Act(安全で公正な施行銀行法)は切り離されることとなりました。
民主党のエド・パールマター(Ed Perlmutter)下院議員は自身のTwitterで、「本日発表されたNDAAにSAFE Banking Actが含まれていないことに失望しています。上院は、時代遅れの大麻法を改革して州法と連邦法を整合させ、公共の安全を向上させるためのあらゆる機会を否定しています」と主張しています。
米国大麻協会(US Cannabis Council)のCEOスティーブン・ホーキンス(Steven Hawkins)氏は、以下の声明を発表しています。
「下院で承認されたNDAAの数多くの重要な条項の中に大麻改革が含まれていたにも関わらず、最新版の法案に含まれなかったことに失望しています。しかし、SAFE Banking Actを引き続き議会で推進するよう尽力していきます。
私たちは、強盗の多発やマイノリティや中小企業の経営者が資金確保に苦労していることなど銀行システムへのアクセス不足がもたらす結果を日々目の当たりにしています。SAFE Banking Actは、あらゆる規模の大麻ビジネスに緊急に必要な救済策を提供し、連邦政府による大麻禁止を廃止するための広範な推進活動に風を吹き込みます。
私たちは、SAFE Banking Actの提唱者、この法律を支持するために議会に働きかけた全国の知事、ビジネスリーダー、支援者に感謝します。
私たちは、パールマター議員が委員会でSAFE Banking ActをNDAAに追加しようとしていることを全面的に支持し、議員たちがこの重要法案を可決するためにあらゆる努力をすることを強く求めます」
上院議員の大麻賛成派や大麻改革団体の中でも、銀行法のみではなく包括的な連邦政府での大麻合法化をまず先に行うべきとの声も存在しています。