米イェール大学(Yale University)の研究者らは、マウスにマジックマッシュルームと称されるキノコの成分シロシビンを1回投与しただけで脳神経が修復することを発見しました。この研究成果は、米国の科学雑誌「Neuron」に7月5日に掲載されました。
今回の研究は、シロシビンがうつ病の症状を和らげたりその他精神疾患の治療に役立つのではないかと期待されています。しかし、効果の詳しいメカニズムについてはまだ不明のままです。
イェール大学の精神医学准教授であり本研究の著者アレックス・クワン(Alex Kwan)氏の研究室では、抗うつ剤の研究に長年関心を持っており2014年にBrain & Behavior Research Foundationからの助成金を受けて研究を開始。始めは即効性のある抗うつ剤ケタミンを研究したところ、脳内の神経細胞の接続を変化させる様々な興味深い効果を発見。
そして2019年から、その効果が他の物質でも起きるのではないかと考えシロシビンの研究を始めました。
今回の研究では、二光子励起顕微鏡を用いてマウスの1,820本の樹状突起スパインを追跡。樹状突起スパインはニューロンの情報伝達を助ける組織で、ストレスに晒されると減少することで知られています。
シロシビンが投与されたマウスは、樹状突起スパインが大きく増加しストレスによって損傷した脳の神経結合が修復。シロシビンの投与7日後半分が持続、34日後でも約3分の1が持続しました。
さらに行動面でも変化が見られ、シロシビンを投与したマウスはストレスに対処するようになりました。
アレックス・クワン氏は平均すると、ニューロンの神経結合は10%増加し、10%大きく強力になりましたと述べています。
この研究結果は、International Journal of Molecular Sciencesに掲載されたシロシビンがブタの脳の前頭前野と海馬の神経細胞の接続数を増加させた研究結果と一致しています。
シロシビンのようなサイケデリック幻覚剤は、神秘的な体験と共に治療にも役立つ可能性があります。しかし、それが人間の脳や肉体にどのような影響を与えるかについては研究が進んでいません。今回の研究では、マウスの脳にシロシビンがどのような影響を与えるかを調べました。とクワン氏は人間への効果について慎重な姿勢も見せています。