ハワイ州では、2022年11月の選挙で大麻反対派のデビッド・イゲ氏に代わり、大麻改革派のジョシュ・グリーン氏が州知事に就任。このような追い風の中、以前から嗜好用大麻の合法化に向け活動してきた議員や活動家らは、1月11日の記者会見で嗜好用大麻の合法化に向け意欲を表明しました。
この流れの中で1月19日、この記者会見にも参加していた民主党の下院議員ジーン・カペラ氏らにより、嗜好用大麻の合法化法案「SB375」と「HB237」が正式に提出されました。
ハワイ州ではこれまでも嗜好用大麻の合法化法案が提出されてきましたが、今回の法案が今までと違うのは、昨年末に提出された「Dual Use Cannabis Task Force」によるレポートの一部を取り入れているところです。Dual Use Cannabis Task Forceとは、医療用大麻への影響を中心に、嗜好用大麻の合法化・規制を検討することを任務としたもので、この取り組みは2021年から開始されています。
法案の主な内容は以下の通り。嗜好用大麻を合法化した他の州と比べ、かなり許容範囲の広い内容となっています。
・21歳以上の成人は、4オンス(約113g)までの大麻の所持と、施錠された場所において10株までの大麻の栽培が可能。公共の場、及びたばこの喫煙が禁止されている区域での大麻の喫煙は禁止。
・認可された販売店であれば、15日ごとに最大4オンスまでの大麻の購入が可能。金銭のやり取りが発生しなければ、個人間での贈与も可能。
・家主は限られた例外を除き、大麻の所持や喫煙以外の大麻の消費を禁止することはできない。
・嗜好用大麻に関する規則の制定や大麻ビジネスライセンスの発行を担当する組織「Hawaii Cannabis Authority」を設立。この組織のメンバーは、州知事や立法府の指導者によって任命された9名で構成される。
・既存の医療用大麻薬局は、2024年1月1日から嗜好用大麻も販売できるデュアルライセンスの申請が可能。これらの薬局は3年間の独占期間を有する。
・それ以外の事業者も、2024年1月1日から嗜好用大麻の栽培・販売ライセンスの申請が可能。
・医療用大麻の法律を改正し、州外の患者も医療用大麻薬局を利用できるようにする。
・大麻の課税は5%から開始される。その後段階的に引き上げられ、2028年には15%となる予定。医療用大麻には課税されない。
・州内であれば、大麻ビジネスにおいても経費の控除が認められる(連邦法では認められていない)。
・地方の自治体は、大麻ビジネスの営業を禁止することができない。
・大麻事業者は、その場で大麻を消費できるラウンジを設立できる。大麻の宅配サービスに関しては禁止。
・州の司法長官は、2025年12月31日までに抹消対象となる大麻関連犯罪を特定し、2026年1月1日より自動的にこれらの犯罪記録を抹消しなければならない。
・麻薬戦争によって不当な被害を受けた人々が社会的公平性を求めた場合、規制当局はこれらの申請者のために助成金、融資、技術支援プログラムを作成する必要がある。
社会的公平性(Social Equity)とは、犯罪歴のある人や貧困層など、社会的に不利な立場にある人々を優遇することで、社会に公平性をもたらすとする考え方。
・「社会的公平性」の枠で大麻ビジネスライセンスの取得を申請した場合、前年度の収入が75万ドル以下の経営者であれば、申請料が50%免除される。
法案の序文では、全米における大麻の歴史や政策などについて触れつつ、「個人または嗜好目的での大麻の使用を合法化することは、現在の大麻における科学や大麻に対する態度から自然に、論理的に、そして合理的に生まれるものである」「大麻の栽培や販売は、経済を発展させ、税収を増やし、犯罪を減らす可能性がある」と述べられています。
Marijuana Moment「Hawaii Lawmakers File Marijuana Legalization Bills For 2023 Session, With New Pro-Reform Governor In Office」https://www.marijuanamoment.net/hawaii-lawmakers-file-marijuana-legalization-bills-for-2023-session-with-new-pro-reform-governor-in-office/