フロリダ州、2024年11月に嗜好用大麻合法化の住民投票を実施

2024年11月、全米で3番目に人口の多い州であるフロリダ州において、嗜好用大麻合法化の賛否を問う住民投票が行われます。

「修正案3（Amendment3）」として知られるこのイニシアチブ（一定数以上の有権者によって提案された法案）は、21歳以上の成人による大麻製品及びその付属品の所持、購入、使用を認めるもの。また、同法は既存の医療用大麻企業、団体、治療センターが嗜好用大麻製品及びその付属品を入手、栽培、加工、製造、流通することを可能にします。

このイニシアチブが承認されれば、フロリダ州は25番目の嗜好用大麻合法州となり、21歳以上の成人は2025年5月より3オンス（約85g）までの乾燥大麻及び5gまでの濃縮大麻を所持することができます。これらの大麻製品は、既存の医療用大麻小売店で購入可能となります。

ただし、同法は嗜好用大麻を合法化した多くの州で規定されている大麻の自家栽培、大麻関連の前科抹消、大麻の取締りにより不釣り合いな影響を受けた人々を優遇する社会的公平性については定めていません。

このイニシアチブを主導する「Smart and Safe Florida」は、住民投票の実施に必要な891,589筆の署名を大きく上回る100万筆以上の署名を集めました。

このキャンペーンは、州内で131の医療用大麻小売店を運営しているフロリダ州最大の医療用大麻企業「トゥルーリーブ（Trulieve）社」によって支援されています。同社はすでに、この署名運動に4,000万ドル（約60億円）以上を寄付してきました。

Smart and Safe Floridaは住民投票の許可を得るため、署名とともに法案を最高裁に提出。

これに対し、フロリダ州司法長官のアシュリー・ムーディー（Ashley Moody）氏は、同法案が連邦法で大麻が違法であることを有権者に想起させない内容となっていると述べ、反対を表明。

ムーディー氏は他にも、イニシアチブには単一の主題しか含むことができないにも関わらず、修正案3には嗜好用大麻の所持と販売といった複数の主題が含まれていることや、イニシアチブが承認された場合、多額の資金を提供しているトゥルーリーブ社が不当に市場を独占する可能性があることを指摘しました。

しかし、最高裁は4月1日、ムーディー氏の訴えを退け、住民投票の実施を承認しました。

嗜好用大麻の合法化が実現するためには、11月の投票で60%の賛成を得る必要があります。

2023年11月に公開されたノースフロリダ大学の調査では、フロリダ州有権者の67%が修正案3を支持。南フロリダ大学とフロリダ・アトランティック大学の調査では、フロリダ州民の60%が嗜好用大麻の合法化を支持。

一方、フロリダ商工会議所（Florida Chamber of Commerce）が2024年1月に公開した調査によれば、嗜好用大麻の合法化に賛成していたフロリダ州民は57%となっています。

なお、フロリダ州知事のロン・デサンティス（Ron DeSantis）氏はかつて、喫煙可能な医療用大麻製品の禁止に対し反対を表明するなど、大麻に支持的な姿勢を見せてきました。

しかし、2024年大統領選挙に出馬した際には、デサンティス知事は昔と比べて大麻製品のTHC濃度が高くなっていることやフェンタニル混入の危険性を指摘し、加えて大麻の臭いに対する懸念を示すことで、全米での嗜好用大麻合法化に反対を表明しました。

ただし、デサンティス知事は州レベルでの大麻合法化については「各州の決定を尊重する」と語っています。

フロリダ州は2016年、住民投票を経て医療用大麻を合法化。これにより国内最大級の医療用大麻市場が誕生し、現在医療用大麻の登録患者数は90万人近くにまで達しています。

フロリダ州議会と知事室のアナリストによれば、11月の住民投票で嗜好用大麻が合法化された場合、州内で年間1億9,560万ドル（約296億円）から4億3,130万ドル（約653億円）の税収が得られると試算されています。

Marijuana Policy Projectのマシュー・シュヴァイヒ（Matthew Schweich）氏は、フロリダ州のイニシアチブについて「近年で最も重要な大麻合法化キャンペーンのひとつ」と指摘。

「我々は2,200万人以上のアメリカ人（フロリダ州民）のために、大麻の禁止という不公平を終わらせる機会を得た」と述べました。